菊田 拓也 副院長の独自取材記事
菊田歯科医院
(小金井市/東小金井駅)
最終更新日:2026/03/13
東小金井駅に程近い閑静な住宅街に位置する「菊田歯科医院」は、1969年に開業して以来50年以上、地域の口腔健康を支え続けてきた。菊田隆夫院長の息子であり副院長を務める菊田拓也先生は、日本歯科大学卒業後、歯科口腔外科や麻酔科にて研修を受けた。血圧測定やモニタリングを取り入れるなど、歯だけでなく体全体の健康を見据えた診療をめざしている。経営より患者を優先し、背伸びせず着実に診療を続けてきた拓也副院長に、全身管理の取り組みや診療で大切にしていることなどについて尋ねた。
(取材日2026年2月18日)
地域に根差して50年、全身管理への想いを胸に
まずはクリニックについてお聞かせください。

1969年に院長である父が開業してから、既に50年以上になります。最初は駅前からスタートし、その後この地域に移転、さらに区画整理を経て現在の場所に落ち着きました。患者さんからは、院内がきれいだとよく言っていただきます。それは院長である父の教えによるところが大きいですね。父は今年88歳になります。非常にきちょうめんな人で「医療機関なんだから清潔感が一番。初めて来る人には最近建てたばっかりですか?と言われるぐらいにしないと駄目だよ」と常々言っています。その姿勢を受け継ぎ、経年を感じさせない清潔な空間を維持するよう心がけてきました。50年の歴史の中で、地域の皆さんに支えられながら診療を続けてこられたことに感謝しています。
院内の設計でこだわった点を教えてください。
現在の診療室は半個室になっていまして、この設計には私自身が関わりました。以前の診療所はオープンスペースにユニットが並ぶスタイルでしたが、業者さんや患者さん以外の方が「失礼します」と言って中央を歩いて通っていくことがありました。それだと患者さんにとっても落ち着かないだろうと感じていましたし、時代とともにプライバシーへの意識も高まっています。そこで建て替えの際、患者さんが安心して治療を受けられるよう半個室にすることを提案しました。壁をスライド式にして、掃除のしやすさや動線にも配慮し、患者さんのプライバシーを守れる空間を成立させています。
これまでのご経歴について教えてください。

日本歯科大学を卒業後、複数の病院や歯科医院に勤務し、歯科口腔外科や麻酔科でも研修を受けました。病院歯科で口腔外科の研修、大学病院で麻酔科の勉強をした後、最終的に当院に戻ってきたというところです。なぜ麻酔科だったかというと、私はもともと内科に興味があり、全身を診ることへの関心が強かったからです。現在は静脈内鎮静法を実施する機会はありませんが、当時学んだ知識は全身管理に生かされています。治療前に血圧を測定したり、パルスオキシメーターという血液中の酸素飽和度や脈拍数を調べるもので状態を確認しながら処置を行ったり、患者さんの全身状態を把握した上で診療を進めるようにしています。
歯科医師も医師の一部、患者との対話を大切に
診療にあたって心がけていることはありますか?

私が大切にしているのは「歯科医師も医師の一部である」という考え方です。医学部と歯学部はさまざまな経緯で分離した歴史がありますが、現在、大学ではまず全身のことを勉強してから歯科口腔領域を学びます。歯科はいわゆる局所外科なわけですから、歯だけを見ていれば良いわけではありません。例えば、舌がんのような疾患を見つけたときは専門病院に紹介しますし、耳の調子が悪いとおっしゃる患者さんには耳鼻咽喉科をご紹介することもあります。「歯医者さんなのになぜそこまで聞くの?」と思われることもあるかもしれませんが、そんな時は「僕らも歯のお医者さんですから」とお伝えしています。
初診の患者さんにはどのように対応されていますか?
初診の方には、まず10分から15分ほどかけてしっかり問診を行います。「今日はどうされましたか?」「いつからどのように痛くなりましたか?」と主訴を聞いた後「今まで何か大きい病気はありましたか?」「現在通っている病院はありますか?」「アレルギーはありますか?」と全身のことも確認していくのです。若い方は「ありません」で済むことが多いのですが、ご年配の方はあちこちの病院に通われていることもあり、丁寧にお話を聞くようにしています。治療時においては、痛みに配慮して「大丈夫ですか?」と声をかけながら治療を進めることを心がけています。父からは「丁寧に、ソフトに」と教わりましたので、その教えを守り続けています。患者さんのお話をよく聞く、患者さんに触れる際には優しく痛くないようにすることが、私が思う「丁寧な診療」です。
持病をお持ちの患者さんへは、どのような対応をされていますか?

お薬手帳を持ってきていただいた場合は、すべてコピーを取って保管しています。現在飲んでいるお薬を確認し、薬の飲み合わせを調べた上で処方を決めるようにしているのです。例えば、ロキソプロフェンが使えない患者さんにはアセトアミノフェンの薬を出すなど、事前に情報を把握しておくことで適切に対応できます。お子さんの場合は用量がわかりにくいこともあるので、近くの薬局の薬剤師さんに連絡を取りながら処方することもありますね。心疾患や糖尿病などの持病をお持ちの方には血圧を測ってから処置を行いますし、対応が難しいと判断した場合は内科の先生に紹介状を書いて、まず全身状態を整えてから治療を進めるようにしています。歯科口腔外科への紹介も迅速に行える体制を整えています。
歯周病と全身との関わりを踏まえ、今後も患者のために
印象に残っている患者さんとのエピソードがあれば教えてください。

糖尿病をお持ちの患者さんで、ひどい歯周病を抱えていらした方がいました。何度も歯槽膿漏の掃除をしてレーザー治療を繰り返し、根気強く治療を続ける必要がありました。歯周病と糖尿病は非常に密接な関係があり、歯周病菌が血糖値を上げる要因になることがわかっています。歯周病を治療することは全身の健康改善につながる。この時の治療は、私が全身管理を大切にしてきた意味を改めて考えさせてくれました。口の中の治療を通して、体全体に良い影響を与えられるよう、これからも努めていきたいです。
今後の展望についてお聞かせください。
今後も背伸びせずに、今までどおりマイペースで診療を続けていきたいと思っています。全身管理を大切にし、患者さんのために診療を続けるというモットーは変わりません。例えば「歯を抜きたくない」という患者さんには、できるだけ抜かないで済む方法を考えていきます。薬で様子を見ましょうと提案することもありますし、じっくり患者さんの話を聞いて、できる限り希望に添えるよう努めていければと。ただ、どうしても抜かなければならない状況になったときは、正直にお伝えします。無理なものは無理ときちんとお話しして、患者さんに納得していただいた上で治療を進める、ということをこれからも続けていきたいと考えています。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。

歯周病の細菌は口の中だけにとどまらず、全身に影響を及ぼすことがあります。心臓の手術をされた方の検査で歯周病菌が検出されたという話もありますし、術後の回復を早めるには手術前に口腔内を清潔にしておくのが良いということもわかっています。年に1度、小学校で歯科講話をする機会があるのですが、そこでも歯周病と全身の健康についてお話ししています。お口の環境は直接的に病気を引き起こすわけではありませんが、さまざまなかたちで悪影響を与える可能性があるのです。ですから、歯周病を軽視しないでいただきたいと思います。口の中の健康を保つために、毎日の歯磨きを丁寧に行い、定期的に歯科医院で検診を受けていただければ幸いです。それが全身の健康にもつながります。

