中澤 宏 院長の独自取材記事
中沢耳鼻咽喉科
(西東京市/ひばりヶ丘駅)
最終更新日:2023/11/01
西武池袋線ひばりヶ丘駅から徒歩約3分の場所にある「中沢耳鼻咽喉科」。院長の中澤宏先生は、この地で32年間診療を行っているベテラン医師だ。診療内容は一般的な耳鼻科疾患はもとより、中澤院長が専門とするめまい・耳鳴り・難聴の診療、また認知症の予防にも積極的に取り組んでいる。中澤院長は日本臨床耳鼻咽喉科医会の理事、東京都耳鼻咽喉科医会の副会長としても活動し、クリニックの診療も行いながら、地域医療の発展のために尽力している。日々忙しい中でも、患者一人ひとりに寄り添う丁寧な診療は開業当時から変わらないという。診療のポイントや、診療における心がけ、患者に伝えたいことなどについて詳しく話を聞いた。
(取材日2023年8月29日)
コミュニケーションを重視したこまやかな診療が強み
この地で開業された理由をお聞かせください。
私が0歳の時から住んでいる、慣れ親しんだ思い入れのある場所だからです。また当時この辺りには耳鼻咽喉科のクリニックが少なかったんです。そこで、困っている地元の方たちの役に立ちたいと思い、この地で開業することを決めました。当初はこの近くの別の建物の2階の狭い場所で診療していました。しかし患者さんがもっと通いやすく、少し広い場所へ移りたいと考え、開業から5年ほどたった時に現在の場所に移転して診療を続けています。
どういった診療に対応されていますか?
アレルギー性鼻炎や中耳炎、副鼻腔炎、耳鳴りや難聴といった耳鼻咽喉科における代表的な疾患はもちろん、喘息などのアレルギー疾患や私が専門にするめまいの診療にも積極的に取り組んでいます。一般的に、めまいに悩まれる方は、最初は脳外科や内科に行かれる場合も多いと思います。けれども、めまいは耳や脳が原因でおこる病気で、耳鼻咽喉科が専門とする疾患です。また一般的な耳鼻科診療とはかなり異なる分野だと思います。めまいが起きた状況やその経過を詳しくお聞きし診断し、その後に検査を行い、確定診断をすることが重要です。耳鼻咽喉科医としての専門性が求められる分野なので、私が学んできたことを生かして、患者さんのお役に立ちたいと思っています。
めまいの診療におけるポイントはどのようなことでしょうか。
めまいは発作が起きている時に来院することは難しく、症状が少し落ち着いたか、症状がなくなってから来院されることがほとんどです。そのため、めまいが起きた時の状況、状態を患者さんがご自分の言葉で説明するというのは、けっこう難しいことなんです。ですから、例えば「ぐるぐる回る感じ」「ぐらぐらする感じ」「ふらふらする感じ」など、こちらから選択肢を示しながら、丁寧に患者さんの言葉を引き出すお手伝いをしています。また、ふらつきもめまいの症状の一つなのですが、そう認識されていない方も多いので、そのような情報もお伝えしながらお話を聞いていきます。めまいの問診では症状、既往歴、家族歴をよく聞き、そこで80%診断し、さらに検査を行い最終的に診断をつけるものです。お一人お一人、できる限り時間を取ってしっかり診療できるよう努めています。
ヒアリングフレイルの兆しが見られたらすぐに受診を
よく聞かれる「ヒアリングフレイル」とはどのようなことですか? 認知症とどのような関連があるのですか?
ヒアリングフレイルとは、心身の衰え(フレイル)の一つで、聞き取る機能の衰えのことです。聞こえにくさから他の人とのコミュニケーションがうまく取れない場面が増えることで、日常生活の質の低下にもつながります。そのために、認知症やうつ状態のリスクも高めることが知られています。そういった事態を避けるためには、ヒアリングフレイルの予防と早期発見、早期対策が重要です。例えば話しかけても反応が良くない、部屋に引きこもり外出をおっくうがる、怒りっぽくなったなどはヒアリングフレイルの兆候です。多くの人は自分の変化に気づきにくいものです。そのため周りの人がこのような変化を感じましたら、本人にそのことを説明していただき、ご本人やご家族と一緒に遠慮なく相談にお越しください。聞こえにくさを感じたらそのままにせず早期に対策をとることが大切です。それが認知症の予防のためにも、とても重要なことです。
若年層でも、気をつけたほうがいいことはありますか?
若い方に特に注意していただきたいのはヘッドホン、イヤホン難聴と呼ばれるものです。日常的にイヤホンやヘッドホンで音楽などを聴いている場合、適切な音量で聴く分には問題ありませんが、過度な大音量で聴き続けたり、つけたまま寝てしまうと耳に過剰な刺激を与えることで難聴が起きてしまうことも多いのです。携帯型音楽プレーヤーやスマートフォンが普及して、音楽等がより身近に楽しめるようになっている現代だからこそ、気をつけていただきたいと思います。もちろん、年齢に関係なく生じるので、若い方だけでなくあらゆる世代の方に注意してほしいですね。
補聴器についてはどのようにお考えですか?
難聴が進行した場合、補聴器を使用するかどうかの判断に迷う人も多いと思います。例えば50代でも、複数人で話す際に支障が出ないようにと早めに補聴器を使用される方もいらっしゃいます。その一方で高齢でかなり聞こえづらくなっていても、自分の周囲の声だけ聞こえればいいからと補聴器を使いたがらない方も多いのが現状です。中には、日常生活にかなりの支障を来すほど、難聴の障害者手帳をもらう状態まで進行してから初めて診療に来られる方もいらっしゃいますし、人によってまちまちですね。また耳鳴りで悩んでいる場合でも、補聴器をつけることで聞こえにくさの緩和が期待できるため、耳鳴りの改善にもつながると期待できるケースも多くあります。ですから、試聴してから検討してみても良いかもしれません。当院ではご本人の気持ちを尊重しながら補聴器の専門家に週2回来ていただき、補聴器の使用についてのサポートを得つつご相談に応じています。
丁寧な対応を大切にしながら待ち時間の軽減をめざす
患者さんへはどのような接し方を心がけておられますか?
当たり前のことですが、優しく丁寧に、患者さんに寄り添ったコミュニケーションを心がけています。具体的には、自分が話をする前にまず患者さんのお話を丁寧によく聞くこと、その上でわかりやすくご説明をし、納得・安心してもらってから治療や検査に進むことを大切にしています。患者さんのお話を聞く際は、ただ聞くだけではなく、患者さんが伝えきれたと思えるように、言葉で伝えるお手伝いをしているイメージです。先生には相談して安心できたとか、先生に話すだけで気持ちが楽になったとお話してくださる患者さんがおられたら、とても幸せな気持ちになります。私としてはどのような内容でも、たとえ診療に関係のないことでも相談してもらえるとうれしいと思いますし、それにできる限り応えたいという気持ちです。
プライベートではどのようにリフレッシュされていますか?
8年前頃から週に1回はスポーツジムに通い、トレーナーの方にマンツーマンで指導してもらいながら筋力トレーニングを行っています。ベンチプレスなどいろいろな器具を使うのですが、正しいやり方を細かく教わりながらトレーニングできるのが利点ですね。運動を始めたきっかけは、健康上の理由ももちろんですが、患者さんに運動を勧める立場の自分から率先してトレーニングやウォーキングをすることで自分自身の健康維持、促進に取り組もうと思ったことです。私自身が運動していると患者さんへの説得力が増しますし、実体験を話せるのでより積極的にお勧めできると思いました。ジム通いのほかにも日常的に運動することを心がけていて、昼休憩の時間に近くをウォーキングすることも多いです。今後も運動習慣を継続していきたいですね。
患者さんや読者に伝えたいことはありますか?
当院では、待ち時間を少しでも減らすために予約制を採用しています。またお一人お一人に時間をかけ、親切で丁寧なコミュニケーションを重視しているため、治療内容などによっては時間がかかってしまうことがあります。また急患の方が来られる場合も少なくありません。結果的に予約されている方をお待たせしてしまう場合もあって申し訳なく思っています。最後になりますが気になることがありましたら、なんでも気軽に相談してください。不安を解消するのがかかりつけ医の務めだと思っています。受付をし、診察を受けて帰る時に、ここを受診してよかったと思っていただけるよう、スタッフ一同、患者さんに優しく寄り添って対応できるように心がけております。