吉岡 容子 院長の独自取材記事
高梨医院
(さいたま市浦和区/浦和駅)
最終更新日:2025/09/03

浦和駅から徒歩8分の住宅街にある「高梨医院」は、3代続く地域密着のクリニック。2022年に院長に就任した吉岡容子先生は、目を真っすぐに見て話を聞くドクターで、誠実な人柄がうかがえる。保険診療を基礎とし、その上にプラスアルファで美容皮膚科があるという独自の考えで、若年層から高齢者層まで幅広い年齢層の患者に対応。「こんなに目を見て話してくれる先生は初めて」と、以前患者から言われたエピソードや、86歳で週5日診療を続ける父親への尊敬の念、長年勤務するスタッフへの感謝など、飾らない人柄が印象的だ。馬術を20年以上続ける健康的な趣味も持ちながら、地域の人々の肌の健康と美しさを支える吉岡院長に、診療への想いを聞いた。
(取材日2025年7月23日)
3世代続く医療への想いと地域との絆
クリニックの歴史と地域との関わりについて教えてください。

私の祖父にあたる高梨万太郎が名古屋病院という名前で産婦人科を開いていて、その後を引き継いだ父が1977年に当院を開業。父は脳神経外科、私は皮膚科・美容皮膚科と、それぞれ違う分野で地域に貢献してきました。浦和の方でしたらご存じの方も多い、地域密着型の医院になります。お孫さんを連れて来られる高齢の患者さんも多く、私が赤ちゃんの時から知っている患者さんなどは「立派になられて」と声をかけてくださいます。父も私も浦和出身で、地域のことはよく知っていますし、患者さんがどこに住んでいるかということもわかるんです。患者さんと「あそこのお店、おいしいよね」など、地域の話題で会話が弾むことも多いんですよ。
麻酔科から皮膚科・美容皮膚科へ転向された経緯をお聞かせください。
もともとは全身管理ができる麻酔科医師になりたいと思ったんです。麻酔科というのは、術中管理、術後管理、集中治療、東洋医学、ペインクリニックと多岐にわたる専門分野なんですね。開業も視野にあったので、全身管理ができると、どんな患者さんが来ても対応できると考えました。皮膚科に興味を持ったのは、皮膚が外側を覆う最大の臓器で、人を映し出す臓器だからです。体の中が健康でも、肌が自分の望む状態でないと気持ち的に後ろ向きになってしまうこともあります。心と体の健康には、やはり外側も健康であることが大事なのではないかなと思っていますね。麻酔科での経験は、急変や合併症を見逃さないという意味でもやっていて良かったなと思います。
2022年の院長就任時の心境と、86歳で現役の理事長との関係性は?

父とは40歳離れていますから、今86歳なんですが、それでも週5日診療しているんですよ。だから私も負けてられません(笑)。院長になったといっても、特に何かが変わったという意識はなくて、これまでの延長線上で診療していますね。父は脳神経外科が専門で、私は皮膚科・美容皮膚科と、それぞれ全然違う分野ですから、お互いの責任というのがあります。同じ医院で働く同僚であり、医師としての先輩である父からは教わることも多く、お互い助け合う関係です。父がこの医院で築いてきた患者さんとの信頼関係を大切に守っていきたいと思っています。最近は父が、アートメイクの相談に乗ってくれることもあるんですよ。機械も大好きで、美容皮膚科のレーザーにも興味があるようです。そんな好奇心旺盛なところが、元気の秘訣かもしれません。
保険診療から始まる信頼関係づくり
保険診療を第一とする治療方針について詳しく教えてください。

美容皮膚科も標榜していますが、当院はあくまでも保険診療が優先です。まずは保険診療の治療を行って、保険診療以上の治療をご希望の場合に、「こういう方法もありますよ」という感じで美容皮膚科の提案をしています。初めから「これをやればうまくいきます」というものはなく、治療には必ずベースがあるんです。美容皮膚科の施術は、より良くなるためのちょっとしたお手伝いといいますか、後押しする役目だと思うんです。まず健康な肌をつくる、その上に美容ケアが乗っかってくるわけです。スキンケアの仕方や生活習慣、運動習慣、ここがおろそかだと健康な肌、健康な体にはなれません。そこをご理解いただいて、めざすゴールを共有して初めて信頼関係が生まれ、自由診療を選択肢として提示できるようになるわけです。
皮膚科には幅広い年齢層の患者さんがいらっしゃるそうですね。
幼稚園児のお子さんのほくろを取りたいと言って受診される方もいますし、小学生ぐらいになると脱毛したいという子も来られます。小学校高学年や中学生になると、ニキビや多汗症のお悩みが増えてきますね。お子さんの付き添いで来られたお母さんが「私のしみも診てもらっていいですか?」と、診療を希望されることもあります。今のお子さんの親世代は、脱毛や美容皮膚科のケアが広まった世代の人たちなのであまり抵抗がないのか、お子さんが毛深かったりとか、お友達にほくろを指摘されたりとかで相談にいらっしゃいます。あとは、80代、90代のご高齢の患者さんも珍しくないんですよ。
お子さんの美容皮膚科の施術に対する判断基準やお考えを伺います。

子どもの意思が第一です。例えば、お母さんが「この子のほくろを取ってください」とおっしゃる場合はお断りしています。悪性腫瘍が疑われるものや、日常生活に著しく支障を来しているようなものではない限り、ご本人の意思がなければ行いません。麻酔の注射をしたり、レーザーを当てたりするのは、精神的にも肉体的にもかなりのストレスがかかります。施術の負担に耐えるには、そういったことを理解できる年齢や知性が必要なんです。施術を受けて嫌な気持ちにさせてしまうのは、本来の美容ケアの目的とは違います。ほくろがあることは悪いことではありませんし、脱毛にしても毛が生えていることが恥ずかしいことではありません。ただ、例えば鼻の下に大きいほくろがあるとか、眉毛がつながってしまってお子さん本人がとても気にしていたり、悩んでいたりする場合は、美容皮膚科の施術を検討しても良いのではないかと思います。
患者の心に寄り添う診療スタイル
診療で大切にしていることと、患者さんとの向き合い方についてお聞かせください。

以前、患者さんに「こんなに目を見て話してくれる先生は初めて」と言われたことがあるんです。私からすると当たり前のことで、他の先生はどうしているの? と思ってしまうのですが(笑)。私が大切にしているのは、患者さんに話してもらうこと。今悩んでいることとか、どうなりたいかとか、何がお悩みなのかをよく聞き出してあげることですね。ここに来ていきなりペラペラ話せる人は少ないです。特に悩みが深ければ深いほど。ですから、なるべく患者さん本人がどんどん話してくれるような話しやすい雰囲気づくりを心がけています。「趣味は何ですか?」とか、生活習慣、家庭のこと、仕事のことをお聞きして、お悩みがある場合はそこも掘り下げて伺います。ストレスや悩みの種類は治療する際に関わってきますから、その方のバックグラウンドを把握することはとても重視しています。
スタッフさんのことやチーム医療体制について教えてください。
当院は長く働いてくれているスタッフが多くて、勤続数十年という人もいるんです。看護師もベテランが多いので、皮膚科や美容皮膚科だけでなく、泌尿器科も脳神経外科の診療のサポートもできるんです。機械を使った施術の際もしっかり危機管理をしてくれていて、すごいなと思います。「先生、今日は〇〇さんがレーザーのケアでいらしてるんですけど、体調が悪そうですがどうしますか?」などと、患者さんをしっかり見てくれています。
今後の展望と、地域医療への想いをお聞かせください。

患者さんに求められる治療は何かということを把握してご提供していきたいなと。美容医療もかなり日進月歩ではありますが、新しい治療が世間で話題になっても、私はすぐに飛びつかないんです。安全性が高くて信頼性のあるものを自信を持って提供したいと思っているので、そこは慎重に判断します。美容ケアを受けるなら、安全性を重視してクリニックを選んでほしいという想いがあります。私はこのクリニックを、ご家族やお友達など患者さんが自分の大切な方を紹介してくださるような場所にしたいと思って診療に取り組んできました。地域密着を大事にし、どんなお悩みでも頼っていただける、そんなクリニックをこれからもめざしていきます。
自由診療費用の目安
自由診療とはほくろケア/3300円~、しみケア/3300円~、医療脱毛/両ワキ:7700円、両腕:6万500円、両脚:8万2500円、その他部位に合わせて変動