山口 義徳 院長の独自取材記事
山口歯科クリニック
(渋谷区/恵比寿駅)
最終更新日:2025/09/12

恵比寿駅から徒歩約3分の駒沢通り沿いのビルにある「山口歯科クリニック」。代官山でのショッピングのついでに立ち寄るのにも便利な、隠れ家カフェのような歯科医院だ。院長の山口義徳(やまぐち・よしのり)先生は、「患者さんに、家族に受けさせたいと思える治療だけを提供したい」と、自由診療のみに特化した歯科クリニックをオープンしたという。マイクロスコープと歯科用CTを駆使した精密治療の他、すべての人が生涯にわたって自分の歯で過ごせるようにと、栄養を重視した食事にも注目している。マイクロスコープのスキルも食に関する知識も、並外れた行動力で磨き、明るい人柄も魅力的な山口院長に、診療にかける思いなどを詳しく聞いた。
(取材日2025年8月12日)
自由診療に特化しマイクロスコープと歯科用CTを駆使
完全個室で自由診療のみを行う歯科クリニックだと伺いました。

以前はもう少し恵比寿駅に近い場所で保険診療も行っていたのですが、2011年にここに移転した際に現在のスタイルに改めました。仮に自分の家族やスタッフを治療するなら、保険適用内の材料と治療内容では正直なところ満足できません。自分の子どもには使わない材料を患者さんにお勧めしたくないと、自由診療のみに切り替えました。どの治療もしっかりと時間をかけて行うので完全個室としています。2つの個室にはそれぞれマイクロスコープを設置。一つは歯科衛生士専用として、メンテナンスで歯石を除去する際にも歯を傷つけないために活用しています。一方、私が治療に用いているほうのマイクロスコープは、より精密な機種なんです。
長年、マイクロスコープを用いた治療の研鑽を積まれてきたそうですね。
新米歯科医師の頃、よく見えないまま進めなくてはいけない根管治療が好きではありませんでした。しかし、その中でマイクロスコープと出合い、「マイクロスコープを使うとここまで患部が見えるのか!」と感動しました。早速トレーニングに参加し、研究会も立ち上げて仲間たちと切磋琢磨しながら腕を磨きました。当院では根管治療だけではなく、すべての疾患に対してマクロスコープと歯科用CTを使用しています。また、マイクロスコープは治療後のチェックに使用するだけでなく、治療中にも使用することでより精密な治療を実現しています。肉眼よりも細部まで見ることができるため、虫歯の取り残しを防いだり、健康な歯を誤って傷つけてしまうことを防ぐことができるんです。これにより、再治療が必要になる可能性を減らすことが見込めます。
治療の説明にも力を入れていらっしゃるんですよね。

患者さんに納得していただいた上で治療を行うために、説明を大切にしています。治療前にはなぜ治療が必要なのか、どのような治療をするのかなどを丁寧に説明し、患者さんに理解していただくことで、不安がない状態で治療を受けていただけるように心がけています。また、治療中は何が行われているのかわかりづらいため、不安を感じる方も少なくありません。そこで、当院では治療中にマイクロスコープから見えている映像を記録し、治療後にその映像を見ていただきながら、治療内容を詳しく説明しています。実際の映像を見ていただくことで、どれくらい削ったのか、現在の歯の状態はどうなっているのかなどを、見て確認していただくことが可能です。さらに実際に治療に使用した器具などもお見せしながら、患者さんが安心して治療が終えられるようにしています。
再感染や噛み合わせにも注意し、天然歯を守り抜く
診療で大切にしていることは何ですか?

患者さんが生涯にわたりご自身の歯で過ごせるよう最大限の努力をしたいと思っています。再治療を繰り返すことで歯の寿命も短くなるので、再感染は何としても防ぎたいところです。治療中の箇所に唾液や血液が触れることも炎症や再感染が起きる原因の一つです。そのため、歯を削る際には治療する歯だけをラバーダムで隔離し、感染源となる唾液や血液の飛沫を防いでいます。また、仮歯を装着するときも、万が一の唾液の侵入を防ぐため、当院では仮止めではなく完全に接着しています。これには仮歯期間も違和感が少なく食事ができればという意味もあります。仮歯で噛まないようにしていると片噛みの癖がついて、噛み合わせに問題が起き、周囲の歯に悪影響を及ぼす可能性もありますからね。そのため、治療中も正しい噛み合わせを途切れさせないように注意をしています。
精密治療のために、歯を削るバーという道具にもこだわりをお持ちと伺いました。
当院では患者さんごとに専用のバーを用いていて、使い回しをすることはありません。バーも刃物の一種なので、何度も使っているうちに切れ味が落ち、無理に削れば発熱して歯を傷めることもありますからね。バーにはさまざまなサイズがありますが、当院で使用しているのは最大でも一般的には最小の部類に入る物です。メーカーに「もっと長くして、先端は可能な限り小さく」と、特注品を作ってもらったことも一度ではありません。マイクロスコープを見ながら治療するには、従来の市販品だけでは足りなかったからです。そんな私の無理なお願いから製品化したバーもあります。今、マイクロスコープを使って治療をする歯科医師も増えていますが、もしどこかで役立っていたらうれしいですね。
どんな患者さんがいらっしゃいますか?

当院の患者さんは、1本の歯にどれだけの価値があるのかよく理解していて、より良い治療を求めている方が多くいらっしゃいます。また、他院で神経を取る必要があると言われたり、抜歯の必要があると言われたけれど歯を残すことはできないか、などと、セカンドオピニオンでいらっしゃる患者さんも少なくありません。私自身、1本の歯にはお金に換算できないほどの価値があると考えていますので、できる限り自分の歯を残したいと考えている方々のお役に立ちたいと思っています。来てくださった患者さんがより健康になり、治療が必要ない状態を保つことができれば本当にうれしく思います。
口腔内から全身の健康を守りたい
栄養面にも注目されているそうですね。

はい。治療をしたのに、再治療が必要になってしまうケースをなくしたいからです。根管治療後、10年以上問題なかった歯がとうとう割れてしまったという相談が2〜3年おきに1件程度はあります。そこで注目しているのが栄養面からのアプローチです。例えば、若い女性に多い貧血は鉄不足によって起こり、代謝が悪化することで虫歯もできやすくなります。また、歯ぎしりや食いしばりについては、歯が割れたり補綴物が破損したりするのを防ぐためにマウスピースでの治療もしますが、根本からの解決のためには栄養状態の見直しも必要だと思っています。診療の際には、普段の食事についてお伺いし、その時の状態に合わせて食事のアドバイスを行っています。急に食生活を大きく変えるのは難しいことも理解していますし、人それぞれ食の好みや普段の生活は異なると思いますので、無理なく続けられるように患者さんとも相談しながら進めていきます。
なぜ食への関心を抱くようになったのですか?
大学時代に父を亡くしたのが最初のきっかけでした。まだ50代の若さだったんですよ。「肉に偏ってはだめだ。もっと魚を食べよう」と、30代の頃は築地場内にも通いました。現在も勉強会で地方に行った時には、古くからの醤油蔵、酢やみりんの醸造所を訪ねるなどしています。歯だけが立派で骨粗しょう症、肌はツヤツヤなのに歯茎はボロボロという人は少ないと思います。口と体全体はつながっており、口は全身の健康状態を映す鏡です。これからも口腔内を注意深く診ながら、食に関する正しい知識もお伝えして、患者さんの健康を守っていきたいです。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。

当院では患者さまにできる限り長く自分の歯で生活していただくことを大切にしています。治療だけで終わらず、長く健康で過ごしていただくために、これからも患者さまのサポートをしていきます。そのためのアプローチの一つが栄養面からのアプローチです。食生活を見直したいと考えている方も気軽にご相談ください。先日も練馬区歯科医師会の依頼を受けて食品添加物に関する講演を行いました。食事に関してはできるだけ早く知り、早く実践していただくことが健康を守るための一番の近道です。口腔内だけではなく全身の健康を維持するためにも、何を食べるか、食べないかは非常に重要です。当院での治療やメンテナンスをきっかけに、食にも関心を持っていただき、楽しみながら実践していただけたらと願っています。
自由診療費用の目安
自由診療とは虫歯治療/6万9880円~、歯石除去/1万9570円~、治療用マウスピース/2万5000円~、根管治療/15万3740円~