杉井 章二 院長の独自取材記事
志木新成メディカルクリニック
(朝霞市/志木駅)
最終更新日:2025/09/01

志木駅から徒歩4分の「志木新成メディカルクリニック」。地域の健康を長年守ってきたクリニックを継承した杉井章二院長がめざすのは「ゆっくりとした成長」。先代までが築いてきたレガシーを生かしながら、新たな取り組みへの挑戦も少しずつ始めている。町の気軽に通えるクリニックでありながら、充実した検査体制や専門性の高い治療が強み。リウマチや膠原病が専門の杉井院長のほか、糖尿病内科、循環器内科、呼吸器内科、整形外科の医師がいるのも心強い。初代院長の銅像がたたずむ広々とした吹き抜けの待合室で、杉井院長に診療へかける思いなどを詳しく聞いた。
(取材日2025年7月22日)
地域の健康パートナーとして専門性の高い診療を提供
100年近く地域医療に貢献してきた医院の流れをくんでいるそうですね。

初代院長が1927年に文京区大塚で開業した「村山病院」が当院のルーツです。空襲で消失し1948年に志木に移転して、2006年からは「村山クリニック」として地域の健康をきめ細かな医療で支えてきました。3代目院長でもある村山正昭名誉院長から私が継承したのは2025年5月です。再出発にあたっては、これまでのクリニックのあり方を「地域の健康パートナー」と改めて言語化し、スタッフ全員がミッションとして共有することから始めました。これまでどおり良質な医療を追求し、温かな心で応えられるよう力を合わせていきたいと思っています。広々とした駐車場があり、遠方から通ってくださる方も多いので、変わらず期待に応えていきたいです。
「志木新成メディカルクリニック」という新しいクリニック名にどのような思いを込めましたか?
まず、各方面からアクセスの良い志木駅からすぐなので「志木」は入れたいと思いました。クリニックではなく「メディカルクリニック」としたのは、一般的な診療だけではなく専門的な治療も提供できる特性を表現するためです。また、常に患者さんやご家族のニーズを敏感に察知し、新しいことに取り組む柔軟性を忘れてはいけないので「新」は外せませんでした。そして、真摯にニーズに応えることを通じて、スタッフ一人ひとりも、クリニックも、地域全体もゆっくりと成長していけたらと「成」の字を配置。ロゴマークにはゆっくりと育つ樹木を使いたいと探していて、偶然、母校の熊本大学や研修医時代を過ごした東京大学の校章と同じイチョウになりました。
診療の特色についてお聞かせください。

風邪などを相談しやすい町のクリニックでありながら、さまざまな専門性を持つ医師が集い、検査体制も充実しているのが当院の特色です。常勤医師はリウマチと膠原病に長年携わってきた私と、糖尿病を専門とする宮野龍美副院長。そのほか、循環器内科、呼吸器内科、整形外科の医師が来る日も設けています。また、エックス線検査室や超音波検査室、肺機能検査室などを備え、診療放射線技師と臨床検査技師も常駐。大学病院からの紹介を受けても、質を落とさずにシームレスに治療を継続できるよう努めています。良質な医療を提供できているのは総勢20人のスタッフがいてくれるからこそで、コミュニケーションアプリを活用して情報共有も徹底しています。
リウマチに強みあり、小さな関節痛でも気軽に相談を
新たに始めたリウマチの治療について教えてください。

このエリアにはリウマチ科が少なく、都内まで通院している方も多いと聞きます。私が専門としてきたリウマチや膠原病の診療で、地域の皆さんのお役に立てればと、新しく始めることにしました。リウマチは検査をしながらの治療が欠かせませんが、検査体制が充実している当院では、その日のうちに疾患活動性を評価して治療に反映することができます。また、さまざまな専門性を持つ医師がいるからこそ、多角的な診療が可能です。関節の炎症はリウマチの代表的な症状ですが、糖尿病などさまざまな病気でも見られるので注意しなければいけません。間質性肺炎の背景に膠原病が潜んでいることもあるので、しっかりと鑑別診断していきます。
リウマチの診断にポケットエコーを早くから活用してきたそうですね。
関節の炎症を評価するためのポケットエコーを診察室に置き、聴診器のように問診しながら使ってきました。日本でまだほとんど普及していなかった頃から活用しています。リウマチの診断に血液検査は必須ですが、それ以前に関節の炎症があることが絶対条件です。触診で関節の腫れを確認していた時代と比べると、ポケットエコーにより格段に精密な診断ができるようになりました。治療開始後もポケットエコーがあればより適切に評価できます。「T2T(Treat to Target)」という考えに基づき、薬を投与しつつ定期的に状況を見極め、必要があればほかの薬剤に素早く切り替えるという治療がリウマチでは重要です。当院でも一般的な薬剤から生物学的薬剤まで幅広く臨機応変に使い分けています。
リウマチが心配なときは、どのタイミングで受診したら良いのでしょうか?

朝方の指のこわばりや関節痛などが少しでもあれば、ためらわずに受診してください。リウマチの典型的な症状は他の病気でもよく見られるため、「整形外科に行くべき?」と、ためらう人もいます。リウマチは膠原病などと同じ自己免疫疾患で、捉えどころがないかもしれませんが、いわば筋骨格・関節内科で扱うべきなのではないかというのが持論です。リウマチの語源であるリウマトロジーはもともとそういった意味ですしね。2つ以上の関節に炎症があるときは、遠慮なくリウマチを専門とする医師に相談してください。検査をすると、ヘバーデン結節や変形性関節症などの整形外科疾患だったというケースも少なくありません。私がそのまま診ることも、院内の整形外科医につなぐこともできるのでご安心ください。
在宅医療クリニックとも連携し、幅広いニーズに対応
在宅医療クリニックとも密に連携しているそうですね。

当院に長年通っていたものの、年齢とともに通院が困難になりつつある方が増えています。そんなとき、同じ医療法人の在宅医療クリニックへすぐに紹介できるのも当院の強みと言えるでしょう。在宅医療クリニックとはコミュニケーションアプリでも情報を共有し、院内での治療をシームレスにご自宅でも再現できるようにしています。また、スタッフから「車いすの取り扱いが不安」という意見があったので、すぐに院内勉強会を開催しました。個人的にも医療の安全性はこれまでも大事にしてきたことの一つなので、引き続き取り組んでいきたいです。
今後の展望についてお話しください。
仕事や子育てで忙しい世代の方々も気軽に受診できるよう、診察枠を縦と横に拡張するのが夢です。縦は時間、横は曜日です。それにはまず人員の確保が欠かせません。医療は24時間365日体制が理想かもしれませんが、それを一人の医師が担うことは決してあってはいけません。年間約8000人の医師が誕生していますが、そのような働き方ができるのは1割にも満たないでしょう。でも、皆で力を合わせれば、より多くのニーズに応えることができるはずです。当院では、常に情報共有ができるように院内ネットワークを構築し、スタッフ全員でクリニックづくりに取り組んでいます。患者さんのためのアイデアがあれば誰でも書き込める場所を設け、いいと思ったものはすぐに取り入れます。誰もが十分に力を発揮できるよう、一人ひとりを大切にしながら、クリニックを進化させていきたいですね。
最後に、地域の方々へのメッセージをお願いします。

当院の発展だけではなく、地域全体の医療がより充実するように、病診連携、診診連携を推進していきたいと考えています。例えば、一般的な内科クリニックで「リウマチの疑いあり」となった患者さんが、紹介状がなくてもクリック一つで当院を予約できるシステムがあれば便利ですよね。その他、地域の方々が安心して暮らせる仕組みを考えていきたいと思っています。ロゴマークには、実は小さな人も描かれているのを気づいていただけましたでしょうか。傷ついた人を木陰に憩わせ、元気を回復させるようなイチョウの大木になりたいと願っています。院内でできる限りの検査と治療をしつつ、高度医療が必要な場合には適切に水先案内をしていきますので、小さなお悩みでも気軽にお立ち寄りください。