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西島 泉 院長の独自取材記事

いずみ歯科クリニック

(台東区/入谷駅)

最終更新日:2021/10/12

西島泉院長 いずみ歯科クリニック main

「いずみ歯科クリニック」は、いい意味でクリニックらしくない。院内に足を踏み入れると、まず待合室を彩る生け花の美しさが目に入る。診察室を覗くと、ユニットの頭上に広がる吹き抜けが開放感を抱かせる。ナチュラルモダンな外観も去ることながら、院内もまるで街角のギャラリーカフェのようだ。そんなリラックス空間で、「自分がやってほしい治療」「家族だったらここまでやってあげたいと思う治療」を提供しているのは西島泉院長。祖父が開業していた土地を引き継ぎ、2010年同じ場所に改装・開業した。西島院長は、どんな質問にもゆっくりと丁寧に答えてくれる女医で、手作業の良さにこだわっているドクター。レントゲンの写真もできるだけ鮮明な画像を観察して、正しい診断をしたいからと、手現像にこだわる。患者と力を合わせることがいい治療の秘訣だと語る西島院長に、歯科診療への思いをじっくり伺った。


(取材日2014年7月17日)

モットーはやり直しをなるべくしない治療。「今」ではなく「未来」の健康を考える

診療の際に、先生が最も心がけていることを教えてください。

西島泉院長 いずみ歯科クリニック1

患者さんとお互いに歩み寄るような関係を大切にしています。それは信頼関係という意味だけでなく、こちらの治療に対し、本気で治りたいと思っていただきたいということ。歯科医師として言わなければいけないことは言いますし、厳しくご指導させていただく場合もあります。その指導をきちんと実践し、私と一緒に治療していく気持ちを持っていただきたいのです。どちらが一方的な姿勢を示しても、治療はうまくいかないものなんですよ。こうした診療スタンスは、大学病院の後に勤務した千葉歯科医院の院長に学びました。診療技術から診療に対する考え方まで何もかも感銘を受けた、とても尊敬している先生です。当院で私が実践していることの多くは、その先生からの教えがほとんどですね。

なるほど。では、実践している教えの中で特に大切にしているものは何ですか?

特に大切にしているのは、「過不足のない診療」という考え方です。当然、治療に不足があってはいけませんが、やり過ぎてもいけないというのがその先生の考え方でした。その教えのもと、私は当院で診療する際「第一段階では最低限ここまでは治療したほうがいい。第二段階ではここまで治療します」といったように、だいたい三段階に分けてご提案するようにしています。もちろん患者さんの要望を聞くだけでは十分な治療と言えませんから、第二段階、第三段階の治療をしないことで出てくる弊害についてはしっかり説明しますよ。当院の場合、治療後は必ず定期健診に来ていただいていますので、そうした中で治療が必要と判断すれば説明し、患者さんに納得していただいた上で次の段階に進んでいます。私の診療モットーは、自分や家族が患者だったらどういった治療をしてほしいか。いつかやり直さなければならない治療をなるべくしたくないので、治療後はできる限り長くいい状態を保てるよう、先を見据えた丁寧な治療を心がけています。その甲斐あってか、最近は「いろんな歯科医院に行ったけど納得できなかった」と言って、足を運んでくださる方が増えました。

クリニックの特徴を教えてください。

西島泉院長 いずみ歯科クリニック2

診療過程全体を視野に入れつつ、その人に合った治療を施していくところですね。虫歯や歯周病など口の中の疾患は、人が経験する最初の生活習慣病です。そこで私は、一人の患者さんに対して「どんな治療をしていけば生活習慣病を改善していけるか」ということを目標に治療しています。虫歯や歯周病の治療に大切なのはお手入れで、私一人が治療しようと頑張るだけでは、病気は治せません。だから私は普段のケアをご指導することに力を入れ、患者さん一人ひとりの生活背景に適した歯磨き指導を診療に取り入れています。普段のケアは患者さんに努力していただくしかないので、ここが一番お伝えしなければいけないベースラインだと思いますよ。そして、さらにいい治療をしていくためには、「きちんと治したい」と意思を持つことが大事。そう思えばケアも習慣づけていけますし、治療の効果もよりはっきりと感じていただけるはずです。患者さんの「治したい」気持ちに全力で応え、最善の治療や手助けをしていくのが歯科医師としての私の務めだと思っています。

より良い歯科診療のため苦手を克服。妥協のない丁寧な治療を心がける

開放感があって素敵な診察室ですね。花がたくさん飾られた待合室も落ち着きます。

西島泉院長 いずみ歯科クリニック3

ありがとうございます。私は一人の患者さんに長く診療時間をいただくことが多いので、少しでも居心地がいい空間になるよう院内設計にはこだわりました。設計士さんと二人三脚で、インテリアの色や部屋の仕切りなどもずいぶんお話しさせていただきましたね。この場所はもともと祖父が歯科医院を開業していた場所です。祖父母が他界した後はずっと空き家でしたが、ずっと空き家のまま置いておけないと家族で話し合い、私が引き継ぐことにしたのです。小さい頃から祖父母の家にはよく遊びにきていたので、この辺りの土地勘はありましたし、「祖父の跡を継ぎたい」という気持ちもどこかにあったのだと思います。

では、歯科医師をめざしたのはお祖父さまの影響ですか?

そうですね。祖父の背中を見ながら育ったので、小さい頃から興味がありました。また、家系に医療関係者が多く、私も医療を通して社会貢献したいと考えたのも理由の一つ。私は幼い頃から細かい作業が好きでしたから、医師より歯科医師のほうが自分に合っていると思いこの道を志しました。私は覚えていないのですが、小学校3年生の時の作文に「夢は歯科医師」と書かれていたようなので、かなり昔から心は決まっていたようですね(笑)。

大学卒業後は、どのように経験を積まれたのでしょうか?

大学卒業後は、東京医科歯科大学の附属病院で研修医時代を過ごしました。そこでは2年間さまざまな科目をオールラウンドに学び、その後「歯髄生物学」という根の治療を専門分野に進みました。私はもともと歯周病を学びたかったのですが、大学卒業時、新潟に残って歯周病の勉強をするか東京に戻って別の勉強をするか、選択を迫られたんですね。歯科医師になると決めた時から、いずれ祖父の想い出が残るこの場所で開業したいと思っていたため、研修期間は東京に戻りたいと思っていました。勉強か研修場所を取るかで悩み、結局東京に戻ることを選びました。根の治療について勉強しようと思ったのは、歯科の中で一番苦手な分野だったから。これから開業していくにあたり、苦手を克服したいと考えたのです。

先生が思う、歯の健康を保つための秘訣を教えてください。

西島泉院長 いずみ歯科クリニック4

ブラッシングの時間を長めに取って、適切な磨き方をすること。これが意外にできていない方が多く、当院ではその指導もさせていただいています。特に大事なのは、歯と歯の間のケア。歯周病や虫歯は歯間から始まりますから、歯間ブラシやフロスを使って掃除していただきたいと思います。フロスは使いづらいイメージや面倒くさいと思っている方が多いですが、子どものうちから習慣づけておくと面倒くさく感じなくなるものですよ。また、生活の中で気をつけてほしいのは、食べ物を頻繁に口に入れないこと。間食しないのはもちろんですが、飲み物を口にする場合も注意が必要です。デスクワークの時など、砂糖の入ったコーヒーやジュースを飲む方は、お茶や水に変えるよう心がけていただきたいですね。

患者自身の「治したい」と思う気持ちが、いい治療を引き寄せる

お休みの日はどのように過ごしていますか?

西島泉院長 いずみ歯科クリニック5

残念ながら、現在は診療のない日も何かしら仕事をしていて、お休みといえる日がないんですよ。事務なども全部私が行っているため、どうしても時間が取れなくて。先日も友人から「歯医者が趣味」と言われてしまうほどです(笑)。あとは、趣味と言えるかわかりませんが、花が好きなので自己流で生けたりするのは好きですね。院内にある花も全部私が生けました。ちょっとしたリフレッシュには、音楽をよく聴いています。本当は昔から習ってきたバイオリンを弾きたいのですが、なかなかその時間は取れません。今後、時間と心の余裕ができたらまた弾きたいですね。

先生ご自身の今後の展望を教えてください。

歯科医療もどんどん進化し、さまざまな診療スタイルができあがってきました。進化した診療技術が患者さんのためになっている反面、ドクター同士が気持ちを共有することは難しくなってきたように思います。私は今後、そのばらばらになった気持ちを少しでも一つにまとめていけるよう、歯科界に働きかけていければいいなと思っています。歯科医師それぞれにこだわりがあるのは当然ですが、本当に患者さんのためを思うのなら、先ほどお話しした患者さん自身の意識を高める指導など、基本的な診療を大切にすべきだと私は考えています。けれど、歯科界が心を一つにすることは非常に困難です。自分の医院のことで精一杯のときもありました。でも、お世話になった先生方から歯科の未来のために力を貸してほしいと言われ、私を導いてくださった先生方の志を、少しでも若い世代に繋いでいきたいと思ったのです。私にできることは少ないですが、それが未来への第一歩になればうれしいですね。

最後に、読者へメッセージをお願いします。

西島泉院長 いずみ歯科クリニック6

患者さんには、もっと自分の意思を持って治療にあたっていただきたいと思います。自分はどんな風に治療していきたいのか、どんな状態まで治したいのか、それはご自身にしかわからないことです。「治したい」という気持ちがなければ、どこに行っても満足できる診療を受けることはできないでしょう。すぐに自分に合ったドクターと巡り会えなくても、その意思さえ持っていれば、自然と引き寄せられていくものだと私は思います。満足できないと思ったらさまざまな歯科医院に足を運んでみるのも一つの手段。治療を中断するのが一番歯に悪いですから、きちんと最後まで治療できる歯科医院とドクターを選んでいってくださいね。

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