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西村 誠明 病院長の独自取材記事

愛媛県立中央病院

(松山市/松山市駅)

最終更新日:2019/08/28

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松山市駅から徒歩約15分の地にある「愛媛県立中央病院」は、2013年に新病院に移転して機能が一新。救急部門については、新病院スタートと同時に高度救命救急センターとして24時間365日体制で救急搬送を受け入れている。西村誠明病院長が、「県民の皆さんが安心して過ごせるように、地域医療全体のレベルアップを図ることに力を入れています」と強調するように、同院は診療体制を整えるとともに、再編された松山医療圏の救急医療体制の中で重要な役割を果たし、日常的に地域の医療機関と連携する体制を整えるなど、新しい時代に向けた取り組みを加速させている。
(取材日2019年2月21日)

高度救命救急センターが24時間体制で安心に寄与する

松山市周辺の救急医療体制の中で、貴院はどんな役割を果たされていますか?

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当院は愛媛県内の高度救命救急センターとしての役割を担っています。松山市、伊予市、東温市、松前町、砥部町、久万高原町からなる松山医療圏では、救急を行う病院がグループに分かれて、輪番制で24時間365日の救急医療を行っています。2015年度までは当院もグループの一員として、当番日は生命に関わるような重症で緊急性が高い3次救急から、歩いて来院できるような1次救急まで受け入れていましたが、スタッフの負担が大きく、重症患者への対応が遅れることが危惧されました。そこで、2016年度に地域全体の救急体制が再編され、当院は2.5救急と3次救急に特化することになりました。輪番制の場合、曜日ごとに受け入れ状況に差が出ますから、当番病院が対応できない場合は疾患や重症度を問わず当院がカバーします。それが2.5次救急です。これによって、当院は重症患者さんを迅速に多数、受け入れられるようになりました。

救急以外に、力を入れておられる分野は何でしょうか?

周産期医療です。総合周産期母子医療センターとして、2018年の1月~12月の間で1175件の分娩を行いました。これは愛媛県全体の約8分の1にあたります。特に当院はお産の中でも難しい、合併症があるようなリスクの高い分娩を担当することが役割で、産科、小児科が連携し、合併症を抱えた妊婦さんはもちろん、2500グラム未満の低出生体重児、1000グラム未満の超低出生体重児などにも24時間体制で対応します。こうした点は既に県民の理解も得られていますので、「周産期で何かあったときは県立中央病院」と言われているのではないでしょうか。当院以外で生まれた新生児に生命の危機や重い病気があるときは、新生児専用の救急車「あいあい号」で迎えに行くシステムもあります。愛媛県における周産期医療の最後の砦として今後も努力し続けます。

がんの診療でも、地域の中核を担っておられますね。

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がん患者さんも高齢者が多くなってきましたが、それだけにがんだけでなく、さまざまな合併症を持つ方が増えています。そうした患者さんの治療は、総合病院である当院が得意とするところです。ただ、以前は末期のがん患者さんの大多数が当院で亡くなっていましたが、今はホスピスやご自宅に移られることが多くなり、この面での連携に力を入れています。がん患者さんを看取っていただける開業医の先生も増えてきて、そこはありがたいと思っています。いったん自宅療養になった方が急変した場合には当院できちんと診療させていただきますので、ご安心ください。

地域の医療機関との連携を深める懇話会を毎月開催

地域のクリニックや病院との連携に力を注いでおられると聞きました。

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以前は、地域の医療機関の先生方は、県立中央病院は少し敷居が高いと感じておられたかもしれませんが、もう、そんな時代ではありません。この数年間は、地域の先生方との連携体制を整えることに力を注ぎ、紹介を数多く受け入れ、病状が落ち着いたら地域のクリニックに戻っていただく逆紹介を推進しています。おかげさまで、紹介率、逆紹介率、新規入院患者数も非常に増えています。輪番救急病院だった時代は、当番日に救急入院が80人ぐらいあるため、そこに合わせて病床を空ける必要があったのですが、今は救急入院が平均化しましたから、紹介入院に十分に対応できますし、スタッフの疲弊も防げて、市民に安心を与えることにつながっているかと思います。最初は、「普段の診療は地域の先生にしてもらってください」と言っても、嫌がる患者さんが多かったのですが、今では理解が進んできました。

それが理解されて、病診連携が進んだ理由は何かあったのでしょうか?

1つは、患者さんに繰り返してご説明してきたということです。それから、地域の開業医の先生方と、当院の医師が参加する「連携懇話会」を月1回開催し、スムーズな連携に役立ててきました。ここでは、難しい最新治療の話を一方的にするのではなく、例えば私は腎臓が専門ですが、腎炎やネフローゼ症候群では、日頃はこういうところに気をつけて診て、こういう症状があったら急いで当院に紹介してくださいというような、地域の先生方に役立つ情報を伝えています。2年ほど前から毎月開催し、全診療科で実施しています。それも、糖尿病なら、糖尿病内科の医師に続き、看護師、栄養士、合併症を診る腎臓内科の医師なども講師になっていくというようにしています。すごく評判が良く、毎回60~100人程度の先生方が参加してくださいます。こういう活動で培った関係性があるからこそ、患者さんにも「近くの先生に診てもらいましょう」と話ができるわけです。

紹介患者をスムーズに受け入れるために、他に工夫していることがありますか?

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地域連携室の専門スタッフが窓口を務め、さきほどの連携懇話会についても積極的に案内活動を行っています。加えて、紹介患者さんをお待たせしないために、外来では10時~10時30分の間を「地域枠」と決め、その時間帯を紹介患者さんのために空けるようにしました。また、逆紹介する際は、病状が落ち着いたらなるべく早い段階でお返しすることを心がけています。その場合も、半年か1年に1回くらいは当院でも診療し、普段の診療を行う開業医の先生と連携して診る「二人主治医」のような形で進めます。一人の患者さんの情報をやり取りすることで、お互いの勉強にもなるんですよ。

大災害の発生に備え、実践的訓練を定期的に行う

災害時にも、大きな役割を果たす病院だそうですね。

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災害時には、基幹災害拠点病院としてこの地域の医療を守っていきます。まさに、昨日、災害対策訓練を行ったところなんですよ。四国は東南海地震の発生が危惧されていますから、大地震を想定した訓練を年に1度、その他に火災、原発事故などを想定した訓練も毎年、実施しています。大災害が発生した際、当院から災害医療チームを愛媛県に派遣することになっていますから、病院自身の医療は残ったメンバーで完璧に遂行できる訓練をしておかなければなりません。どの場所で、どの職員がどんな役割を果たすのか、問題点はないのか、訓練の後は必ず反省会を行い、常に検証しながら進めています。もちろん、災害時に診療継続できるように、非常用電源や巨大な水槽や井戸を設け、病院の建物は大地震にも耐えられるような構造にしています。

訓練では、どんなところを重視しておられますか。

災害時には、行政や医師会と緊密に連携して、被害状況を素早く把握して動くことが大切です。その点、当院は松山の中心部にあり、県庁も愛媛県医師会も松山市医師会も歩いて行ける距離にあり、県の病院ですから行政と一体となって動くことになっています。もし、日中に大地震が起きたら、軽症の患者さんを家に帰して、ベッドを空け、トリアージして重症患者さんを優先して受け入れます。夜間なら職員を招集するところから始まりますが、電話は使えないでしょうから、SNSのチャット機能だとか、電話番号でやり取りするメール機能だとか、あらゆる方法を検討中です。

最後に、今後の展望をお聞かせください。

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愛媛県の医療にはまだまだ課題があります。例えば、心疾患や糖尿病での死亡率は全国でワースト10に入りますので、それらの発症や進行を防ぐ啓発活動が課題です。愛媛県は意外に住民の塩分摂取量が多いんです。糖尿病や肝炎も南の地方に多いことがわかっています。住民の方々にも自分や家族の健康年齢を延ばすという考えを持っていただかなくてはならないと思います。当院も市民公開講座、健康教室などを通じて協力していきます。そして最も重要な役割である救急医療では全診療科が協力しあうなど、今後も県民の期待に応えていきます。

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