放置すると死亡リスクも高まる
睡眠時無呼吸症候群の検査と治療
湘南台しらがクリニック
(藤沢市/湘南台駅)
最終更新日:2025/10/02


- 保険診療
寝ている間にたびたび呼吸停止が起こる睡眠時無呼吸症候群。中年以降が患者の中心ではあるが、20代や30代といった若い世代でも発症し、放置すると突然死に至るケースもある恐ろしい病気だ。「湘南台しらがクリニック」で睡眠時無呼吸症候群の診断・治療に取り組んでいる白神敏雄院長も、「寝ている間のことで本人は気づかないので、未治療のまま放置されているケースも多いでしょう」と話す。しかし、突然死や循環器疾患による寿命短縮のリスクが伴う睡眠時無呼吸症候群は、放置リスクの高い疾患だ。「大切な命を守るためにも、早めの受診をお勧めします」と話す白神院長に、病気の概要や検査・治療について詳しく聞いた。
(取材日2025年9月18日)
目次
自覚がないからと軽視は危険。早めの受診で大切な命を守って
- Q睡眠時無呼吸症候群とはどのような病気ですか?
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A
▲落ち着いた雰囲気の待合室
睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは、睡眠中に舌の沈下やぜい肉による圧迫などで気道がふさがり、呼吸が何度も止まってしまう睡眠障害の一種です。寝ている本人に自覚はなくても、睡眠中に呼吸停止が繰り返されることで、睡眠の質が大きく低下します。そのため、夜間しっかり寝たのに昼間に強い眠気を感じたり、集中力低下や倦怠感、意欲低下といった症状を感じたりする人も少なくありません。特に肥満の方に多く、糖尿病などの生活習慣病とも密接に関係しています。寝ている間の呼吸停止により突然死するケースも一定数あり、放置リスクのある怖い病気です。適切な検査と治療が重要となります。
- Q睡眠時無呼吸症候群の検査はどんな人が受けるべきですか?
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A
▲早めの受診が治療の鍵に
無呼吸は寝ている間に起こるということで、本人が気づくことはほぼありません。多くの場合は、ご家族や一緒に旅行されたご友人らから、「大きないびきをかいている」「寝ている時に呼吸が止まっている」などと指摘されたといったことが受診につながります。本人に自覚がないのもこの病気の恐ろしいところ。痛みもつらさもないので「病院に行こう」と思わないのです。また、日中の強い眠気や仕事中の集中力低下、朝起きても疲れが取れないといった症状がある方も要注意です。肥満傾向や糖尿病がある方は特にリスクが高いため、睡眠障害のサインを感じたら早めに検査を受けることが大切です。
- Q検査について詳しく教えてください。
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A
▲検査結果を丁寧にフィードバックし、治療を進めていく
当院ではご自宅で実施できる簡易検査を導入しています。検査会社のスタッフが機器をお届けしますので、ご家庭で就寝時に装着していただき一晩測定します。翌日またスタッフがご自宅を訪問して機器を回収。得られた検査結果は後日解析され、診断に用いられます。呼吸の状態や無呼吸の回数をモニタリングし、これが診断基準を満たせば治療適応となるのです。こうした自宅での簡易検査では、患者さんが病院に入院する必要がなく、普段どおりの環境で検査できる点がメリットでしょう。
- Q治療の流れを教えてください。
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A
▲継続した装着が生活の質改善につながる
治療の中心はCPAP療法と呼ばれるものになります。これは睡眠中に鼻に装着した機器から強制的に陽圧の空気を送り込み、気道がふさがらないようにする方法です。機器にはセンサーがついていて、呼吸停止を感知すると作動するようになっています。CPAP療法によって睡眠中の無呼吸の抑制を図ることで、正常呼吸と質の良い睡眠が得られる状態をめざします。そうすると、日中の眠気や疲労感の改善が期待でき、糖尿病など合併症の悪化予防にもつながるのです。まずは検査で診断を確定し、その後治療を継続して、生活の質の向上をめざしていきましょう。
- Q放置するとどのようなリスクがありますか?
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A
▲さまざまな疾患を併発するリスクがあるため、早めの治療介入を
睡眠時無呼吸症候群を未治療のまま放置すると、呼吸停止による突然死の危険性があります。無呼吸により脳が酸素不足に陥り、眠ったまま死亡に至ってしまうケースがあるのです。さらに、低酸素による不整脈を誘発し、心筋梗塞や脳梗塞といった重大な疾患のリスクを高める恐れもあります。糖尿病や高血圧症などを併発するケースも多いのですが、これらは全身の血管に影響を及ぼすこととなり、死亡リスクを高めてしまいます。睡眠時無呼吸症候群は、自覚症状に乏しい病気であるため、未治療のままとなっている方も少なくありません。しかし、早めに受診することが命を守る第一歩となるのです。