尾崎 照代 理事長、尾崎 治夫 院長の独自取材記事
おざき内科循環器科クリニック
(東久留米市/東久留米駅)
最終更新日:2025/04/11

西武池袋線・東久留米駅を最寄り駅とし、1990年の開業以来、かかりつけ医として地域住民の健康に貢献してきた「おざき内科循環器科クリニック」。心臓病などの循環器を専門とし、東京都医師会会長も務める院長の尾崎治夫先生と、腎臓病を専門とする理事長の尾崎照代先生が、それぞれの専門性を生かした幅広い疾患に対する診療を行う。特に高血圧、糖尿病、脂質異常症、喫煙など生活習慣により引き起こされる動脈硬化性疾患の予防・管理に注力。大きな病院で手術や治療を受けた後に当院での管理を希望する患者も多いという。「健康に暮らすためには地域のかかりつけ医が重要」と話す2人に、診療において大切にしていることなどについて詳しく聞いた。
(取材日2025年3月17日)
生活習慣の改善を支援するかかりつけ医をめざす
クリニックを開業した理由を教えてください。

【治夫院長】開業前は大学病院で、心筋梗塞や狭心症など循環器疾患の治療をしていましたが、大学に来る患者さんは重症の方がほとんど。本当は、そうなる前に生活習慣を改善することが重要で、患者さんにとって身近なクリニックで生活指導や管理をしっかりしていけば、心筋梗塞や脳卒中になる人を減らすことができるのではないかと考えたのです。地域のかかりつけ医としてそういう役割を担うことは大きな意義があると考え、開業しました。
どのような患者さんが多く受診していますか?
【照代理事長】東久留米市のほか、新座市、清瀬市、西東京市など近隣の地域から受診される方も多いです。開業当初から通ってくださっている患者さんも多く、今では70代以上の高齢の方が中心。この辺りは昔からご家族で住んでいる方が多い地域ですので、息子さんや娘さんが付き添って来られることも多いですね。
【治夫院長】高血圧や脂質異常症、糖尿病など生活習慣病の方が多いです。昔からずっと通っている患者さんもいらっしゃいます。重症化を防ぐために、しっかりした管理を続けています。一方で、大きな病院で心筋梗塞などの治療をした後に当院を紹介され、当院で経過観察や管理などのフォローアップを続けている方も多くいます。
こちらのクリニックのならではの強みや特色を教えてください。

【治夫院長】私は心臓など循環器の治療を専門としていて、大学病院では日本内科学会総合内科専門医として内科全般を診られるよう研鑽も積んできました。妻は腎臓病を専門とし、おなかや甲状腺などの超音波検査も得意としているので、例えば普段は私が診ていて、ちょっとおなかの調子が悪いときに妻が超音波検査をするということもあります。そのように、お互いの得意分野を生かしつつ協力して治療を行えるところが当院の特徴であり、強みだと思っています。
【照代理事長】高齢の方は一人で複数の病気を持つことも多いもの。患者さんへの負担が少なく、いろいろな情報を得られる超音波検査は有用だと思います。当院ではエックス線撮影装置のほか、超音波検査装置を用いて乳がんや心臓病の検査を行ったり、血圧脈波検査装置を用いて動脈硬化の程度を調べたりしています。
症状だけでなく家族構成や生活背景も知ることを大切に
それぞれの専門性を生かしつつ、タッグを組んで幅広い診療に対応されているのですね。

【照代理事長】そうですね。例えば、近隣の産婦人科で心雑音が見られた妊婦さんの検査を依頼されることなどもあります。遠方の大きな病院に何度も行かなくても、当院で超音波検査や心電図検査などをすぐ行うことができ、1回の受診で済むことが多いので患者さんへの負担軽減につながっていると思います。また、治夫院長は声が大きくて少しせっかちなところがあるのですが(笑)、様子を見ながら私がフォローしています。
【治夫院長】循環器の病気は緊急度が高く、瞬時に判断して治療をしないと命に関わることも多いので、せっかちな人が多いのかもしれません(笑)。また、女性の医師を希望される患者さんもいらっしゃいますので、そういう患者さんがいらしたときは照代理事長に頼っています。
診療において大切にしていることを教えてください。
【治夫院長】例えば、胸が痛いという患者さんが受診したとき、その訴えだけで心臓が悪いと判断するというのは早計だと思うのです。迅速かつ適切な診断をするためにも、検査をする前に、どこがどう痛いのか、いつ痛いのか、喫煙や高血圧、糖尿やコレステロールなどリスク因子はどのぐらいあるのかなど、少し時間がかかっても初診のときにはしっかり問診することを心がけています。
【照代理事長】患者さんの状況を細かく知ることで適切な診断につながると思いますし、患者さんに安心、納得してお帰りいただくためにも、症状だけでなく、ご家族との人間関係や生活背景など、いろいろな話を聞くようにしています。食事の様子や日常生活で気になることなど、患者さんご本人だけでなく付き添いのご家族に話を聞くことも多く、そういうところから診断や治療に役に立つ情報が得られることも多いと感じています。
お二人は大学の同窓生とのことですが、なぜ医師という職業を選んだのですか?

【治夫院長】私は医師の家系で育ったわけではないのですが、幼い頃から祖父に「社会に役立つ人間になれ」と言われていて、人間や生物が好きだったこともあり医学部をめざすことを決めました。最初は精神科の医師をめざし、見学や実習にも参加したのですが、精神科の病気は長期勝負なので1ヵ月ぐらいの実習では何も結論が出ない。興味はあるけど実際に挑戦できるか、と思い始めたときに内科研修で循環器内科を回り、一刻を争う中でチーム一丸となって奮闘する、勝負の早さが必要なところに魅力を感じ、自分にはこっちのほうが向いていると思いました。
【照代理事長】父が医師で、戦争中に苦労した話を多く聞きましたし、戦後は無医村に住む人たちの生活を支えるために尽力する姿も見てきました。そんな正義感の強い父の影響を受け、私も人の役に立てる仕事がしたいと思ったのがきっかけです。
あふれる情報に惑わされず早めに医師に相談を
お互いをどのような医師だと思っていますか?

【照代理事長】治夫院長はとても頭がきれるし、いつも冷静沈着でスマート。ただ、ちょっと声が大きくて、時々少しせっかちでしょうか(笑)。今はフォローに徹することにしています。
【治夫院長】照代理事長は、世間話や人生相談がすごく得意。しっかり病気を診ることはもちろん、患者さんの背景や家族のことも含めてとてもよく知っているし、「もうやめておけば?」と思うほど(笑)とても親切で丁寧。そこから医療に必要な多くのものが見えてくるので、私にはまねできませんが、もはや一つの才能だと尊敬の念を抱いています。
治夫先生は東京都医師会の会長も務めているのですね。
【治夫院長】はい。東京都医師会は、さまざまな医療の課題解決のための取り組みや、都全体の医療提供体制の適正化などの役割を担う組織です。実際に患者さんの診療を行うのは現場の医師ですが、個人ができることには限りがあります。例えば、予防接種を多くの人に受けてもらえるよう費用を助成したり、誰もがずっと住み慣れた地域で生活できるように、かかりつけ医のネットワークを構築したり、患者さんが健康へ意識を向けられるように啓発活動をしたり。人々が健康に暮らすための支援を組織的に行うのが医師会であり、クリニックの診療に加えて、その活動にも力を注いでいます。
今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

【照代理事長】今は多くの情報があふれているので、根拠のないネットの情報や、友人・知人の話を信じて「自分はすごく悪い病気だ」と思い込んで受診する方も少なくありません。そういう方にはしっかり診察・検査をして診断し、納得・安心していただくようにしています。誤った情報に惑わされず、不安なことや気になることがある場合はまず、受診して医師に相談していただきたいですね。
【治夫院長】この歳になってから新しい取り組みを始めることはなかなか難しいですが、長年の診療で培ってきた内科の医師としての多くの経験と知識はまだまだ若い人たちに負けないという自負があります。地域に根差すクリニックとしての強みを生かし、これからも診療を続けていきたいと考えています。生活習慣病の予防・管理をしっかりし、いつまでも元気に暮らせるように、かかりつけ医として頼りにしていただけたらうれしいです。