平出 光一 院長の独自取材記事
ひらいで歯科医院
(国分寺市/国分寺駅)
最終更新日:2023/04/18
国分寺駅北口から徒歩で約4分、駅前通り沿いに位置する「ひらいで歯科医院」。1998年に開業し「一生涯自分の歯で」をコンセプトに地域の子どもから高齢者まで幅広い年齢層の患者が訪れる歯科クリニックだ。一般歯科、小児歯科、予防歯科、矯正歯科、セラミック治療、インプラント治療、入れ歯などに対応する。小児の矯正、高齢者のオーラルフレイル対策として口腔筋機能療法を取り入れ、咀嚼、嚥下、発音、呼吸などのトレーニングにより口腔周囲の筋肉バランスを整えていく取り組みに力を入れる。「2022年夏から、高齢になり通院できなくなってしまった患者さんへの対応として訪問診療を取り入れています」という院長の平出光一先生に、診療の特徴や思いなどについて聞いた。
(取材日2023年1月18日)
「一生涯自分の歯で」を診療コンセプトに
1998年の開業以来、一貫して「一生涯自分の歯で」をコンセプトに掲げていらっしゃいます。
開業以前に勤務していたクリニックでの診療を通じて、口と体の健康は大きく関係することを学びました。当院では「一生涯自分の歯で」をコンセプトに掲げ「一本でも多く自分の歯を残す」ということを目的に、歯そのものにこだわった治療の提供に努めています。虫歯や噛み合わせをはじめどんな病気を治療するにしても、歯が土台からしっかりしている必要があります。全身疾患との関係も明らかになってきており、まさに「万病のもと」とも呼ばれている歯周病の治療はもちろんのこと、歯周病でお悩みの患者さん以外にも歯周病の予防や治療を平行して行います。その根底には、他職種の先生方と連携して、全身の骨格や筋肉、神経の関係から脳と口腔内との関連について学んだことによる「身体の健康はお口の健康から」という理念があります。
歯科衛生士さんなど、スタッフがたくさんいらっしゃいますね。とてもアットホームな雰囲気です。
現在、歯科医師は非常勤の歯科医師を含め5人、歯科衛生士が7人体制で診療を行っています。私たちは「プロの集団」として、歯科医師と歯科衛生士だけなく、歯科アシスタントも治療について患者さんに質問された際は歯科医師に代わって回答できるようにするなど、スタッフ全員で患者さんの歯の健康を管理しています。受付から処置、診察後の対応も含め、心地良さを感じてもらえるよう、スタッフ全員で月に1度ミーティングをしたり、チームに分かれてディスカッションしたりするなどコミュニーションを大切にしています。
医療機器も充実し、感染症対策も行っていらっしゃいます。
1階の診察室にはユニットが5台、2階には4台と、個室のオペ室が1つあります。2階のユニットはメンテナンス専用で、歯科衛生士が患者担当制で定期検診やクリーニングを行っています。当院には、長く働いているベテランの歯科衛生士も多く、中には、ありがたいことに10年以上通ってくださっている患者さんを、ずっと同じ歯科衛生士が担当しているということもあるのですよ。また、より高い精度での診療をめざし、診療室に歯科用CT、マイクロスコープを導入しました。マイクロスコープは精密な診療が必要な際に使用しており、歯や歯茎の状態把握に役立てています。さらに、当院では、新型コロナウイルス感染症が流行し始める前から、歯科ユニットをはじめとした院内水路を除菌するシステムを院内に導入。医療施設用大型空気清浄機も設置して、感染症対策にも力を入れています。
口腔筋機能療法に力を入れ、訪問診療もスタート
力を入れている治療について教えてください。
お口周りの筋肉の機能改善を図る訓練法である口腔筋機能療法(MFT)に力を入れ、小児矯正治療と並行して行っています。子どもの歯並びが悪くなる原因は、遺伝的な要素が大きいと考えられてきました。しかし近年は、食事の際の咀嚼の仕方や呼吸、舌の位置など、日常生活におけるお口の使い方による影響も大きいと考えられています。そこで、小児矯正治療にプラスして口腔筋機能療法を取り入れています。具体的には、1回の矯正治療が終わった後、歯科衛生士が口呼吸の練習や舌の動かし方などのトレーニングを行い、姿勢への影響も考慮し全身のストレッチ運動なども行いながら口腔周囲の筋肉バランスを整えていくことをめざします。当院では小学校低学年のお子さんからこの療法を取り入れ、ご自宅でも無理なく続けてもらえるようオリジナルのスタンプノートを使用しながらお子さんのモチベーションを高めるようにしています。
矯正治療と並行して進めることで、歯並びに加え全身の健康にも良い影響を与えていくということですね。
そうですね。これがまさに、先ほど申し上げた「身体の健康はお口の健康から」につながると思っています。もう1つ、ご高齢の患者さんに向けて、お口の周りの筋肉が減退することで全身の筋肉も弱っていくというオーラルフレイルを予防するための対策としても口腔筋機能療法(MFT)を取り入れています。国分寺市では、75歳以上の高齢者の歯科検診の中で、噛む力や舌が上顎に接触する力である舌圧などを確認し、リスクがある方に対して舌の運動やお口周りの動きなどについて歯科衛生士がレクチャーさせていただきます。これにより、舌圧が上がったり、食べるときにほっぺたを噛まなくなったりするなどが期待できます。
2022年夏から訪問診療を始められたそうですね。
1998年に開業以来、ずっと通い続けてくださっている患者さんがご高齢になり、クリニックに足を運べなくなってしまうケースが少しずつ増えてきました。一生涯自分の歯でお過ごしいただくため、患者さんを最後まで診て差し上げたいという気持ちから、専用の医療機器と訪問車を準備し、訪問診療を始めています。毎週水曜日を訪問診療の日としており、私と歯科衛生士2人で訪問しています。患者さんのお宅にお伺いすると、本当の意味で「人対人」で接することができ、訪問診療は医療の根本のスタイルの1つであることを実感しています。患者さんやご家族と食事の話などいろいろな話をさせていただくのですが、それも含めて医療なのだと改めて思います。
「身体の健康」を意識し「お口の健康」をサポートする
歯科医師をめざしたきっかけを教えてください。
父が歯科医師だったというのが大きいと思います。父は長野の農家で育ったのですが「東京に出たい」という一心から上京して自力で歯科医師の資格を取得し、一代で国立市に歯科医院を開業しました。そんな父から歯科医師になれと言われたわけではないのですが、幼い頃から父の働く姿を見ているうちに、自然と歯科医師をめざし、今に至ります。
お忙しい日々の中、休日はどのようにリフレッシュされていますか?
新型コロナウイルス感染症が流行する前は、学生時代からの仲間と夏にはテニス、冬にはスキーをしたり、書店を訪れてぶらぶらしながら何となくぱっと目に入った本を買って読むのが趣味でした。しかし外出しにくくなってしまった今は、もっぱら体力づくりもかねて、朝ランニングをしています。一緒に歯科医院を運営している妻には事務をお願いし、私が診療に集中できる環境をつくってもらっているのですが、彼女は声楽家としてコンサートなどの演奏活動を行っているのです。妻の活動も、新型コロナウイルス感染症の流行下で制限されてしまったのですが、感染症対策をしながら少しずつ活動を再開しています。一度妻のステージに立たせてもらったのは、とても良い経験でした。
今後の展望について教えてください。
新型コロナウイルス感染症の流行下で改めて感じたのは、お口の中の環境が不衛生だとウイルスが付着しやすく、感染や重症化のリスクが高まりやすいということ。これらはさまざまな研究により、少しずつ明らかになってきています。繰り返すようですが「身体の健康はお口の健康から」なのです。今後は、言語聴覚士や管理栄養士といった他職種との連携を強化しながら、引き続き口腔筋機能療法に力を入れていきたいですね。そのために、声楽家である妻にも協力してもらい、今後はクリニックでも発声や発音の指導を取り入れていく予定です。これからも「一生涯自分の歯で」という理念を実現するべく、当院でできる治療の幅を広げ、検証を繰り返しながら、患者さん一人ひとりのお口の健康をサポートさせていただきたいです。
自由診療費用の目安
自由診療とは小児矯正/35万円〜、セラミック治療/9万5000円〜、インプラント(オペ)/25万円、インプラント(かぶせ物)/15万円
※歯科分野の記事に関しては、歯科技工士法に基づき記事の作成・情報提供をしております。
マウスピース型装置を用いた矯正については、効果・効能に関して個人差があるため、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。