河井 浩志 院長、河井 伸一 副院長の独自取材記事
河井脳神経外科
(鹿児島市/谷山駅)
最終更新日:2026/01/13
「河井脳神経外科」は、鹿児島市電の谷山電停から徒歩5分の場所に位置し、3代にわたり地域医療を支えてきたクリニックだ。河井浩志院長は外来および病棟を、河井伸一副院長は訪問診療を担当。休日・夜間を問わず24時間体制で脳疾患の救急対応を行うとともに、訪問診療では免許返納や足腰の衰えで通院が困難になった地域住民のニーズにも兄弟2人で柔軟に応えている。今回は浩志院長と伸一副院長に、同院の特徴や今後の展望について詳しく聞いた。
(取材日2025年12月3日)
外来診療と訪問診療で幅広く地域を支える
医師をめざしたきっかけを教えてください。

【浩志院長】物心ついた頃から自然と医師をめざすようになり、迷うことなく医学の道に進みました。小さい頃にけがをして、父親に頭を縫ってもらった経験が印象に残っています。祖父が外科の医師だったこともあり外科も考えましたが、「外科系をするなら脳外科を」と勧められ、脳神経外科を選択しました。
【伸一副院長】幼い頃から医療環境が身近にありましたが、初めから医師をめざしていたわけではありませんでした。父の背中を見ながら成長する中で、医療への思いが徐々に募り、医学部への進学を決めました。当初は消化器内科に惹かれていましたが、臨床研修で脳外科を回った際に指導医の姿が父と重なって見え、自然と脳神経外科への興味が湧き、この道を選びました。父は厳しい医師で、患者さんからも「お父さんからよく怒られたんだ」と話しかけられますが、皆さん父のことを慕ってくださいます。父の患者さんへの愛情が深かったからなんでしょうね。
これまでの主なご経歴をお聞かせいただけますか?
【浩志院長】鹿児島県内を中心に脳血管障害の外科治療に携わってきました。多くが救急医療だったため、不安を抱える患者さんに寄り添うことを常に意識してきました。病状がわかる資料作りに力を注いだのもその一例です。説明を受けても一度に覚えきれることはごくわずか。高齢化が進む鹿児島県ではなおさらです。そのため、後で見返せる独自の説明書を作成したんです。当院でも説明書を配布して、患者さんの不安軽減に力を入れています。
【伸一副院長】福岡大学病院脳神経外科に入局し、関連病院で脳卒中や脳梗塞、脳腫瘍などに対する研鑽を積みました。救命救急センターでは心不全や外傷など多様な疾患を経験しました。特に高齢者の多い病院勤務時代には、疾患だけでなく患者さんという人を診ることの大切さを学びました。今でも、趣味や考え方、家族構成など、生活や価値観に合わせた声かけや対応を心がけています。
訪問診療もされているそうですね。

【伸一副院長】 はい。当院に通っていた患者さんが、高齢になって通院できなくなってきたことが大きなきっかけです。遠方から通われていた方が、車の免許返納や足腰が弱くなったことで、受診したくても来られなくなるケースが実際に増えてきました。また、若い世代の患者さんから「自分の親も訪問診療をお願いしたい」とご相談をいただくこともあり、ご家族単位でのサポートができればと考えました。こうした経緯から訪問診療を立ち上げ、より幅広く患者さんを診られる体制を整えました。対応エリアは直線距離16キロ以内で、南は喜入から、北は吉野辺りまでを範囲としています。訪問診療でどのようなことを診てもらえるのか不安に思うこともあると思いますが、外科的な処置も可能な面は当院の大きな特徴だと思います。
在宅療養支援診療所についても教えていただけますでしょうか?
【浩志院長】はい、在宅療養支援診療所とは、病気や障害で通院が困難な患者さんが自宅で安心して療養できるよう、24時間体制で訪問診療や往診、訪問看護、緊急時の入院手配など、切れ目のない医療・看護を提供する診療所を指します。当院もこの施設基準をクリアしています。もちろん有床診療所なので、いざというときは当院に入院することも可能です。より一層地域医療に貢献できればと考えておりますので、安心してご相談ください。
「医療機関らしさ」を一新し、安心できる空間に
診療される上で心がけていることはありますか?

【浩志院長】その人の生活に合った診療を心がけています。家族構成や趣味嗜好、夜勤・日勤など、生活スタイルに沿った診療に努めています。診察室に入られる時の歩き方や表情、顔の色味を観察することも大切にしています。元気なのか、足を引きずっているのか、顔色が暗かったりしないか。入室時の様子を見て、声かけの仕方を変えるようにしています。
【伸一副院長】訪問診療では患者さんが中心の医療をモットーにしています。高齢になると意思を伝える能力が落ちる方も多く、時間をかけてでも患者さんの声に耳を傾けることが重要です。これは外来診療ではなかなかできない、訪問診療だからこそできることだと思っています。また、ご本人の前では話しにくいこともあるため、ご家族には別室でお話を伺うなど状況に合わせた対応をしています。患者さんとご家族それぞれの意見を聞き、双方にとってより良い方法を考えながら診療を進めています。
最近、若い方の頭痛が増えているそうですね。
【伸一副院長】 そうですね。小さなお子さんの頭痛で、親御さんと一緒に受診される方が少しずつ増えてきている印象です。一般的にいわれている原因として、スマートフォンなど、生活習慣に関わるものが多いと思います。当院ではMRIで頭部の画像検査ができるため、まず基礎疾患がないかチェックできます。視覚的に判断できる画像検査は大きな安心材料になりますし、鎮痛薬だけでなく予防薬も含めて、脳神経外科の立場から薬の選択肢を幅広くご提案できます。市販薬も多く流通していますが、気になる症状があれば、早めにご相談ください。
設備や内装をリニューアルされたと伺いました。

【浩志院長】 落ち着いた雰囲気の外来スペースと、新たなMRIを導入しました。MRIは画質の向上を図っただけでなく、従来より内部空間が広くなり、閉所恐怖症の方でも検査を受けやすくしました。また、静止を苦手とする方でも、体動に強い撮影方法で対応できるようになりました。内装はブラウンを基調とし、ホテルのロビーのような落ち着いた雰囲気で、患者さんの緊張感を和らげる空間づくりを心がけています。その他、待合にある大型の水槽も新しくしたので、熱帯魚を鑑賞できますよ。中庭も和風から洋風にリニューアルし、植栽を内装に合わせて変更しました。待合で過ごす時間も少しでもリラックスしていただければと思います。
緊急時にも頼れる、かかりつけ医をめざして
今後力を入れていきたいことはありますか?

【浩志院長】 ちょっとした症状でも見逃さず、手遅れにならないよう事前に予防し、何か起きたときも早期対応できる医療をめざしています。片まひやしびれはわかりやすい症状ですが、反応が鈍い、めまいがするといった症状は、耳鼻咽喉科など他の診療科とも関連することがあり、調べてみないと原因がわからないこともあります。「これは危険だ」と判断できるよう徹底し、大きな病院ではない身近なクリニックだからこそ、小回りの利く対応をしていきたいです。そしてスタッフ一丸となって地域の方々の健康を少しでも支えられる存在でありたいと思っています。
休日はどのようにお過ごしですか?
【浩志院長】 休日はサイクリングを楽しむことが多く、1時間半ほど走ります。10年ほど続けている趣味で、景色を見ながら走ることが気分転換になっています。
【伸一副院長】 毎週日曜日、天気が悪くない限り30分のウォーキングを習慣にしています。患者さんにも運動を勧める立場なので、自分自身も実践しなければと思っています。
最後に、地域の方々へのメッセージをお願いします。

【浩志院長】 当院は365日・24時間、脳のことならいつでも対応できる救急体制を整えています。急な体調不良はもちろん、生活習慣病やご家族の体調に不安がある方は、ご相談だけでも構いませんのでぜひ受診してください。地域の皆さんの健康を、スタッフ一同でお守りしていきたいと思っています。
【伸一副院長】 当院は困ったときの駆け込み寺のような存在でありたいと思っています。訪問診療ではちょっとした傷の縫合を含めて、幅広く診療できる体制を整えています。「大きな病院に行くほどでもないけど、まず相談してみよう」と気軽に思っていただけるクリニックをめざしています。また、病院に行きたいけれど来られないという方には、訪問診療のご相談窓口もあるので、ぜひお気軽にお声がけください。

