原因食物の摂取可能量を見極めることが重要
食物アレルギー
武蔵小杉ささもと小児科・アレルギー科
(川崎市中原区/武蔵小杉駅)
最終更新日:2025/05/30


- 保険診療
近年、増加傾向にあるという食物アレルギー。特定の食べ物を口にすることで、アレルギー反応を引き起こすものだ。日本アレルギー学会認定アレルギー専門医であり、相模原病院で数々の食物負荷試験を経験し、さらに研究に従事してきた笹本光紀院長による武蔵小杉駅直結の「武蔵小杉ささもと小児科・アレルギー科」では、アレルギー疾患に対する専門的な診療を展開。特に食物アレルギーに対する食物経口負荷試験に力を入れている。「現在の食物アレルギーの考え方としては、原因となる食べ物をどの程度まで摂取できるかの見極めがたいへん重要。それを判断するのに役立つのが食物経口負荷試験です」と話す笹本院長に、食物アレルギーや食物経口負荷試験などについて詳しく解説してもらった。
(取材日2023年8月25日)
目次
食物アレルギー診療に欠かせない食物経口負荷試験。確定診断を行い、摂取可能量を見極める
- Q食物アレルギーとはどんな病気で、どんな症状が起こるのですか?
-
A
▲アレルギー症状の疑いある場合は、すぐに相談を
特定の食べ物を摂取した際に、皮膚、粘膜、呼吸器、消化器、神経、循環器などにさまざまなアレルギー反応が起こる病気です。離乳食が進み多様な食物を食べ始める1歳前後から入学前までの乳幼児期に発症する子が圧倒的に多いですが、中にはある程度大きくなってから発症する子もいます。原因となる食物を食べてから数十分後くらいに、じんましんや嘔吐、咳などの症状が出るのが一般的です。中には呼吸困難や意識を失うような重い症状が出るケースもあります。原因となる食物は多岐にわたりますが、乳幼児では鶏卵、小麦、乳の3つが圧倒的な割合を占めており、成長とともにナッツ類や甲殻類などに反応するお子さんが増える傾向があります。
- Q食物経口負荷試験とはどのような検査ですか?
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A
▲検査結果が出るまでの待ち時間もゆったり過ごせる
原因となる食べ物を一切取らない「除去」が主な対処法だった時代もありますが、現在では、どの程度なら食べても症状が出ないのか、安全性に配慮して摂取できる量を見極め、その範囲での摂取を許容する方法が一般的です。この方法に欠かせない食物経口負荷試験は、それぞれの子がどの程度の量まで原因食物を食べても大丈夫かを判断する検査です。万が一に備えて医師や看護師が待機し、薬剤もそろう医療機関内で特定食物を実際に食べ、その後2時間程度の経過を観察します。間隔を空けて検査を繰り返し、その都度摂取可能な量を確認します。年に3回までは保険適用で実施することが可能です。
- Q食物アレルギーに対してどのように対処していくのでしょうか?
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A
▲アレルギーによる親子の不安や負担の軽減をめざす
食物アレルギーに対して定期的な薬を用いるようなケースはほとんどなく、摂取する食物の調整により対処していきます。1歳前後の低年齢で発症するお子さんは、小学校入学までには通常の範囲内での摂取であれば症状が出なくなることが多いとされています。しかし、中には症状が続くお子さんもおり、特にある程度成長してから食物アレルギー症状が出現する中途発症では、治りにくい傾向があることが指摘されています。ですので、年齢や症状、経過を考慮し、一人ひとりに合わせた方針を決定することが大切です。
- Q食物アレルギーで受診する際の医院の選び方などありますか?
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A
▲栄養面も考慮した食事メニューのアドバイスもする笹本院長
食物アレルギーを含むアレルギー疾患の診断と対処には、経験に基づく繊細な判断と調整が求められます。そのため、アレルギー診療に対して一定以上の専門性を持つ、日本アレルギー学会認定のアレルギー専門医がいるクリニックへの受診をお勧めします。特に食物アレルギーの食物経口負荷試験には、経験が必要です。多くの場合アレルギー診療を専門的に行っている大学病院などで受けることになりますが、もともと受け入れ機関が多くないことに加え、近年のアレルギー患者さんの増加もあり、そうした医療機関で検査を受けるには数ヵ月の待機が必要なケースも。当院のような身近な医院であれば比較的迅速に対応できますので、ぜひご検討ください。