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中村 慎 院長の独自取材記事

中村歯科クリニック

(横浜市緑区/長津田駅)

最終更新日:2020/04/01

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「みなさんの口の中を世界で一番幸せにしたいんです」と、少し照れくさそうな笑顔で話す中村慎院長。2013年、東急線・JR線の乗換駅でもある長津田駅近くに「中村歯科クリニック」を開業し、年齢を問わず「痛みの少ない治療」「痛くならないための予防」を重視した診療を行っている。特徴は高齢の方の長期入院を防ぐ地域医療に力を入れている点。病気やけがで体の自由が利かなくなったとき、歯磨きや入れ歯の調整といった適切な口腔ケアが、健康の維持・回復に役立つのだという。「例えば入れ歯の調整でかみ合わせが正常になると、全身にグッと力が入ります。これでリハビリがスムーズに進み、自力で歩けるまで回復した方を何人も見てきました」と語る中村院長は、30年近く総合病院での診療経験を持つベテラン。開業したのは自宅への訪問診療による早めの口腔ケアで、多くの人が入院することのない社会にしたいからだと語る中村院長の熱い思いを聞いた。
(取材日2014年3月13日)

健康で長生きの秘訣は、高齢の方への適切な口腔ケア

長年の病院勤務をへて開業医になられたと聞きました。

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ええ、町田市民病院に4年間勤めた後、鶴見大学歯学部教員になって10年間大学病院で診療していました。さらに横浜田園都市病院も含めると全部で30年近く、こうした病院で診療してきました。しかし病院では地域との積極的な連携がなかなか難しく、「ならば自分で開業しよう」と50代で一大決心したんですよ(笑)。目標の一つはお子さんから高齢の方まで幅広い患者さんを対象に、「痛みの少ない治療」と「痛くならないための予防」を重視した診療を行うこと。もう一つの目標は訪問診療に力を入れ、高齢の方や障害のある方の長期入院を少しでも防ぐことなんです。特に高齢の方はけがや病気などで体が動かせなくなったとき、適切な口腔ケアがされていないと、誤嚥性肺炎のリスクが高まります。これによって本来は自宅療養で済むような症状でも、肺炎でリハビリの開始が遅れて病院での長期入院に、さらに入院中にまた肺炎を起こして今度は寝たきりに……。そんな悪循環を私は医療現場で何度も目にしてきました。ですから訪問診療で自宅療養のときから口腔ケアを行い、最初の入院でも目配りをして、長期入院を引き起こす誤嚥性肺炎を減らしたいと思ったんです。

どうすれば誤嚥性肺炎を減らせるのですか?

誤嚥性肺炎は唾液や食物などが誤嚥によって気管に入り、それらに含まれている細菌が肺で繁殖して起こります。この対策は難しいように思えますが、実は「口腔内のケアで細菌を減らす」「誤嚥を起こしにくいように摂食嚥下(食物の飲み込み)を改善する」ことで、その発症率は大幅に低下します。私が10数年前から勤めていた横浜田園都市病院は療養型医療施設で、高齢で長期入院の患者さんがほとんど。着任して口腔ケアの改善に取り組んだことにより、誤嚥性肺炎の発症率は同様の医療施設に比較して約1/3にまで減らせました。長津田で開業したのは、この田園都市病院で担当していた患者さんも継続して診たいと考えたからなんです。また訪問診療のために交通の便のよさも重視して長津田が有力な候補になりました。ただ場所は決めてもいい物件はなかなか空かず、病院を辞めて1年間は“浪人生活”(笑)。もっともその間に在宅や施設の訪問診療を手伝って経験を積めたので、結果的にはよかったのかもしれません。

訪問診療は肺炎予防のほか、どんなことに役立ちますか?

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訪問診療の中で入れ歯やかみ合わせの調整をきちんと行えば、身体機能の改善や病気の回復も期待できると考えています。実は以前から医療現場では、「ちゃんとかめると歩ける人が増える」といわれてきました。私も病院に勤めていた頃、整形外科の医師に「入れ歯がリハビリにいいと聞いた」と頼まれて、多くの患者さんの入れ歯を作ったり調整したりしたんです。それによって「何かにつかまっても立てなかった患者さんが、少しのサポートで立てるようになった」などの、大きな成果がみられました。また認知症の改善にも役立った例まであります。これらは都市伝説的に半信半疑でしたが、最近は医学的な解明も進んでいます。きちんとしたかみ合わせによって体に力が入り、また脳への刺激や血流の増加が見込まれるなどの効果がわかってきたんですよ。訪問診療でこうしたかみ合わせ改善に取り組めば、入院せずに済む方はもっと多くなるのではないでしょうか。

地域の幅広い医療ニーズへの対応と、訪問診療を主軸に

ところで院内は青がイメージカラーなのですか?

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ええ、医療関係の知人に聞くと「歯科医院でこんな濃い青はあり得ない」と笑うのですが、私は昔からスキューバダイビングやウインドサーフィンが趣味で、とにかく海が大好きなんです。ですから院内のインテリアを考えたとき、色は迷わずブルーに決めました。本当は当院のユニホームもアロハにする予定でしたが、これはスタッフからNGで中止に(笑)。しかし私が以前に勤めていた病院にはビーサン、短パン、アロハシャツで通勤していたので、問題ないと思うんですが……。それに町中で患者さんとすれ違っても、私だと気づく人はいませんでしたからね(笑)。

改めてこちらの診療方針をお聞かせください。

当院では訪問診療に積極的に対応しますが、もちろん院内でもお子さんから高齢の方まで幅広く診療しています。丁寧に患者さんの話を聞き、わかりやすい説明に努めるのは当然。治療方法も患者さんの気持ちを考えた上で提案し、ご本人が納得して選んだ治療を行っています。また「痛みの少ない治療」のためには適切な麻酔が大切ですが、私は大学病院の口腔外科手術などで麻酔を数多く担当した経験があり、安心して任せていただけると思います。表面麻酔で注射針が刺さる痛みや注射液が入る感覚なども軽減できますし、笑気ガスを使った麻酔や静脈鎮静法なども相談の上でご利用いただけます。「痛くならないための予防」は歯科衛生士が中心となった歯磨きの指導やクリーニングなどですが、こうした予防向けのメニューには痛みを伴いませんから気軽に受診していただければと思っています。

今後の診療にどのような期待をお持ちでしょうか?

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地域では医療関係者が相互に連携する仕組みが未成熟なこともあり、訪問診療が必要な患者さんやご家族に対する情報提供が不足していると感じています。今後は自分なりに地域のネットワーク作りを進め、より多くの方に訪問診療の利点を知ってほしいですね。幸い以前一緒に仕事をしていた医師や歯科医師、歯科衛生士のみなさんが当院をよく受診されているので、まず身近なつき合いから情報を広げていくつもりです。実は若手の医師や歯科医師に向けた勉強会をいずれ開く予定で、当院内には診療室と同程度のスペースを別に確保しているんですよ。これも周囲からは「もったいない、あり得ない」といわれるのですが(笑)。しかし地域の医療従事者、介護・福祉の関係者の連携で積極的な口腔ケアに取り組めば、より多くの方の摂食嚥下の改善ができるはず。それによって高齢の方も入院や寝たきりにならず、「口の中まで世界一幸せな一生」を送れる社会にしていきたいんです。

医師の診療への期待感が薄れ、改めて歯科医師を選んだ

先生が歯科医師になられた経緯を教えてください。

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それがかなり紆余曲折ありまして(笑)。もともとはアメリカのテレビドラマなどに憧れて、人を助ける仕事として医師をめざしていました。しかし私が高校生のときに親友や叔母が相次いで亡くなり、「病気を治す医師も無力なときがある」と今さらながらにショックを受け、医師の道をあきらめたんです。それでも医療系への希望は捨てられず、悩んだ末に「人の生死にはあまり関わらないだろう」とやや安易に考え、歯学部を受験。ところが入試の面接で口腔外科の教授に「口腔がんなどで、歯科でも亡くなる方はいるんだよ」と諭されて、またがく然としました。とはいえ受験を途中でやめるわけにもいかず、「もともと人の命に関わる医師をめざしていたのだ」と開き直って、入学後は「命にも関わる」といわれた口腔外科を専門に学びました。ただ将来は地域医療にも携わるつもりでしたから、口腔外科のほかにも広く経験を積みたいと考えて、町田市民病院に入職したんです。

これまで経験は開業後の診療にどう役立っていますか?

町田市民病院は地域の中核病院でしたから、歯科の担当でも多様な患者さんを診ることができました。ほかの病気や大きな事故で入院した患者さんの歯を治療するだけでなく、病診連携でクリニックから紹介された患者さん、心身に障害のある方も診てきました。この時、口腔外科などの手術の必要な麻酔の施術を数多く経験し、「痛みの少ない治療」の実践につながっています。また鶴見大学では、顎関節症や口腔がんなど専門的な知識や技術を必要とする治療に携われたのが大きな経験になり、この時の経験がさまざまな患者さんを診る開業医のベースとなっていると思います。また、横浜田園都市病院では改めて訪問診療の大切さを知り、この医院のコンセプトの一つとなりました。一方で教科書通りの知識は、現場でほとんど通用しないことも実感。そうした疑問を解決するヒントになったのは、意外にも大学時代にさほど重視しなかった解剖学、生理学、薬理学などの基礎分野でした。どんな仕組みで病気になるのか、薬の成分はどう作用するのか……。臨床例の振り返りだけでなく、基礎分野の勉強を何時間も続けたことで、何とか自分なりに納得のいく診療ができるようになったと感じています。

開業されて1年たち、お休みの過ごし方は変わりましたか?

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休みの日は自転車に乗ったり、ヨットレースに出たりしていますが、昔から目移りするタイプで、大学時代はスキーとバトミントン、卒業後はゴルフ、スキューバダイビング、ウインドサーフィン、ヨットといろいろ経験してきました。しかし10年くらい前は不健康の極みで、病院の階段を上るだけで息切れする状況。さすがにマズイと思ってウォーキングを始め、その後に膝への負担が少ないと聞いた自転車に変え、のめり込んでいったんです。短い距離から「江の島まで自転車で行こう」になり、今では富士山の途中まで自転車で上るヒルクライムも楽しんでいます。それが高じて、自分の足で登頂する登山まで始めました(笑)。もっとも開業してからは休みの日もよく出勤しているので、あまり時間は取れなくなってしまいましたが、また機会ができれば出かけたいですね。

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