全国のドクター8,994人の想いを取材
クリニック・病院 161,449件の情報を掲載(2020年2月19日現在)

  1. TOP
  2. 愛知県
  3. 名古屋市千種区
  4. 覚王山駅
  5. 学校法人 愛知学院大学歯学部附属病院
  6. 服部 正巳 病院長

服部 正巳 病院長の独自取材記事

愛知学院大学歯学部附属病院

(名古屋市千種区/覚王山駅)

最終更新日:2019/08/28

46711 %e6%84%9b%e7%9f%a5%e5%ad%a6%e9%99%a2%e5%a4%a7%e5%ad%a6%e6%ad%af%e5%ad%a6%e9%83%a8%e9%99%84%e5%b1%9e%e7%97%85%e9%99%a2

覚王山駅より徒歩5分に位置する「愛知学院大学歯学部附属病院」。50年以上の歴史を有し、周辺地域を中心に東海地区より日々さまざまな患者が足を運ぶ。虫歯や歯周病治療、抜歯といった一般的な診療に対応するとともに、口唇口蓋裂治療や顎変形症、先進的な技術を取り入れた補綴治療など、専門性の高い診療にも対応する幅広さは、大学附属病院ならでは。そんな同院の診療の根幹とはどのようなものか。現在も診療はもちろん教育の場に立つ服部正巳病院長に、同院の歴史や特色の話から、診療のあり方や地域における病院の役割など、ふんだんに話してもらった。
(取材日2017年11月17日)

東海地区のあらゆる歯科診療の受け皿として成長

貴院の歴史、特色について教えてください。

1

当院の歴史が始まったのが1961年、現在まで50年以上の歴史があり、愛知県内はもちろん県外から来院される患者さんも多くいらっしゃいます。その理由の一つが、幅広い診療領域が置かれていることでしょう。歯科、小児歯科、矯正歯科といった一般的な診療科が置かれているのは当然のこと、補綴治療を例にしても非常に細分化がされており、顎変形症や口唇口蓋裂の治療といった、専門性の高さが求められる治療にも対応しています。現在当院には、15の専門診療部、9の特殊診療部、16の特殊診療外来が置かれ、ありとあらゆる分野で臨床・研究を重ね、常に高いレベルをめざし続けています。そのどこを切り取っても当院の特色です。反対に、どれか一つを特色として挙げるのはとても難しいですね(笑)。この深さ、広さが当院の大きな特徴です。

他にも、内科をはじめとした医科の診療科も置かれていますよね。

現在、内科、外科、小児科、耳鼻咽喉科、糖尿病内科が置かれています。例えば当院では多くの研究・治療実績のある口唇口蓋裂の治療では、手術の術前管理や内科的処置・診断が求められてきますので、内科との連携は不可欠なんです。口唇口蓋裂に限らず、お口周りの治療というのは噛むことだけでなく、呼吸とも結びつきますし、また歯周病などは糖尿病をはじめとした生活習慣病との関連も非常に深いもの。当院では各科に専門の医師を置きながら全身の健康を診るといった側面にも、しっかり力を注いでいます。

障害者治療や高齢者治療にも取り組まれているなど、お言葉の通り本当に幅広く受け入れられているのですね。

2

もちろん可能な限りではありますが、私たちはあらゆる分野において患者さんを引き受ける、地域の受け皿ですから。お口の健康は全身の健康を支えるとも言われて久しいですし、人間にとって最後に残る欲求は、「食欲」です。だからこそ、噛める機能を維持することは、患者さんの生活の質の向上も左右するもの。私がこれまで研鑽を積み重ねてきた補綴治療は、健康でおいしく食事をしていただくための治療です。そして同時に、それがかなっていない人も多くいるということも目にしていました。それを私たちが変えていかなければいけません。現在、愛知県歯科医師会、三重県歯科医師会とも連携を結んでいます。東海地区において、歯科および口腔外科領域の疾患を、隔てなく診ていける場として、患者さんを受け入れていくのが私たちなのです。

患者の「期待権」を裏切らない、実直な診療をめざす

貴院の基本理念や、取り組みについてお聞かせください。

3

やはり病院ですから安心安全な医療を患者さんに提供することは大前提であり、基本理念ですね。中央滅菌消毒室を設けて治療器具の滅菌対策を強化するだけでなく、診療環境を清潔に保つことも当然に行ってきました。また当院は大学病院という大きな組織でありながらも初診患者さんを受け入れていることもあり、地域とも密接な関係を築いてきました。その上で最近求められてきているのが、地域における医療連携です。昨年は歯学部でも訪問診療の講座が設置され、今後当院でも訪問診療を手がけることを検討する段階に入ってきています。これまでの訪問診療では高リスクと考えられてきた治療にも一歩踏み込み、診療の幅を広げる一助となっていきたいと考えています。

さまざまな患者さんを診療する中で、大切なこととは何でしょうか?

これは以前から学生たちにも話していることですが、治療を進める際欠かせないのは「患者さまの『納得』と『同意』の徹底」、つまり「インフォームド・コンセント」です。例えば入れ歯治療の場合、患者さんの多くが「入れ歯を入れたら何でも噛める」と考えがちですが、噛む力の回復具合は人それぞれ。私たち歯科医師はその患者さんが入れ歯を装着することでどれだけ噛む力を回復できるか推測した上で、どの程度まで回復できるか説明し、合わせて入れ歯を装着した後のケアの必要性、重要性などもお話ししなければいけません。どの治療も「やったら終わり」というものではありません。だからこそ治療内容だけでなく、その後のケアも含めてご納得いただかなければ、より良い治療とは言えませんから。あらゆる説明を踏まえ納得いただけたとき、ようやく治療開始となるのです。

ただ説明するだけでは不十分、ということですね。

4

私たちの役目は、立てた治療方針を患者さんにきちんと説明し、ご理解・納得いただくこと。その上でようやく同意が得られるのです。「インフォームド・コンセント」は「説明と同意」と訳されますが、これはあまりに直訳が過ぎる表現だと思います。患者さんは治療に対して、「こうなってくれる」という“期待”を持っています。その期待に対して、どれだけ応えられるのか。ここに向き合わないことは、治療に対する「期待権」を裏切るも同然です。また説明の際は、必ず患者さんのわかる言葉を選ぶことも大切なことです。専門用語ばかり使っていては理解いただくのも難しいですし、歯科医師側がきちんと内容をかみ砕けていないということですから。治療後を推測し方針を組み立てることは、経験を積んでこそできることとも言えるでしょう。さまざまな症例の治療に立ち会える当院の環境は、歯科医師の研鑽の場でもあると言えますね。

多職種の育成を進め、地域全体の健康を支える

今後新たに取り組んでみたいと検討されていることなどございますか?

5

現在、骨の再生医療や手術後の回復を促す研究などにも取り組んでいますので、引き続きこれらを伸ばしていきたいですね。あとこれは構想段階ですが、ゆくゆくはご紹介の患者さんの治療にかかりつけの先生にも帯同いただいて、治療の流れから経過まで一緒に見ていただくといった取り組みを実現できたらと考えています。患者さんの不安というものが軽くなるでしょうし、かかりつけの先生にとっても勉強の場になります。そこで学んでもらった技術や知識が、地域の中で活用されていけば、成長のサイクルを生み出せるのではないかと思います。また現在愛知学院大学歯学部では、藤田保健衛生大学医学部、名城大学薬学部、愛知教育大学、日本福祉大学と共同して、地域医療を支える人材教育にも取り組もうとしているところです。

地域連携を強化するとともに、後進の育成にも注力するということでしょうか?

私たち歯科だけが頑張るのではだめなんです。いろいろな職種が連携してはじめて、地域医療を実現できるものですから。地域の医療を支える際、挙がるのが「多職種連携」です。つまり、医科・歯科・薬科・教育・福祉といったさまざまな分野の人材が欠かせないのです。しかし今その担い手は十分とは言えません。それを教育の場から醸成していき、社会に出てもらう。これも地域医療への貢献の一つのあり方ではないでしょうか。こういった取り組みを通して、地域の皆さんのQOL向上を支えていきたいですね。

最後に読者へのメッセージをお願いいたします。

6

より良い治療を患者さんと私たちが一緒になって考え治療し、そして患者さんに快適な生活を送っていただく。これが何よりも大切なことで、これこそが健康寿命の延伸につながると考えています。何かお困りのことがあったら、ぜひ足を運んでください。お口のことをすべて調べることができますし、「全部診てほしい」という要望がかなうのも、当院が各分野で専門性を極めてきたからこそ。専門的な治療が必要となった時、その分野のエキスパートが近くにいますので、心強いものかと思います。「全身の健康はお口から」と言われるようになったのは、まだ最近のこと。この考えが広まりつつある今だからこそ、私たちが率先して取り組み、患者さんを支えていかないといけません。これからも地域の皆さんに愛される病院であり続けたいです。

Access