野川 敏史 院長の独自取材記事
野川歯科クリニック
(札幌市厚別区/厚別駅)
最終更新日:2023/11/01
厚別駅西口から厚別西公園に向かって徒歩7分ほど、厚別西2条3丁目停留所付近にある「野川歯科クリニック」。開業は1990年、2代目院長を務めるのは野川敏史先生だ。前院長は実の父で、子どもの頃から歯科医師を志していたという野川院長。歯科医師となってから10年以上を大学院や大学病院等で過ごし、臨床と研究の2足のわらじを履いてきた。研究職と聞けば街の歯科医院とは縁遠く感じるかもしれないが、野川院長は歯学生時代から地域貢献を志してきたという。当地で長年、親しまれてきた父の歯科医院を引き継ぎ、若き日の志を実現する機会を得た野川院長に、これまでの歩みとこれからについて話を聞いた。
(取材日2023年6月15日)
患者からのさまざまな希望に応えられる歯科医院に
クリニックのご紹介をお願いします。
当院は父が1990年に開業し、2023年4月に僕が継承しました。父の実家は旭川、母は群馬県出身なので、厚別にゆかりがあったわけではなく、偶然この場所に巡り合ったと聞いています。この辺りは高齢の方が多い地域でしたが、最近は代替わりが進んで、若いご家族も増えているように思います。院長職は退きましたが、父はまだ現役で働いてくれていて、補綴が専門の僕と2人体制です。継承にあたっては院内を改装し、新しい機材を入れ、内装は歯科医院らしくなく、安心できるようにカフェ風にしました。この辺りでちょっと珍しいのは、歯科用CTと子ども用の診療ユニットでしょうか。子どもは、背もたれが動くタイプの診療台だと危ないんです。子ども用として寝たまま治療ができるタイプの診療台を導入しています。
お父さまと一緒に働くのは、緊張しませんか?
父は優しくて人当たりが良く相談しやすいタイプなので、アドバイスももらえますし今のところ不満も感じません。世代こそ違いますが、父も北海道大学歯学部卒業で医局も僕と同じ、同窓同門の大先輩なんです。そのせいか、仕事のやり方も大きくは変わらないように思います。一緒に働きだして数ヵ月ですが、患者さんとの信頼関係ができているのが見ていてわかります。長く通われている方も多く尊敬できる大先輩を見習っていきたいと思っています。歯科医師として父から教わったことを踏まえて、患者さんに還元できればと思っています。
先生ご自身が得意にしている治療を教えてください。
歯科医師になって大学の医局に残り、補綴を専門にしてきました。歯学生時代の実習で総入れ歯を作るのが面白かったのと、父も補綴を専門にしていて話題になることも多く、この道を選びました。補綴は物作りなので、どういう設計にするか、噛み合わせはどうか、狙ったとおり機能するか、見た目は良いかなど、考えることがたくさんあって難しいのですが、それがまた面白いんです。経験を生かしていけるかなと思っているのは、欠損補綴ですね。歯がなくなったときに代わりに入れるもの、義歯やブリッジ、インプラントに力を入れたいです。もちろん、僕がこういう治療をしたいというのではなくて、患者さんのご希望でこうしてほしいと言われたときに、さまざまな選択肢を提供して希望に応えられるようにしたいですね。
虫歯予防だけが予防歯科ではない
大学院でも研究をされてきたそうですね。
臨床で患者さんの治療を担当しながら、大学院でも研究をしてきました。研究内容は、インプラントと義歯の比較です。インプラントや義歯の隣の歯はどちらが長く持つかを考えたとき、その歯に神経が残っているかどうかで、長持ちするかどうかが決まることがわかりました。また、インプラントと義歯の噛みやすさや満足度などについても研究を行っておりました。大学院で博士課程を終えた後は、北海道大学病院の臨床研究開発センターというところで医療機器や薬の開発をサポートしたり治験を支えたりするプロジェクトマネジメントの部署にいました。さらにその後は大学病院の予防歯科で、臨床と研究を続けてきました。2023年3月に5年の任期が満了し、父の年齢のこともあったので、当院に入職することになりました。
補綴だけでなく、予防歯科も研究されてきたのですね。
ひと口に予防歯科といいますが、実は予防はいろんな段階にあるんです。一般的には虫歯にならないようにする予防歯科のイメージが強いと思いますが、虫歯だけでなく機能障害を予防するというものがあります。口腔機能を維持するためのリハビリテーションもまた予防につながるのです。最近はオーラルフレイルといって、口腔機能の衰えが全身の衰えにつながるという問題も注目されています。当院でも、噛む能力や舌の検査をしていただけます。最近は保険でできるようになりましたし、僕自身も予防歯科で研究してきた分野なので、ご関心があればお気軽にご相談ください。
診療方針や心がけていることなどを教えてください。
口の中は一つの歯を単体で考えるのではなくて、口腔単位で考えることが重要です。虫歯にしても歯周病にしても、その一本だけ治療を終えても解決になりません。根本的な原因や、他の歯の状況はどうかも考えていかないと、また同じことの繰り返しになります。場合によっては生活指導や栄養指導も必要と考えて、治療に取り組んでいます。患者さんに対して心がけていることは、説明をしっかりすることです。歯科治療は外科治療ですから、管理が重要です。治療にかかる説明はできるだけわかりやすく、怖くないようにと思っています。また、痛みを軽減するために麻酔を用いるなどの工夫も行っています。
幅広い世代に向けて診療内容を充実、地域貢献を志す
歯科医師を志した理由を教えてください。
小学校の卒業式の時に、将来なりたい職業を発表するというのがあったのですが、その当時から「歯科医師になりたい」と言っていましたね。消去法みたいですが、他に興味が惹かれるものがなかったという理由もあります。自宅の1階が歯科医院だったので、休診日は父が技工をしている隣で遊んでいたり、模型を眺めたりしていたので、歯科医療はいつも身近にありました。僕の口の中の管理は、ずっと父にサポートしてもらってきたんです。高校生になっても歯科医師になろうという意志は変わらず、北海道大学歯学部に進みました。
今後の展望をお聞かせください。
大学入学当初から、仕事を通じて地域医療に貢献したいと考えていましたし、今でもそこは変わっていません。学生時代は漠然と考えていたことが、だんだんとクリアになってきたという面はあります。北海道大学で働いていた頃から、研究と臨床を通じてインプラントをやってきたので、当院でも将来的にできるよう、歯科用CTなどの専門的な機材を入れて、準備を進めています。今は歯科用CTの利用にも保険が使えることがあるので、インプラントだけでなく、埋伏歯や小児の過剰歯の確認も行えます。前院長から業務を引き継いでまだ3ヵ月なので、まだまだバタバタしている状態ではありますが、当院を信頼してくださる患者さんに、できるだけ長く安心して通っていただけるようにと思っています。
読者へメッセージをお願いします。
当院は2023年4月にリニューアルし、小さなお子さんからご高齢の方まで診られる体制を整えました。診療内容においても、補綴ではブリッジや義歯、インプラントなど患者さんのご希望にお応えできるよう幅広く対応します。さまざまな状態にあるお子さんの治療についても、ご相談いただけます。個人宅や施設等への訪問診療も行っていますので、お気軽にお声がけいただければと思います。
自由診療費用の目安
自由診療とはインプラント/40万円~
金属床義歯/25万円~