中谷 善範 院長、中谷 嶺 副院長の独自取材記事
にしまち歯科
(国分寺市/国立駅)
最終更新日:2025/11/14
東京都国分寺市の「にしまち歯科」は、近隣から車や自転車で訪れる患者でにぎわう、地域に根差した歯科医院だ。中谷善範院長と院長の妻が協力して診療にあたってきたが、34年目を迎えた2025年から息子の中谷嶺先生が新たに副院長として加わった。嶺先生は一般診療はもちろん、歯科口腔外科での経験を生かし、抜歯やできもの、口腔乾燥などの診療もできる。また、大学病院との連携にも積極的で、難症例や全身疾患の疑いがある場合などは、スピーディーかつ緊密にコミュニケーションを図って対応する。「全人的医療の実践を肝に銘じ、歯だけではなく全身の状態にも気を配って診療したい」と話す嶺副院長と、33年間地域医療に向き合ってきた中谷善範院長に、これまでの歩みや歯科口腔外科出身ならではの視点、今後の抱負などを聞いた。
(取材日2025年8月28日)
30年以上地域に根差した歯科医院に若き副院長が就任
嶺先生は2025年の4月から副院長に就任したそうですね。

【副院長】はい。当院は、私の父・中谷善範院長が国分寺に開院してから33年を迎え、母も診療を支えてまいりました。私はそんな両親のもとで育ち、自分と縁がある自然豊かなこの土地で、地域の方々の健康に尽力したいと考えた時に、歯科医師として後を継ぐことを決心しました。大学病院で培った口腔外科の知識を歯科全般に広げ、地域の皆さまに貢献したいと考えております。両親が長年診てきた患者さんが気さくに声をかけてくださり、自然とこの環境になじめていると感じています。
大学病院と地域の歯科医院ではどんなところに違いを感じますか?
【副院長】大学病院は研究と臨床、教育の3つを活動の柱にしていますが、一方で、近年は地域医療への貢献も求められるようになっています。しかしながら、私が経験してきた限り、患者さんとのコミュニケーションがやや機械的というか、効率重視になる傾向がありました。地域に根差した歯科医院に来てみて、改めて、歯科医師やスタッフが患者さんと親密に言葉を交わし、アフターフォローにもしっかり気を配っているところが、大学病院や総合病院よりも徹底しているなと感じます。そうした環境に私も刺激され、ただ一直線に診断、治療と進むばかりでなく、患者さんの事情や要望をより深く、丁寧にお聞きするようになりましたね。
お二人が歩んでこられたキャリアについて詳しく教えてください。

【院長】明海大学口腔外科卒業後、大学院に進み、研究ばかりしていました。その期間に医局長と交流があり、基本的な口腔外科の措置を勉強させてもらいました。後に地域医療に携わりたいと考え、この地に開業することを決めたのです。
【副院長】私は日本歯科大学卒業後、東京科学大学で口腔外科を選択し、口腔がんをはじめさまざまな疾患について研鑽を積んだほか、総合病院の口腔外科にも勤務しました。当院に入る前には、経験を積んでおこうと思い、複数の一般歯科クリニックで勉強させてもらいました。大学の口腔外科にいたと聞いて堅い印象を持つ方もいらっしゃるかもしれませんが、病院時代も患者さんとの会話を大切にしていました。また、虫歯や歯周病の治療についても十分な技術と知識を身につけておりますので、安心してお任せいただければと思います。むしろ口腔外科出身であることが、一般歯科の診療でも大いに役立つと考えています。
歯を診るだけでなく全身疾患も想定した多角的な診療を
口腔外科での経験はどんな治療に生きていますか?

【副院長】例えば、やむを得ない理由で歯を抜く場合、親知らずの抜歯も含め、一般的には大学病院や総合病院の歯科に紹介されますが、当院では歯科用CTを導入し、全身麻酔が必要なケースを除き、比較的難しい症例でも院内で対応可能です。また、歯茎・頬の裏・舌などのできものも専門的に診察し、切除して終わりではなく、組織の一部を大学で検査し、その結果に基づいて慎重に治療方針を決定します。口腔がんが疑われる場合は、東京科学大学病院など設備の整った医療機関に紹介し、患者さんが専門の医師による治療を受けられるようにしています。このほか、顎関節症の治療や歯を残すための歯根尖切除術なども行っています。
こちらでは、口腔内だけでなく全身の状態を踏まえて診療を行っていると伺いました。
【副院長】ええ。例えば、口腔外科領域の中で代表的な疾患の一つに口腔乾燥症が挙げられます。文字どおり口の中が乾燥した状態で、原因は唾液腺の閉塞や、口中で細菌が悪さをしている場合、薬剤による副作用などが考えられます。当院では唾液の量のチェックも入念に行い、内科的な疾患が隠れていないかというところにも注意しています。シェーグレン症候群という自己免疫疾患が関係している可能性もあるので、必要と判断すれば内科のクリニックを紹介します。他にも、歯周病の悪化が糖尿病を悪化させ、逆に糖尿病の悪化が歯周病を悪化させるのは有名な話で、糖尿病の患者さんは、歯周病の進行を食い止めることがより一層大事になってきます。また、副鼻腔炎も、鼻の周りの副鼻腔が歯に近いので、歯周病がひどかったり歯根の先に病気があると、副鼻腔炎につながる恐れがあるので注意しなければいけません。
患者さんと接する際に心掛けていることはありますか?

【院長】患者さんのご要望にはできる限りお応えしたいと考えています。ですが、当時の方針は「ご自身の歯をできるだけ多く、長く残すこと」でした。そのため、時には歯科医師の視点から最善と思われる治療法をご提案することもあります。勤務医時代に、歯が痛むので抜歯してほしいと希望された患者さんがいらっしゃいましたが、丁寧に治療を行った結果、後になって「あの時抜かなくて本当に良かった」と言っていただけたことが、とてもうれしく印象に残っています。
【副院長】歯科医師の仕事は歯だけでなく、患者さんの背景や全身の健康状態にも目を向けることが大切だと考えています。これを実践するには、患者さんとの対話に加え、医科との連携も欠かせません。既往歴を確認し、全身の状態を把握した上で治療に臨んでいます。
培った技術を地域に還元し、すべての訴えに全力で対応
訪問歯科にも取り組んでいるそうですね。

【副院長】私が当院で診療を始めるずっと前から、母が専任で訪問歯科にあたっています。外来に来ていただいていた患者さんが訪問診療に切り替える場合もあれば、最初から訪問診療でご相談いただくこともありますね。口腔内がきれいに保たれていないことで、全身の健康状態に影響する可能性があるんですよ。リハビリを頑張ったとしても、口腔機能が低下していて食事が取れないために改善しないといったケースもあります。ご連絡いただければできるだけ早く伺いますので、お気軽にご相談してほしいです。
クリニックの今後をどのように展望していますか?
【院長】これまでと変わらず、患者さんのための治療を徹底していきたいですね。地域の方が自分の健康な歯で豊かな生活を送れるよう、患者さんそれぞれに合った最適な治療の提供に努めます。
【副院長】先に目を向ける前に、まずもって当院が30年以上もの長い間、この地で診療を続けてきたことがとても重要じゃないでしょうか。近隣の皆さまが慕ってくださり、院長が一貫して目標にしてきた地域医療への努力が一定の成果を挙げた証しだと思うのです。今後も院長と母が築いてきた皆さまとの関係を大切にし、地域の皆さまに頼られる歯科医院であることをめざします。
最後に、読者に向けてメッセージをお願いします。

【院長】先ほどもお伝えしましたが、健康な歯を長く残すことが何より大切です。中谷嶺先生が入ってからは提供できる治療の幅が広がったので、些細なことでも相談してもらえたらうれしいです。
【副院長】糖尿病やシェーグレン症候群のように、口腔疾患と全身疾患の関係が注目されるようになってきました。口腔外科での経験から、私は以前からその視点を大切にしており、当院でも多角的な診療を重視しています。検査や診断の際には常に全身の状態を意識し、培ってきた技術を地域の皆さまに還元できるよう努めています。専門分化が進む中、どこで診てもらえばよいか迷う方も多いと思いますが、口腔の診察から思わぬ疾患が見つかることもあります。当院は大学病院や総合病院との連携体制が整っており、必要に応じてご紹介も可能です。どんなご相談にも全力で対応いたしますので、どうぞお気軽にお声がけください。
自由診療費用の目安
自由診療とはかぶせ物/9万9000円~、詰め物/6万6000円~、入れ歯/8万円~、歯周病治療/3万円~、インプラント/35万円~、ホワイトニング/1万円~

