大西 泰裕 副院長の独自取材記事
もりの木おおにしクリニック
(観音寺市/観音寺駅)
最終更新日:2025/07/25

観音寺市茂西町の「もりの木おおにしクリニック」は、2013年に開業。戦後に誕生した無床の診療所から始まり、有床診療所、病院、そして現在のクリニックへと姿を変えながら地域に寄り添ってきた。建物の2・3階には、介護つき有料老人ホームを併設。入居者の医療サポートも可能となっている。診療は専門性の異なる医師3人体制。整形外科領域で豊富な経験を持つ冨田章一郎院長、消化器内科領域を中心に広く内科疾患を診る大西泰裕副院長、そして同地域では数少ない、産婦人科の女性医師である大西理子医師がさまざまな症状に対応するとともに、専門的な治療が必要な症例については、適切な医療機関とスムーズな連携を取っている。「今後も地域の医療のために尽くしたい」と穏やかに話す大西副院長に、診療の理念や医療に対する想いを聞いた。
(取材日2025年6月17日)
整形外科・消化器内科・産婦人科の専門家が診療
クリニックの歴史をお聞かせください。

当院のルーツとなる診療所が開設されたのは、1949年です。創設者は私の祖父でした。最初の診療所はやがて療養病床を備えた有床診療所となり、1974年になると、現在の駐車場がある場所で4階建ての病院に生まれ変わりました。祖父がこの「大西病院」を開業したことを機に、丸亀市で医師をしていた父の勤務も決まり、私たち家族は全員で観音寺市に転居したのです。私は2005年に当院へ入職しましたが、その翌年に祖父が亡くなったため、長い間、父と2人で診療していました。体制が大きく変わったのは、2013年です。病院の隣に新しいクリニックを建設し、名称も「もりの木おおにしクリニック」と改めました。病院時代の療養病床は、介護つき有料老人ホームに転換。クリニックの2・3階で、介護が必要な高齢者の支援を行っています。
クリニック名の由来は?
今は使われていないのですが、もともとこの土地には「森ノ木」という名称があり、地域の方々が親しみを感じられるようにと、その地名を使わせていただきました。そこから森や木をテーマに、受付カウンターや待合スペースの椅子にも、ポイントカラーとしてグリーンを取り入れています。院内は待合スペースを囲むように、診察室や処置室、検査室、内診室、リハビリテーション室などが並ぶという構成です。当院は複数の診療科を掲げており、主には整形外科・消化器内科・産婦人科の診療を行っています。整形外科は父、消化器内科は私、産婦人科は私の妻の専門分野です。一つのクリニックで、多岐にわたる診療を提供していることは当院の大きな特徴であり、地域の方々にも喜ばれる点だと思います。特に、観音寺市では産婦人科を掲げる施設が限られていますし、その中でも女性医師は数が少ないので、女性の患者さんも安心してお越しいただけるのではないでしょうか。
先生が消化器内科の医師をめざした経緯を教えてください。

周囲の話によれば、本当に小さな頃から「お医者さんになりたい」と言っていたようです。父も私が医師になることを望んでいたので、父の後押しを受けながら、同じ岡山大学の医学部をめざしました。医科は大きく内科と外科に分かれますが、内科の医師を選んだのは、患者さんのお体全体を診る医師になりたいと考えたからです。私の祖父も内科が専門で、地域のかかりつけ医という立場で外来や往診に対応していましたから、その姿も頭にあったのかもしれません。内科の中でも消化器内科を専門に選んだのは、多くの人が悩まされる胃や腸の病気に関心があったからですね。私は写真撮影が趣味なので、内視鏡を使って消化管内を撮影することで、正しい診断につなげられるところも、消化器内科に魅力を感じた理由の一つです(笑)。
地域のかかりつけ医として、どんな症状にも対応
大学卒業後は、どんなふうにお過ごしだったのですか?

岡山大学を1992年に卒業した後は、香川県立中央病院での初期研修を経て、島根県の山間にある公立雲南総合病院(現・雲南市立病院)に3年間勤務しました。この当時は、少人数の医師でほぼすべての地域住民を診る日々。内科の医師として、自分が今後どんな医療活動をしていくべきなのか、その指針を定められた3年間だったと思います。専門の科にとらわれずに、どんな病気でも診ようとする上司の姿は今でも心に残っていますし、自分もそうありたいと思い続けています。島根県を離れた後は岡山大学病院と愛媛県の総合病院に2年ずつ勤め、2005年に観音寺市へ帰郷しました。私は松山市の中学校に進学したので、観音寺市に住んでいたのは小学生の間の6年間だけでしたが、「最後に戻って来るなら観音寺だろう」と考えていましたね。幼な心にも、のどかで人も温かいこの土地のことが好きで、大人になっても忘れることがありませんでした。
こちらには、どのような患者さんが来院されていますか?
内科に関しては日常生活に困る症状が見られた時や、何となくお体の調子が悪い時などに気軽にお越しいただいています。各種健康相談に加え、予防接種・ワクチン接種・特定健診にも対応し、当院で治療を完結できない場合には、専門的な治療が受けられる医療機関へと迅速につないでいく、そんな地域のかかりつけ医です。消化器内科の専門性を生かして、上部内視鏡検査もほぼ毎日行っています。患者さんに優しい検査をということで、鼻から入れる経鼻内視鏡検査を行うことが多いですが、患者さんのご希望によっては、口から入れる検査にも対応していますよ。内視鏡については画像の解像度、鮮明さにこだわったものを導入し、精度の高い診断を常に心がけています。
内科以外の診療科は、どのような患者さんが多いのでしょうか?

産婦人科については、非常に幅広い世代が来院されています。月経痛から更年期障害まで、年齢によって主訴はさまざまです。ただし分娩は行っていないため、妊婦さんは途中まで診させていただき、連携する病院をご紹介しています。整形外科に関しても世代は広く、転んでケガをしたという小学生から、慢性的な腰痛を抱えた高齢者までいらっしゃっていますね。過去にはリウマチの患者さんもたくさん診ていたのですが、リウマチの治療は進歩が著しいので、症例によっては、先進の治療が受けられる宇多津町の専門機関をご紹介しています。あとは上階に併設する介護つき有料老人ホームの利用者さんが、当院の患者さんになるケースもありますよ。ケガをした方や、肩の痛みがある方は父が、風邪をひいた方は私が、女性ならではのお悩みがある方は妻が対応しています。階下にクリニックがあるということで、ご家族の方も安心していただけるようです。
職員と力を合わせて、地域医療に貢献していきたい
診療の理念を教えてください。

地域のかかりつけ医として、気軽に活用していただきたいという思いは常に胸にあります。まずはお話を聞かせていただき、当院で解決できる訴えに対しては真摯に対応した上で、必要な場合は専門の医師につなぐことを心がけています。私たちは、その最初の振り分け役です。患者さんファーストを徹底するため、予約も希望日の1ヵ月前から当日の30分前まで受け入れる体制を整えました。通院のご負担を減らせるよう、薬剤は28日以上の長期処方にも対応しています。
先生の今後の展望は?
父や妻、そして頼れる職員たちと力を合わせて今の理念を全うし、この地域の医療に貢献していきたいです。当院は地域医療の担い手として、複数の障害者施設とも提携しており、健常者だけでなく、知的障害を抱えた方の診療も行っています。未就学児のお子さんから、支援学校卒業後の若い世代、それから40〜60代の現役世代まで、年齢層はさまざまです。誰もができるだけ不自由なく日常生活を送れるよう、お手伝いいたしますので、お困りの方はご相談いただけたらと思います。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。

今はインターネットの普及によって、医療に関する情報が社会にあふれていますよね。自分の症状を検索したら、すぐに「それはこういう病気です」「こんな治療がいいですよ」と、具体的な検索結果が得られるでしょう。しかし、そうやって調べられた方の中にはどの情報が正しいのかわからず戸惑ったり、場合によっては誤った方向に進む方もいらっしゃると思うのです。お体の悩み事やお困り事、気になることがあれば、医療機関へご相談ください。当院では3人の医師が適切な診査診断によって、患者さんお一人お一人に合わせた治療方針を立案し、スムーズに、そしてスマートに必要な診療を進めてまいります。