世田谷OAクリニック

世田谷OAクリニック

石川 和利院長

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訪問診療には、医療に関する総合力が求められる

―住み慣れた場所で最後まで暮らせる形が重要になりますね。

最後の時を自宅で迎えたいという高齢者が8割くらいいるにも関わらず、ご自宅での看取り体制が整えられていないため、ほとんどの方が病院で亡くなっているのが現状です。そこで、世田谷区医師会では、できるだけご自宅で看取れる仕組みを作っていこうということで、医師会の在宅医療部が中心となり、眼科や耳鼻科など、お年寄りと縁が深い診療科もICTに参加したり、医師会と行政がリードして、地域の中で高齢者が最後まで幸せに暮らせる仕組みづくりを行ったりしています。

―在宅患者さんの具合が悪くなった時に先生が不在の場合は?

機能強化型在宅療養支援診療所といって、在宅療養支援診療所や在宅療養支援病院が集まって横のつながりを持ち、患者さんを紹介しあったり、お互いをフォローしあったりする仕組みを持っています。当院もそこの一員で24時間365日相談できるようになっています。また、訪問診療の患者さんをいつでも受け入れる回復期病床を持つ病院が世田谷区には3つあり、当院では全ての病院と連携しています。回復後は自宅に戻って療養を続けるという体制ができているので、訪問診療を受けられている患者さんやご家族にとっては心強いと思います。将来的には、このシステムを小児にも広げる予定で、高齢者に行ってきた医療や介護のノウハウを、難病に苦しむ子どもたちにも広げていきたいと思っています。

―患者さんの紹介はどのように入ってくるのですか?

一般的には、ケアマネージャーさんや訪問看護師、あとは医療機関から紹介されるのですが、当院の場合は、患者さんやそのご家族から直接相談されることも多いですね。多くの場合、患者さんは若い頃から決まったクリニックに通っていたけれど、在宅になったら急に知らない先生が担当になったという話をよく聞きます。こうなると、患者さんとかかりつけ医との関係が途切れてしまいます。僕は医師会の人間としてきちんと横のつながりも持ちたいので、必ずかかりつけの先生と連携を取りながら診療を進めていくように心がけています。

―訪問診療は総合力が医師に求められますね。

まさにそうです。幅広い知識がないと訪問診療はできないと思います。例えば、僕は循環器内科出身ですが、内科系だけしかできないのでは訪問診療は成り立ちません。ですから皮膚科や簡単な眼科の診療も行いますし、ある程度自分で診断をつけ、専門の診療科に紹介するか否かの判断ができないと、訪問診療は難しいと思います。患者さんの中には、治療よりも今あるこの苦しみだけを取って欲しいという方もいらっしゃいますし、ときには薬を最小限にしたり、介護や訪問マッサージといった別の領域の人たちと連携したりして患者さんを支えていく必要があります。医療の技術や知識以上に、人とのコミュニケーション能力や折衝能力が、訪問診療には必要ですね。

記事更新日:2016/07/06


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