佐藤 剛 院長の独自取材記事
はちじょう歯科医院
(八王子市/八王子みなみ野駅)
最終更新日:2021/10/12

JR横浜線八王子みなみ野駅からすぐのショッピングモール内にある「はちじょう歯科医院」。同院がめざすのは地域密着の「お口のなんでも屋さん」。「困ったらすぐに相談できる、よろず相談所のような存在になりたいんです」と院長の佐藤剛(さとう・ごう)先生は語る。診療を終えた患者が買い物に行く間に、キッズスペースで子どもを遊ばせるなど、地域住民からも親しまれている。「こんな歯科医院見たことない、と驚く方もいらっしゃいます」と笑う佐藤先生は、補綴を専門に学び、クオリティーの高い技工物製作にこだわっている。子ども好きで気さくな人柄と丁寧な治療で患者からの信頼も厚い。終始明るいムードの中、同院の雰囲気が感じられる患者とのエピソードや力を入れる診療など、たっぷりと語ってもらった。
(取材日2018年4月11日)
祖父から名前を受け継いだ、地域密着の歯科医院
こちらに開業されるまでの経緯を教えていただけますか?

僕は隣の町田市の出身で、母方の親戚がみんな歯科医師という環境で育ったんです。ですから歯科医師をめざすのは自分にとってごく自然なことでした。「はちじょう歯科医院」という名前は、実は祖父の歯科医院の名前。叔父たちはそれぞれ自分の診療所を開いていましたから、小学生の時に「自分が後を継ぐ」と祖父に言ったことがあり、開業したらこの名前にしようと決めていました。大学から20年くらい埼玉にいて、いつかは多摩地区に戻りたいと考えていたところ、こちらを紹介していただきました。先輩方には都心を勧められましたが、地元で、子どもからお年寄りまで幅広く診療する歯科医院を開くのが夢だったので、2011年にこちらに開業することになりました。
開業から7年になりますが、地域との関係はいかがですか?
ご家族全員で来てくださったり、誰かの紹介やクチコミでいらっしゃる患者さんが多く、かかりつけ医として地域に根づいてきたのかなと思います。子どもからお年寄りまで、患者さんの年齢層も満遍なく、幅広いです。初めて来る患者さんは、当院のフランクな雰囲気に驚かれることもありますね。診療後の子ども連れの患者さんに、「ここで遊ばせておいていいよ」と言うと、下のスーパーに買い物に行かれることもあるくらい(笑)。お子さんを預けても安心だと思っていただけるのは光栄です。歯科医院が苦手な人でも通えるような場所にしたかったので、内装も、対応も、明るい雰囲気を徹底しています。
昨年リニューアルもされたそうですね。

家族連れの患者さんが増えて、待合室や入り口スペースがかなり手狭になってしまったので、壁を取り払うなどして空間を確保しました。また歯科衛生士に、予防歯科の観点から新型のユニットを選んでもらい、予防歯科用にユニットを1台増設しました。従来よりも機能的に使いやすく、座り心地も良いので患者さんからも好評ですよ。体が不自由な人の診療でも、このユニットのほうが座りやすいので、空いていればこちらを使うこともありますね。また衛生面では、高い規格の滅菌器を導入しました。クリーンスタッフも新たに採用したことで、医療スタッフは診療面に集中できるようになりましたし、かなり細かなところまできれいに、清潔にしてもらっています。
めざすのは、「お口のなんでも屋さん」
先生が理想とする歯科医療はどのようなものでしょうか?

せっかく来ていただいた患者さんに「できません」とは言いたくありませんから、「お口のなんでも屋さん」として、どんなご相談に対しても「できますよ」と答えられる歯科医院をめざしています。例えば親知らずでも、抜くのが難しい症例だと、大きい病院まで行って抜歯をしなければいけないことがあります。以前、大学病院の初診担当をしていたことがあるのですが、朝早くご来院された患者さんがお昼まで待たされるということも珍しくありませんでした。当院の患者さんにはそういう思いをさせたくないので、月に2回は矯正歯科の先生に、月に1回は口腔外科の先生に来ていただいています。ですから当院では、処置が難しい親知らずの抜歯や、ちょっとした粘膜の疾患にも対応しています。
先生が得意とされる診療についてお聞きします。
大学では補綴を専門に勉強していました。補綴とは、クラウンブリッジというかぶせ物や入れ歯などの、人工の歯のこと。今は歯科技工士さんが製作することが多いのですが、昔は歯科医師がすべて自分で作っていて、僕の祖父も休診日には院内の技工室で補綴物を作製していました。その様子を後ろで見ながら祖父と話すことが多かったので、その影響をかなり受けたのだと思います。僕の場合、色合いやなじみ方などに細心の注意を払い、人工物だとわからないよう、かなりこだわっていますね。補綴は幅広い分野を学ぶので、噛み合わせの治療など、さまざまなお悩みに対応できます。最近は睡眠時無呼吸症候群の患者さんが多く、マウスピース型の器具を使って咽頭を開いたまま固定するという治療を行っています。この器具は噛み合わせを均等に与えるためのものなので、補綴の範囲に入り、顎関節症の治療で使うことも多いですね。
患者さんとの印象深いエピソードがあれば教えてください。

先日、患者さんのお子さんで小学校中学年の女の子が、学校の作文で「歯科医師になりたい」とみんなの前で発表してくれたんです。ご家族が撮影した動画を見せてくれたのですが、「今通っている歯医者さんがすごく優しくて、将来はああいう歯医者さんになりたいから、普段から私も人に優しくしようと思う」と発表していて、スタッフみんなと感動しました。お子さんはどうしても歯科医院を怖がりますから、歯科医師を身近に感じてもらえたらと、当院では「歯医者にならない?」と言っているんです。別のお子さんからも、どうしたら歯科医師になれるか聞かれましたし、着実に歯科医師をめざす子どもを増やしています(笑)。当院に来ている子どもたちが歯科医師になって、みんなでここで働いているのをニコニコしながら眺めるのが将来の夢なんです。
補綴の観点から、予防歯科に注力
最近、特に力を入れている診療はありますか?

予防歯科ですね。補綴は、歯を可能な限り元の状態に近づけるために、かぶせ物をしたり、詰め物をしたりするわけですが、歯や歯茎にどうしても負荷がかかります。その負荷を最小限にするためにはまず、今ある歯をいかに良い状態で残せるかが重要です。ですから、噛み合わせやメンテンナンスはとても大切なんです。当院の予防歯科では、3~4ヵ月に1回のペースで来ていただいて、お口の中の状態の確認とクリーニング、それから場合によってはフッ素塗布や溝を埋める処置など、虫歯予防の手立てを行っています。患者さんにはきちんと歯磨きをすることや、歯を噛みしめないよう意識してもらうことなどをアドバイスしています。歯周病では汚れ以外に、噛みしめが原因ということもあるんですよ。
小児の噛み合わせ治療にも力を入れているそうですね。
歯の大きさは親の遺伝で決まりますが、顎については、もちろん骨格や遺伝の要素もあるのですが、噛むことによって刺激を与えて成長が促されます。最近はやわらかい食べ物が多く、あまり噛まないので成長が促されず、お子さんの顎が小さくなっているようです。結果、歯並びが悪くなり、虫歯や歯周病にもなりやすくなりますし、噛み合わせも悪くなって、姿勢など全身にも影響が出てきます。噛み合わせの治療では、矯正治療のほか、舌の癖、指しゃぶりや鉛筆や爪を噛む癖などがあれば、やめさせるように親御さんとしっかりお話しします。舌や唇を巻き込む癖の場合は、矯正治療の一環で対応できますので、矯正の先生にお願いをしています。
今後の展望も含めて、読者の皆さんにメッセージをお願いします。

今後はこれまで重ねてきたことを、より確かなものにしながら、新しいものも取り入れていきたいですね。医療は日々進歩していますので、一度立ち止まって、現在の歯科医療のベーシックの部分を確認することも大切かなと思っています。また歯科の治療は患者さんからは見えませんから、「何をしているかわからない」という方もいます。まずは何でも聞いてください。患者さんが納得できるよう、診療ではしっかり説明しています。僕はかなりお喋りですよ(笑)。当院では、スタッフ自身が通いたくなるような、明るく丁寧な対応を一同が心がけています。僕よりもスタッフのファンのほうが多いくらいです。当院のモットーは「お口のなんでも屋さん」ですから、どんなことでも気軽にご相談ください。
※歯科分野の記事に関しては、歯科技工士法に基づき記事の作成・情報提供をしております。
マウスピース型装置を用いた矯正については、効果・効能に関して個人差があるため、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。