奥田 和子 院長の独自取材記事
こがねい耳鼻咽喉科クリニック
(小金井市/武蔵小金井駅)
最終更新日:2026/03/03
JR中央線武蔵小金井駅南口から徒歩約2分。医療モールの3階、窓から駅前ロータリーを望む、駅からほど近く便利な場所にあるのが、「こがねい耳鼻咽喉科クリニック」だ。院長の奥田和子先生は、開業前の勤務医時代からこの地で20年以上にわたり診療を続けてきた。東京都市部から30分程度というベッドタウンの発展を肌で感じながら、地域医療に向き合ってきたという。耳鼻咽喉科疾患は患者の心理ストレスの影響も大きく、難治疾患もある。そんなさまざまな疾患を持つ患者に奥田院長は誠実さを持って向き合い「厳しい状態でも正直に話す」ことをモットーに診療を行う。近年のアレルギー疾患の増加にも、先取りの気勢と誠実なスタンスで対応している奥田院長に、クリニックの特徴や診療にかける想いを聞いた。
(取材日2026年1月27日)
患者の訴えを柔軟に受け止めた診療を心がける
診療方針を教えてください。

当院ならではのオリジナルな治療ではなく、どこの病院でも行われている標準医療に近づけたいという方針です。入院治療や特殊・高度治療ができない分、診断とアドバイスを適切に行い、必要と判断すれば大きな病院へもご紹介します。紹介状を書くためにも検査が必要なので、なるべく耳鼻咽喉科では画像診断を行い、患者さんご自身と画像の確認をしています。他院に紹介しない場合でも画像は記録をして、通院ごとに経時変化を確認し、治療の進み具合や治療方針を決めるために使っています。患部の状態を言葉だけでご説明しても、なかなか伝わりにくいものですから。
診察で気をつけているのは、どのような点ですか?
患者さんが言えなかった、言葉にされなかったことも大切と考えています。けれど、それは初診ではわかりませんし、ヒントも出てきませんね。つらくても言いたくないという気持ちの場合もありますし、遠慮があったり、患者さん自身が「このような症状は治療と関係ないのでは」と軽く考えて見過ごされていたりする場合や、わかっていてもあえて言わない場合もあります。ですから、言葉で伝えてくれなかった部分に対しては、より一層、気に留めるようにしたいのです。その後、信頼関係ができてから、例えば当院へ来られる前までの治療が痛くて嫌だったとか、精神的につらい背景があるとか、言いにくいことを話してくださる方もいます。医療としてはどうしても症状を枠にはめて考えてしまいがちですが、そうではなくて、患者さんの訴えを柔軟に受け止めるように気をつけています。
先生ご自身のスタンスを教えてください。

私自身は普段はどちらかというと受け身で、患者さんが何を求めているのかを把握することが大切だと思っています。例えば、じっくり説明してほしいのか、調子の悪い時だけササッと見てほしいのか、若い患者さんほどはっきりとした希望をお持ちですね。私はカリスマ性もないし、患者さんを引っ張っていくほうではありません。ただ、正直でありたいです。厳しい状況である場合も、真実の説明を避けて適当な内容をお伝えしていると、病気が進んだときや治療効果がはかばかしくない時に、つじつまが合わなくなってきます。実際、耳鼻咽喉科疾患では治らないものも多いし、治療ではなく自然の力で治るケースもあります。だからこそ、患者さんには正直・誠実に、今日の時点の本当のところをきちんとお伝えしていきたいというスタンスなのです。患者さんにも、「本当のことを言ってくれる医師だな」と思ってもらえればと願っています。
画像診断をもとに、適切な治療を心がける
新しい設備や検査方法を取り入れていると伺いました。

当院の患者さんの中には、職業柄、喉を大切にしている方もおり、声帯の動きを見てほしいというご希望が多く、CTやストロボスコープ、狭帯域光観察内視鏡など検査関連の装置は、新しめの物を導入しています。また、めまいを訴える患者さんに対しては、VRを使っためまい検査が可能です。ゴーグル型の機器を使って眼球の動きを映像として記録・解析できるため、三半規管が原因で起こる前庭性のめまいかどうかを客観的に評価しやすく、適切な診断につながっています。めまいというと「軽いから大丈夫」「ひどいから脳の病気ではないか」と思われがちですが、実は耳が原因のめまいは、強い回転性の症状が出ることも少なくありません。ただ、年齢や基礎疾患によっても異なるので、まず検査によって原因を見極めることが大切です。
患者さんで気になる症例はどのようなものがありますか?
幅広い年代の方がいらっしゃいますが、最近「アレルギーかも?」という相談が増えています。患者さんの年齢が低くなるにつれて多くなっていますね。症状が長引きなかなか治らないというケースもあり、そうするとアレルギーを疑うのですが、お子さんが小さいうちは抗体ができるまで時間がかかり、診断が難しい場合もありますので、長期的に診ながら治療していく必要があるということをご説明しています。また、ご自身の喉について意識していただきたいと思います。特に喫煙される方だと喉頭がんの危険性もあるのですが、気にされていない方も多くいらっしゃる印象です。早期発見できるがんですので、特に喫煙歴のある方は、年に1度は検査に来ていただけたらと思います。
補聴器の相談にはどのように対応しているのでしょうか。

まず聴力検査や言葉の聞き取り検査を行い、現在どの程度聞こえているのかを確認し、その上で一定の基準に基づき、補聴器を使用したほうが良いかどうかを判断しています。ただ、同じ聴力レベルでも、例えば、仕事に支障が出ている方もいれば、ご本人はあまり困っていなくても、周囲とのコミュニケーションに影響が出ているケースなど、年齢や生活環境によって困り事は異なります。そのため、数値だけでなく、その方の背景も含めて総合的に考えることを大切にしています。高齢になってから初めて受診される方が多いですが、いつ頃からどのように聞こえにくくなったのかわかりにくいことがあるため、できれば50〜60代のうちに一度、検査を受けてご自身の聴力を把握しておいていただけるといいですね。
先進の検査機器を活用し診療の精度を上げていきたい
医師をめざしたきっかけを教えてください。また、開業までの経緯は?

私の祖父や父が内科の医師でしたので、自分も自然とめざすようになりました。大学を出て内科のレジデントになろうと思ったところ、人気の科でしたからたくさん学生が集まっていたのですね。それで他の科も探す中で興味を持ったのが耳鼻咽喉科でした。教授の人柄や教室内の雰囲気が良かったこと、また大学時代に所属していたテニス部の先輩に誘われたこともあって入局したのです。ご縁が重なったことで耳鼻咽喉科の道に進み、昭和医科大学病院、横浜南共済病院、そしていったん大学病院に戻ってから今度は関東労災病院、東京高輪病院を経て小金井で働くようになり、その後開業しました。
今後の展望をお聞かせください。
めまいや難聴の診療は、耳鼻咽喉科の大切な分野の1つですが、今後は一般的な耳鼻咽喉科の診療全体に、より力を入れていきたいと考えています。CTや狭帯域光観察内視鏡を活用し、副鼻腔や咽頭の診療精度を高めることで、感染症の治療はもちろん、がんの早期発見にも取り組んでいきたいです。クリニックでできることには限りがありますので、当院で対応できるものと、専門病院へ紹介すべきものを適切に判断し、必要な場合には早めに専門医療機関につなぐことで、患者さんに安心して頼っていただける診療を心がけていきたいと思います。
読者へのメッセージをお願いします。

お子さんがアレルギーかもしれないと悩まれる方もいらっしゃると思います。原因はいろいろと考えられますが、生活環境が清潔すぎて敏感になってしまうという考え方もあります。アレルギーの原因物質は調べられるものもあれば、調べてもわからないものもありますが、新しい治療方法の情報もありますので、ご相談いただければと思います。また、30〜50代くらいの女性の場合、家庭でも仕事でもストレスが大きく、日常生活のアドバイスを求める方も多く見えます。その辺りのニーズにも応えられるように医療情報を整理し、病院に来なくてもできるケアがあれば、お伝えしています。私も患者さんから教わることがあるので、情報交換になりますね。患者さんが取り入れている健康法に不安があれば、詳しく伺って一緒に考えることもありますので、この面でもお気軽にご相談にいらしてください。

