勝木 崇 院長の独自取材記事
勝木デンタルクリニック
(墨田区/押上(スカイツリー前)駅)
最終更新日:2026/03/03
押上駅から徒歩約1分、東京スカイツリーのほど近くに2014年に開業した「勝木デンタルクリニック」。クラシック音楽の大音量があふれる院内で、幅広い主訴に熱心に向き合い、丁寧な治療に努めているのは勝木崇院長。長年マイクロスコープ(手術用顕微鏡)を診療に用いており、根管治療はもちろんのこと、診断や虫歯治療、そしてメインテナンスにも、マイクロスコープを活用して専門性の高い診療の提供に努めている。患部を拡大した映像を動画として記録し、患者に見てもらうことで治療へのモチベーションアップにもつなげているという。「私がやれることは熱意を持って一生懸命に行うことです」と真摯に語る勝木院長に、診療ポリシーやマイクロスコープを用いた治療について話を聞いた。
(取材日2023年1月13日)
マイクロスコープを用いた専門性の高い治療が強み
こちらにはどのような患者さんがいらしていますか?

遠方からの方もいますが、主にご近所の方がメインで、近隣にお勤めの方が仕事帰りにいらっしゃることもあります。ご家族や友人の紹介で来られる方もいますが、こちらから来院理由をお聞きしないことも多いため、しばらくたってから関係が判明することもあります(笑)。主訴に偏りはあまりありませんが、歯をなんとか治したい、残したいという方が多い気がします。私が根管治療を専門とする歯内療法科出身ということもあってか、他院で治療がうまく行かずに悩まれて来られる方もいらっしゃいます。
マイクロスコープを導入していますが、どのような治療に用いていますか?
マイクロスコープは多くの拡大鏡と違い、見たい物に合わせて倍率を変更し、明るい視野で見られる物です。根管治療の確認等で使われている先生が多いようです。当院では根管治療だけでなく、ほぼすべての処置で使っています。初診時に口の中全体を診察するところから始まり、虫歯を削ったり、歯の汚れや歯石を取ったりするときにも使います。また専用動画プレゼンテーションシステムを連動させているので、治療の様子を動画として記録して、患者さんへの説明にも使います。一般的には鏡や写真を使って説明することが多いですが、動画だと治療の様子がイメージしやすく、すっと納得していただけることが多いですね。今ではあまり意識しなくなりましたが、診療時間のほとんどをマイクロスコープと一緒に過ごしています。
先生は、なぜマイクロスコープを使うようになったのですか?

医局時代、マイクロスコープを根管治療によく活用されていた先生の助手に就いたことがきっかけです。その時マイクロスコープの利用で治療の質の向上につながると感じ、とても感動しました。そして先輩が根管治療以外にもマイクロスコープを使っているのを目撃して、それを自分で実践した時に、再び衝撃が走りました。マイクロスコープによって、自分の行った治療が微細な部分まではっきりと見えてしまったんです。それまでも自分では丁寧な治療を心がけてきたつもりでしたので、結構ショックでした。ただこの経験は非常に良かったと思います、見えなければいつまでも気がつかないままでしたが、自分のダメな部分を直視できたおかげで変わろうと思うことができました。その後幸運にもマイクロスコープを用いて素晴らしい治療を行っている先生に出会うことができました。そのご指導を受け、日々研鑽を積んでいます。
できることには手を抜かず、一生懸命対応するのが信条
メインテナンスにもマイクロスコープを用いているそうですね。

自分ではできていると思っても、意外と見落としていることが結構あったりします。大学病院にいた時、歯科衛生士さんに歯の汚れを取ってもらい、自身が処置した所をマイクロスコープで見てもらったのですが「こんなに汚れが残っているのですね」と驚いていました。歯に水が当たるだけで汚れが取れそうなイメージがあるのですが、きちんと器具が触れなければ汚れも取れないことがわかります。その歯科衛生士さんはマイクロスコープで確認して初めてわかったのでしょう。このことからもメインテナンスにもマイクロスコープが有用だということがわかります。治療とメインテナンス、どうしても治療がメインになりがちですが、この両輪が互いにしっかりしていないとまっすぐ前に進むことはできません。それだけメインテナンスは重要だと考えていますので、基本的に私自身が行っています。
マイクロスコープは、先生側にも患者側にもメリットが大きいのですね。
人は年を重ねると体が衰えていきます。いわゆる老化ですが、私たち歯科医師にとって大事な目も例外ではありません、早い方は40歳ぐらいから老眼を自覚し、もともと見えにくいお口の中がさらに見えなくなっていきます。私は今40半ばで日常では老眼を感じ始めていますが、治療中はマイクロスコープのおかげでその煩わしさから逃れることができています。70歳、80歳になってもよく見える環境で治療ができているのではないでしょうか。またマイクロスコープは若手の先生にとってもメリットが大きいと思います。歯科治療は、見えない環境下で、手指の感覚を頼りに行うことも多いため経験が物を言うのですが、若手の先生にはその経験が足りないことも多いです。その時に実際に目で見て処置を行うことで、経験を積んだ達人しかできなかったことが、経験の少ない歯科医師にも可能になる、とは言いすぎな気もしますが、その助けにはなるはずです。
先生は治療でどのようなことを大切にされていますか?

一生懸命やるということに尽きます。正直に言ってしまうと、私がすべて治しますとはおこがましくて言えません。私だったら完全に治せますよと言えれば患者さんも安心すると思うのですが、勉強をすればするほど対応できることも増える一方で、できないと思うことも増えていきます。ただそれを嘆いても仕方がありませんから、できることは手を抜かず一生懸命に行います。実際、他院で治療を受けるほうが患者さんにとって良い場合もありますから、そう思った際はきちんとお伝えします。患者さんに選択をしてもらい、当院で治療をすることになったときには、熱意を持って精いっぱい対応することが私にできるすべてです。
体の健康につながる、口の中の健康を守れる歯科医師に
先生が歯科医師になろうと思ったきっかけは何でしたか?

祖父が地域の開業医で、その影響もあって医師をめざしましたが、大学受験勉強中に同じく医療分野である歯学部という選択肢が出てきました。体の健康を守るには、まず口の健康が大切だと気づいたため、歯の健康を守る歯学部への願書を出したのです。医師以外では、物理学にも興味がありましたね。中学生の時に見たアインシュタインを特集した番組で、相対性理論というものを知って感動したのを覚えています。もちろん大して理解なんてしていなかったのですが、「時空」なんて言われると今でも興奮してしまいますね。
勤務医から開業医になられたのはなぜですか?
自分のやりたいと思っていた「治すことにこだわる治療」を実現するためです。本来、歯科は医科と違って根本的な意味で「治す」ということは難しいものです。例えば虫歯を治療する時は、虫歯になった部分を取り除き人工の材料で置き換えることになります。現在歯を再生させる技術はまだありませんから、どれほど素晴らしい治療を施しても元のまっさらな歯には戻りません。歯科医師が「治りました」と言っても、お医者さんが風邪をひいた時に「治りましたね」というのとは意味が違います。ただそれでもできる限り元の歯に戻したい、となると極力歯に近い素材を使い、歯の構造を模倣して治すことが重要だと思います。現状はセラミックが適当でしょうか。今後より良い材料が出てくるでしょうし、歯を再生させることも可能になるかもしれません。そうして病気になる前の状態へ戻すことができ、本来の意味で治せるようになれば本当にうれしいですね。
最後に今後の展望を教えてください。

自分の治療技術をもっと向上させることが必要だと思っています。ほかの先生方もそうだと思いますが、生涯勉強が大切ですね。一つの分野だけに特化するのではなく、すべての分野に精通した歯科医師というのが理想かなと思います。もしあらゆる選択肢が自分の中にあれば、その患者さんにとって最適な治療というのはおのずと見えてくるのではないかと思います。実際にはさまざまなことに対応でき、その中で得意分野を持つのもいいと思います。そういう歯科医師をめざして勉強を続けていきたいと考えています。

