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岡野 良 院長の独自取材記事

おかの内科クリニック

(東久留米市/東久留米駅)

最終更新日:2021/10/12

岡野良院長 おかの内科クリニック main

東久留米駅東口から徒歩3分。商店街のビル2階にある「医療法人社団実幸会 おかの内科クリニック」。エントランスを入るとさまざまな種類の観葉植物が迎えてくれ、清浄な空気に包まれる。「妻や私は草花が好きなもので、だんだんと増えてきました」と話してくれたのは岡野良院長。自治医科大学附属さいたま医療センターの総合診療科と呼吸器内科で長年診療にあたってきた医師だ。このクリニックでは内科を中心に据えて地域に暮らす人々やその家族たちの相談に乗っている。「地域医療では患者さんの同伴者として一緒に考えながら歩んでいくことが大切ですね」と話すその穏やかな笑顔からは、患者一人ひとりに真摯に向き合う姿勢が感じられる。そんな岡野院長に診療への思いなどについて聞いた。

(取材日2018年10月15日)

長年の内科診療の経験を東久留米市の地域医療に

クリニックの開業の経緯、また患者層などについて教えてください。

岡野良院長 おかの内科クリニック1

このクリニックはすぐ近くで開業している同じ法人の「石橋クリニック」の系列医療機関です。石橋幸滋理事長は大学時代の同期で、一緒に手伝ってくれないかと石橋君から誘われまして。だから私は開業医ではなく勤務医なんですよ(笑)。クリニック内の設計図は私が引きましたが、建物の壁自体がカーブを描いていますので、受付カウンターや通路もカーブをつけています。待合室の横、奥には感染症の患者専用のスペースも設けました。私や妻は草花が好きなものですから、いろいろ観葉植物を集めていくうちに種類も多くなりましたね。現在、患者の約4割が後期高齢者の方々です。この地域も都心に通勤される方々のベッドタウンとして人口が増えましたが、その住民の方たちもかなり高齢化が進んでいます。

医師をめざしたきっかけを教えてください。

高校時代から理系に行こうと思っていたのですが、恩師ともいえる先生が、研究者はいろいろと難しい職業だとよく話していました。その人は以前、企業の研究所に勤めていたのですが、教員に転職したという経緯があったのです。私の性格も知っていたのでしょう、医師はどうだろうかと提案され、もともと地域社会とつながりの持てる仕事がしたいとも考えていましたので、医師を選択肢の一つとしました。医学部ばかりではなく理学部なども受験しましたが、たまたま合格発表が早かった自治医科大学に進学を決めました。ですので絶対医師になるといった強い志はなかったですね。ただ、こうして医師を長く続けてきて、患者さんと接しながら仕事ができるのはとても幸せだと感じています。たまには感謝されることもあり、それもとてもうれしいことだと思います。

大学卒業後のご経歴を簡単に教えていただけますか。

岡野良院長 おかの内科クリニック2

自治医科大学はへき地で総合的な医療にあたる医師を育てる大学で、卒業後には出身地のへき地医療に携わるという義務があります。私は卒業後、京都府立医科大学で2年間研修を受けた後、久美浜病院に4年間、その後大学に戻り1年間、田舎の国保の診療所で2年間、再度久美浜病院で2年間、臨床経験を積んできました。これらの義務が終わった後は自治医科大学附属さいたま医療センターの創設期に参画し、総合診療科と呼吸器内科の診療を行ってきました。約12年間勤めましたが、そろそろ病院ではなくより地域に根差した医療を、ということで、石橋君に誘われたのをきっかけにここで診療を始めたわけです。

患者に正しい情報を伝えることが大切

こちらの診療方針はどんなことですか。

岡野良院長 おかの内科クリニック3

プライマリケアでは私が全部できるということはありません。もちろん自分で完結できることはやりますが、患者さんと相談して決めることがかなりの部分を占めています。今はインターネットなどでいろいろな情報を得ることができますが、中には間違って捉えている方も多いですね。ですので、まず患者さんたちに正しい情報を伝えること。患者さんたちはそれぞれ価値観が異なりますので、後から考えた時、より良かったと思える選択ができるように情報をお伝えすることも重要だと思います。また、医師として患者さんの考えに見合った選択肢をお話しする、そんなことを心がけています。例えば、がんの治療法が複数ある場合、病院で説明を受けてその場ではわかったと思っていても、帰って考え直すとわからなくなったということがあります。そんなことを相談に来られるケースもあり、この点をもう一度話を聞いて確かめてから決めたほうがいいですよ、と助言しています。

相談に来られる患者さんは多いのでしょうか。

プライマリケアのクリニックには、治してほしいというより、知りたい、相談したい、あるいは安心したいということで来られることも多いように感じています。ご高齢の方は複数の疾患を併発しますから、どこの病院に行ったらいいか、何科に行ったらいいかという相談も多く、そんな場合は、その方の症状に即して近辺の病院を紹介しています。今はどの病院も基本的にはガイドラインに沿った医療を提供していますので、どこに行かれてもあまり違いはなく、それほど心配しなくても大丈夫ですよ。ただ症例数の多少や得意不得意はありますので、患者さんの利便性も考えながら紹介しています。患者さんが安心して次の医療機関を受診できるように配慮しています。

呼吸器内科ではどんな疾患が多いのですか。

岡野良院長 おかの内科クリニック4

長引く咳や気管支喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、副鼻腔気管支症候群、気管支炎、肺炎といった疾患ですね。特にCOPDは、自覚していない方がとても多いです。少しくらい息切れしても、気のせいと思っていて受診しないようですね。でも、COPDの方はそうしているうちに肺機能が悪化してしまいます。実は東久留米市ではCOPD検診を導入しています。特定健診の問診表の中にCOPDに関わる質問項目を入れて、それに引っかかったら肺機能検査を行って早期発見につなげています。このCOPD検診の実施は東京都内の市町村の中では独自の試みです。息切れがする、咳や痰が出るといった方や、受動喫煙している人もぜひ注意していただきたいですね。

地域の医師は患者の同伴者

こちらでは訪問診療も行っているとのことですが。

岡野良院長 おかの内科クリニック5

訪問診療は平日の午後にご希望のあった患者さんのお宅へ定期的に診療に行っています。訪問診療では、患者ご本人はもとよりご家族が何を求めているかを考えながら診療しています。ご家族の方には一番負担がかかっていますから、ご家族の気持ちにも十分配慮しています。居宅のほかにも老人ホーム、認知症のグループホーム、そして知的障害者施設に訪問しています。老人ホームとグループホームでは協力医療機関の医師として診療を行い、知的障害者施設では嘱託医として診察しています。訪問診療はさらに高齢化が進むにつれて要望する方が増えていくかもしれません。できるだけ柔軟に対応していきたいですね。

ところでプライベートの時間はどのようにお過ごしですか。趣味なども教えてください。

音楽が好きなので、CDショップを回ってアルバムを探したりしています。友人から「こんなクラシックコンサートがある」という情報を得ると、一緒に出かけることもあります。最近はいわゆるJポップや海外の女性ボーカル、ヨーロピアンジャズなどの気楽なものも聴くようになりました(笑)。絵も好きなので美術館めぐりなど街歩きをしています。大学時代はワンダーフォーゲル部でしたので歩くことは好きですね。比較的よく歩いているほうだと思います。健康については特に意識していませんが、これからは少し気にしなくてはいけませんね。

では最後に今後の展望とメッセージをお願いいたします。

岡野良院長 おかの内科クリニック6

私も年齢を重ねていますので、自分ができることは何かを考えて、皆さんの不利益にならないようにしていきたいですね。標準的な医療も常に進歩しますので、私の知識のアップデートも必要です。そんな中で得た正しい情報を伝えていこうと思います。書物で読んだだけの知識は忘れますが、自分の経験も踏まえて得た知識は忘れませんから、診療後に新しい書籍をできるだけ確認します。紹介状は丁寧に書くと、その返事も詳しく書いてくれるんですよ。これもとてもいい勉強となります。地域の医師は住民の方の相談相手であり、患者とともに一緒に考えて歩む同伴者です。一人ひとり生活環境も異なり、求める医療も人それぞれです。そんな価値観に見合う医療を一緒に考えていきたいと思います。そのお考えや価値観を私たちが知ることは大切ですので、どんなことでも遠慮なくお話ししてください。

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