全国のドクター8,928人の想いを取材
クリニック・病院 160,832件の情報を掲載(2021年6月22日現在)

  1. TOP
  2. 愛媛県
  3. 松山市
  4. 松山市駅
  5. 愛媛県立中央病院
  6. 菅 政治 病院長

菅 政治 病院長の独自取材記事

愛媛県立中央病院

(松山市/松山市駅)

最終更新日:2020/12/02

Main

松山市の中心に立つ「愛媛県立中央病院」は、800を超える病床を有する大規模な高度急性期病院だ。救命救急医療、小児医療、周産期医療では、愛媛県の中核を担う病院としての機能のほか、手術支援ロボット、ハイブリッド手術室などの専門性の高い医療設備を生かして、先進的で低侵襲な医療にも積極的に取り組んでいる。新型コロナウイルス感染症が流行する2020年4月、新院長に就任した菅政治先生は泌尿器腫瘍の手術が専門分野で、早くからロボット支援手術に携わってきた経験を持つ。インタビューでは同院が得意とする医療をはじめ、新型コロナウイルス対策や良質な医療を安全に届けるための活動などをわかりやすく話してもらった。
(取材日2020年10月9日)

急性疾患から新型コロナウイルス感染症まで迅速に対応

愛媛県立中央病院は地域医療の中で、どんな役割を担っているのでしょうか。

Df1

愛媛県の中核を担う公立病院として、救急医療、小児医療、周産期医療などで、他の病院での受け入れが難しいような重症例を受け入れ、「最後の砦」ともいえる役割を果たしていると自負しています。専門性の高い機器、多数の人材を生かして集中的な治療を行い、命を守ることに努めます。例えば、合併症を持つ妊婦さんなども、当院なら安心してお産に臨めるでしょう。また、第二種感染症病床を有する病院として、新型コロナウイルス感染症をはじめとする感染症に対しても、県の中心的な役割を担っています。若手医師の研修施設でもあり、当院独自のプログラムと愛媛大学医学部附属病院と連携するプログラムの両方で多くの初期研修医を受け入れています。それだけではなく、臨床研修を終えて3~5年目の医師や看護師、臨床検査技師、放射線技師など、幅広い職種の医療者を育てることに力を注いでいます。

新型コロナウイルス感染症の患者も多数診療していますね。

人類がまだ対応したことがない未知のウイルスですから、初めは手探りの状態でした。もともと当院には感染症の専門家がいて、院内感染対策チームもあったので、新型コロナウイルスについても早くから情報収集し、手洗いや防護具着脱などの標準的な感染防御訓練を迅速に行いました。ただ、この感染症は当院だけで対応できるようなものではありません。愛媛県では、新型コロナウイルス感染症を診療する病院間の連携が密に取れていたと思います。毎日どの病院に何人の患者さんがいるかなどの情報交換を行い、例えば、当院のコロナ病床が埋まってきたら、別の病院が「今日はうちで受け入れましょう」と申し出てくるような感じです。普段の診療ではライバルであっても、必要なときは連携・協力できる地域だと実感しました。

それは心強いですね。災害発生時にも中心的な役割を担うのでしょうか。

20190403 5

当院は基幹災害拠点病院です。2013年の移転新築によって、今後発生が予想される東南海地震にも耐えるべく高度な免震構造にこだわりましたので、大災害が起きても拠点病院の役割が果たし続けられると自負しています。大規模災害訓練は必ず年1回実施していますし、熊本地震など他県で災害が起きた際は医療チームのDMATを派遣した実績もあります。屋上ヘリポートは普段から愛媛大学医学部附属病院と共同運航するドクターヘリが発着し、救急科の医師が乗り込んで現場に駆けつけ、搬送された患者さんを受け入れています。常に大事故や災害の発生を想定しながら、日頃の業務や訓練にあたっています。

2012年から病院全体で医療の質の改善活動を推進

病院の理念や運営方針について教えてください。

Df3 1202

病院の理念は「県民の安心のよりどころとなる病院であること」です。そのためには、やはり標準的で良質な医療の提供が、県民の皆さんの安心につながる大事なポイントだと思います。医療の質を改善するため、当院では2012年に改善推進室を設けて、病院の全部門で改善活動を継続してきましたが、特に「医療の安全確保」が病院の根幹だと思います。一方、この10年20年で、医療提供の仕組みが大きく変わり、医療機関が役割分担して、地域全体で医療を完結させるようになりました。そのため、県内の病院やクリニックとの連携に力を入れています。

なぜ、他の病院やクリニックとの連携が大事になったのでしょうか。

昔は手術後も長く入院をしていただいていましたが、それでは受け入れられる人数が少なくなってしまいます。当院のような急性期病院は入院日数を短くして回転率を上げることで、より多くの患者さんに専門性の高い医療を届けることができます。それは国の方針でもあり、当院の平均在院日数も以前と比べてとても短くなりました。まだ入院が必要な患者さんについては、回復期の病院への転院をお願いしています。当院は手術などの急性期医療の機能を、回復期病院はリハビリテーションなどの機能を充実させるといったように、病院の役割分担によって、地域全体で良質な医療の提供に努めています。また、普段の診療は身近なクリニックをご利用いただき、検査や治療など必要なときのみ当院を紹介してもらうことと、病状が落ち着いたら再びクリニックで継続的な診療を受けることをお勧めしています。

院長就任後、特に取り組みを強化している課題は何でしょうか。

Df3

平均在院日数が短くなり、手術の数が多くなると、当然ながら職員の負担は増えます。そんな中、良質な医療を継続して提供していくためには、労務環境を改善しなければなりません。当院は患者の満足度や医師の満足度については高いほうだと自負しています。当院ではロボット支援手術、TAVI(経カテーテル大動脈弁置換術)など先進的な医療技術が経験できるため、若い医師にも良い環境だといえるでしょう。ただ、まだまだ看護師の負担などは大きいため、院長就任後、職員の満足度を高めるために、いかにして負担を軽減するかを真剣に考えています。公立病院で一気に職員を増やすのは難しいのですが、少しずつでも増やしていこうとしていますし、それが患者さんのためにもなると思います。

ロボット支援手術などの先進的な技術を早くから導入

菅先生の専門は泌尿器科ですが、どこに魅力を感じますか。

Df5

泌尿器科は外科系の中では歴史が浅いためか、先進的な医療技術導入に積極的で、この30年で大きく変化しました。手術はおなかを大きく切開するのが当たり前でしたが、私が医師になって間もない頃に尿路結石の体外衝撃波破砕治療や細径の内視鏡による治療が始まりました。腹腔鏡手術も泌尿器科では腎臓や副腎への導入が早かったですね。私は徳島大学から1997年に当院に入職し、副腎、腎臓の腹腔鏡手術、前立腺がん、膀胱がんの内視鏡手術を開始し、10年ほどの間にほとんどを内視鏡で行うようになりました。さらに2012年に前立腺がんのロボット支援手術が保険適用されて日本でも急速に普及しました。前立腺は骨盤の奥深くにあり、鉗子の動きが自在なロボットのメリットが生かせるからです。当院も2012年12月に前立腺がんロボット支援手術を開始後、全例をこの方式で行っています。現在では、胃癌、膀胱がん、骨盤臓器脱へも適応を広げています。

多くの診療科で、ロボット支援手術など先進的な医療に取り組んでおられるとうかがいました。

外科でも、胃がん、肺がん、直腸がんで手術支援ロボットを活用しています。直腸がんでは全国でも早い時期からロボット支援手術を導入しており、新たに導入される施設への教育も担っています。婦人科や心臓血管外科の分野でもロボット支援手術が保険適用されましたので、これらの分野でも活用することになるでしょう。また、ロボットだけではなく、手術とカテーテル治療を一体的に実施できるハイブリッド手術室も備えています。ここでは心臓弁膜症に対して、循環器内科と心臓血管外科の合同チームで経カテーテル大動脈弁留置術(TAVI)や経カテーテル的僧帽弁形成術などの先進的な治療を数多く実施しています。

最後に読者へのメッセージをお願いします。

Df6

先ほど話したように、当院は地域の病院やクリニックとの連携に力を入れています。患者さんには「もう少し入院していたい、退院後もここで診てほしい」というお気持ちもあると思いますが、当院にはベッドを空けて多くの患者さんに専門医療を届ける使命があります。当院は毎月、医療連携懇話会を開催し、地域の医療機関の先生方と顔の見える緊密な関係を築き、常に情報交換しています。連携を支援する地域連携室も充実させました。こうした点をご理解の上、安心して医療を受けていただきたいと思います。

Access