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下村 智 院長の独自取材記事

草花クリニック

(あきる野市/秋川駅)

最終更新日:2020/04/02

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自然の緑に囲まれたあきる野市草花の住宅街。その中にあるれんが模様の2階建ての建物が「草花クリニック」だ。地域の人々が安心して暮らせるよう外来と入院、訪問診療に取り組む同院は、内科と整形外科、外科、小児科、精神科などの領域も含めた全人的なアプローチを重視する総合的な診療を実践している。自己研鑽、患者奉仕、家庭医療の3つの理念を大切にしている。そんな同院の下村智院長は、防衛医科大学校医学部卒業を卒業後、自衛隊中央病院での勤務やアメリカ留学を経て、科学技術庁放射線医学研究所主任研究官、大宮市医師会病院医局長などを務めてきたベテラン医師。同院でもその経験を生かし、地元の人々の健康を支えている。そんな下村院長に、同院のことや地域医療にかける思いを聞いた。
(取材日2020年3月4日)

外来と入院、在宅医療で地域の人々の健康を支える

クリニックを紹介していただけますか?

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この場所はもともと妻の実家で、1969年から精神科の医院だったのですが、それを形を変えて継承し2001年に8月に開院しました。現在は、内科を中心に外来診療と入院、訪問診療を三位一体で担っています。なぜ、そのような形にしたのかというと、外来だけだと診療がピンポイントになってしまうから。入院や在宅医療も行うことで、より長いスパンで患者さんを診られるようにしているのです。また、自分が医師として入院や在宅も含めて最後まで診るという意思表示でもあります。患者層は、場所柄、地域に住む高齢者などが中心です。少なくともここに来た理由である症状を、痛いのであったら楽になるとか、苦しいのならそれを取るなど、精神面と身体面の両方から何かしらの形で良くして帰っていただきたいと考え、総合診療に取り組んでいます。

先生は、なぜ総合診療に取り組むようになったのですか?

最近は、そういう考え方が普通になってきましたが、私が当院を開院した当時は、まだあまり広まっていませんでした。私が卒業した防衛医科大学校は、全部の診療科を診ることができる医師を育てるのが基本なんです。なぜかというと、自衛隊は陸海空に分かれますが、卒業した後にもし海上自衛隊に配属されれば、潜水艦の中で治療をしないといけない。そうすると治療は最低限、治らなくても良いから、港につくまで命をつなげられるようにしないといけないんです。ですから、例えば虫垂炎であれば、手術はできないけど腹膜炎を起こさないように管を入れるとか、ほかにも耳鼻科や眼科、皮膚科、精神科まで、いろいろなことができる医師にならないといけないのです。そのように全人的に診ることを学んだことが、今の土台となっています。

診療の際に、心がけていることはありますか?

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先ほどの話につながりますが、診療のときに自分が心がけているのは、患者さんが診察室に入ってきて、「おはようございます」「こんにちは」とあいさつをしたときから、すでに診察は始まっているという意識を持つことです。例えば、パーキンソン病などは歩き方でわかることがありますので、その時の印象で、この人はこういう診断だろうと頭の中で描きながら診察をするのが、自分の基本です。これは、医師になってからずっと変わっていません。そして、自分ができることには限界がありますから、必要な場合には、確定診断まではいかなくても、このような病態ではないかという疑いの診断をつけて、しかるべき病院に紹介をするようにしています。

患者を点ではなく、面でフォローしていきたい

訪問診療にも取り組んでいるのですね?

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年齢が高くなると、どうしても外来を受診できなくなる患者さんがいます。そういう人たちを診られないのかという問題なんです。そんなことはしたくないというのが一つあります。そして、外来と在宅医療の間に入院がありますが、入院と在宅医療の位置づけをどうするのかという問題も出てきます。外来に通院していた患者さんが肺炎になったら入院してもらう。しかし、退院した後に今度は通院ができなくなってしまうこともある。それをどうフォローするのかということで、訪問診療をしているのです。先ほども言いましたが、外来だけだと点ですが、点ではなく面の医療をしたいという発想です。

病棟は、どのような患者が入院しているのですか?

機能としては療養型病床です。長期入院の方が3割くらいで、あとは外来や在宅から入院をする人です。高齢者の肺炎が一番多くて、次に脱水症状などの方ですね。ほかには行きたくないので、ここに入院したいという人がほとんどです。例えば、80歳くらいの軽い脳梗塞の患者さんの場合には、大きな病院に行けばもっと積極的な治療方法を選べる可能性もありますよ、と話をしても、どうしても行きたくないということもありました。わざわざ遠くまで行くよりも、ここで経過観察をしてもらったほうが、よほど良いと言うのです。

クリニックの周りは自然豊かですね。

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人は、食べられて、良い空気があれば、健やかに生きられると思うんです。私がここに来て一番感動したのは、夜の星を見たときです。私は、ずっと都心から通っていたのですが、ここは空気が澄んでいるので、見える星が違うんです。これは宝ですが、おそらく地域の方たちは、こんなに星が見えるということの価値に気づいていないと思うんです。そして、そのような豊かな環境ですから、ここには特産品がかなりあるのです。あきる野市のとうもろこしが、おいしいと地域の皆さんは知らない。思っていてもプライドにはしていないでしょう。さらに秋川牛もあれば、酒蔵もあります。これだけの自然が残っているのだから、その自然をどう生かすかということを考えます。それが、私の環境と食に関する、基本的な考え方です。

それぞれの地域がベストを尽くせるような社会に

忘れられないエピソードは、ありますか?

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若い時に病院で勤務していた頃の話です。悪性リンパ腫になったある企業の方が、経営に関わられていることもあり、余命はどれくらいかとご自分で聞いてこられたのです。私の指導医だった先生は、ご本人に宣告せざるを得なかった。その後、入院して化学療法などを行うことになったのですが、その方は、自分でスケジュールを考えるから、それに合わせて治療をしてくれと言うのです。治療にはプロトコルというか、だいたいこれくらいの期間でこういう治療をしなさいというのがありますが、それが患者さんのためでもあるし、悔いを残さない人生のお手伝いに必要だろうと考え、できるだけその人の言うとおりに治療しました。上司を説得しないといけないなどの苦労もありましたが、本当にその人のためになる治療というものを考えさせられた経験になりました。

どのようにリフレッシュしていますか?

読書と音楽ですね。音楽は、クラシックが好きです。私は、クラシック音楽、楽譜は、数学だと考えているんです。音符の動きを見ていくと規則性があって、すべての美しさの中には基本的に数字が入っているんですね。人間の体もそうで、美の基準である黄金律というのもありますが、それが音楽にも反映されている。そういうところが感じられるのが好きなのです。読書は、歴史ものです。戦国時代はおもしろいですけど、ちょっとギトギトしすぎているので、もっと昔の飛鳥時代が好きですね。それと、邪馬台国。私は熊本出身ですから、九州説に興味があります。

最後にメッセージをお願いします。

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地元で生まれて、育って、活躍して、最後まで過ごすことができる環境づくりを、医療を通して構築していきたいと思っています。やはり、それぞれの地域がベストを尽くせるような社会にならないと、日本の中央の一部だけが活躍していたら駄目だと思うんです。私はよく、改革は辺境からとみんなに言います。ここは要するに、東京のへき地ともいえると思うんです。それでも、有名な私擬憲法の一つである五日市憲法は、この地域から出たんです。そういう文化都市だったということも頭に入れて、医療や生活のことも含めて、地域の方たちとお付き合いできるよう、そしてもっとスマートな街にしていけるよう、医療環境を整えていきたいなと思っています。そして、当院のことはもちろんですが、あきる野市医師会での活動も含めて、地域全体でそういう改革ができれば良いなと考えています。

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