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久田 義也 院長の独自取材記事

ぼだい樹クリニック

(港区/浜松町駅)

最終更新日:2023/03/17

久田義也院長 ぼだい樹クリニック main

心臓血管外科という西洋医学の世界に携わってきた久田義也院長は、後に東洋医学に出合い、痛みを専門に扱うペインクリニック「ぼだい樹クリニック」を開業。外科的な手術とは真逆の医療のように感じるが、勤務医時代から人間の持つ自然治癒力に興味を持ち、外側からだけではなく、内側から治していきたいと考えていたことが開業のきっかけとなったという。開業から13年、2018年には麻布十番から現在の芝エリアに移転。遠方からも患者が多数訪れる外来診療に対応しながら、週に3日の訪問診療にも取り組んでいる。「痛みの治療によって、患者さんが日常生活や仕事に戻ることができれば、たいへんな喜びです」と語る久田院長。積み重ねてきた経験を生かし、痛みに悩む人たちと誠実に向き合う久田院長に、日々の診療や患者への思いを聞いた。

(取材日2022年8月26日)

心臓外科の経験を生かし「痛み」を多角的に診療

覚えやすく印象的な院名ですね。どのような由来があるのですか?

久田義也院長 ぼだい樹クリニック1

開業時に何か緑に関する名前にしたいと思い、お釈迦(しゃか)さまが悟りを開いた木として有名な菩提樹(ぼだいじゅ)と、私の好きな言葉「菩提心(悟りを求めようとする心)」をかけて名づけました。2008年に麻布十番で「麻布ぼだい樹クリニック」を開業し、2018年に現在の場所に移転した際「ぼだい樹クリニック」に改名。院内も木のイメージを生かし、落ち着く、癒やされる空間をコンセプトにまとめました。診療内容は、ペインクリニック内科と内科全般で、移転を機にリハビリテーション用のスペースを設け、週に1回、専門のトレーナーによるリハビリプログラムも行っています。

ペインクリニックとして開業されるまでの経緯を教えてください。

父と祖父が医師だったので、自然に自分も医師になるものだと思っていました。心臓血管外科を選んだのは、もともと循環器に興味があり、大学で恩師に誘っていただいたことがきっかけです。母校の大学病院などを経て、順天堂大学医学部附属順天堂医院にも在籍し、恩師である天野篤教授の手技を間近で見て勉強しました。心臓血管外科という西洋医学の世界で診療に携わる中、いつしか人を外から治すということの対局にある、自然治癒力を高め内側から治す医療に興味を持つようになり、東京トータルライフクリニックの麻生佳津子先生と出会いました。この先生が私のペインクリニックの師匠です。また、開業後のMPS(筋膜性疼痛症候群)研究会との関わりも大きかったですね。

東洋医学的な診療も取り入れていらっしゃるのですね。

久田義也院長 ぼだい樹クリニック2

ペインクリニックは、漢方薬など東洋医学と密接な関係にあります。急性期の症状に対応する西洋医学と、慢性期の病気に適している東洋医学、今の時代、この2つを切り離して考えることはできません。先人の残した良いところと現代医学の良いところを受け継ぎ、それぞれの良いとこ取りをして患者さんに提供したいというのが私の診療の根本的な考えです。そして、心臓血管外科での日々の経験があったからこそ、人の痛みを深く考え、違った視点からものを見ることができるようになった、それが診療への考えに生かされていると感じています。

エコーガイド下筋膜リリースなど専門的な治療にも注力

どのような患者さんが多く来られますか。

久田義也院長 ぼだい樹クリニック3

頭痛、首痛、肩凝り、背中・腰・お尻・腕・手首の痛み、顎関節症などさまざまな痛みにお悩みの方で、なかなか治らない、治りが悪いという方が多いですね。そういった方に対して全身から原因を探り、痛みの奥に何が潜んでいるのかを注意深く診ながら治療を行っています。痛みの要素は1つということは少なく、特に5年、10年と痛みと付き合っている方の場合は、精神的ストレスなどさまざまな要素が絡み合っていることがほとんどです。最近多いのは、パソコン作業による筋膜に由来する痛みです。長時間座っていると、中殿筋に負担がかかり、お尻が痛くなるんですね。それを放置しておくと腰、太もも、ふくらはぎと痛くなり、歩くのもつらい状態になります。そういう方には治療とともに、坐骨を一番下にして座る、脇を締めて作業するといった座り方の指導などもしています。

痛みへの専門的な治療も行っていると伺っています。

例えば椎間板ヘルニアの場合、神経を圧迫している部分を手術することで改善が期待できると一般に考えられていますが、手術をしても改善しない例が相当数あります。痛みの原因となる箇所を発信源(トリガーポイント)といいますが、最近の研究では、この発信源が筋膜上に多く存在することがわかっているため、超音波診断装置を使いながらそこに注射をして、痛みの緩和をめざします。これは「筋膜(ファシア)リリース」といって痛みの原因に直接アプローチする手法で、頭痛や腰痛、下肢の痛み、五十肩など、筋膜が原因となる痛みに対して、当院では積極的に実施しています。

在宅医療にも取り組まれているとお聞きしました。

久田義也院長 ぼだい樹クリニック4

私が開業している港区には、高齢者夫婦や独居老人が多くお住まいの地域も多いのですが、在宅医療に取り組んでいるペインクリニックはほとんどないので、地域に根差した在宅医療を行いたいと考えています。お年寄りは心臓が悪い方や、痛みで悩む方も多いですから、循環器とペインクリニックという私の専門性をフルに生かせるのでやりがいを感じています。エコーガイド下筋膜リリースも、ポータブルの超音波内視鏡を使って院内とほぼ変わらないクオリティーで行うことができます。最近は、大学病院や総合病院などから依頼されることも増えていてニーズはとても高いですね。

痛みは放置せず、早い段階での受診を

診療される上でどのようなことを大切にされていますか。

久田義也院長 ぼだい樹クリニック5

痛みを取り除くことはもちろん大切ですが、痛みを取り巻くさまざまな要素を理解するように心がけています。痛みというのは検査で測ったり、画像診断したりできるものではありませんから、患者さんの話をよく聞いてその痛みを可能な限り理解するところから診療がスタートします。時間をかけて患者さんの訴えを聴くだけで、痛みが多少取れることもあるのではないかと考えています。患者さんが家族や生活のことを話されていく中で、ストレスになっている部分を感じ取りながら、その方に合った治療や薬をお勧めするようにしています。今まで痛みについて周囲の言葉で不快な思いをされ、痛みを理解してもらえず、やっとの思いで私のところに来られた方も少なくないので、患者さんに対しては常に敬意を払い、誠心誠意向き合うことで、リラックスしていただき、治癒というゴールに近づけられるように接しています。

最近、診療で気になる傾向などがあれば教えてください。

新型コロナウイルス感染症ワクチンの予防接種後、接種部位の痛みや若い方の心筋炎、血栓症などが増えている印象です。もともと循環器を専門にしていることもあり、循環器的な痛みなのか、筋膜に起因する痛みなのかを分けて治療を考えなくてはいけないと感じています。また、食品添加物が痛みにつながるとも言われていますから、食事に関するアドバイスも行っています。この数年、筋膜に関する知見が学問的に体系化され、筋膜リリースなどの治療も飛躍的に精度が上がってきました。研究を行ってきたMPSは整形内科学の一つとして扱われるようになり、痛みについての研究が進んだことで漠然とした痛みの原因を明らかにしたり、治療の方向づけもできて実際に治癒がめざせるようになってきています。人が健康に暮らすためにとても重要で期待される領域ですから、痛みを取るための治療について周知に努めていきたいと考えています。

最後に読者へのメッセージをお願いします。

久田義也院長 ぼだい樹クリニック6

さまざまな痛みを抱えて、悩まれている方はたくさんいらっしゃると思います。しかし、痛みは周囲の人には理解が難しいものです。悩んだ時には、一人で抱え込まず、痛みを専門とするペインクリニックの扉をたたいてみてください。痛みを放置すれば、それだけ治療期間も長引きますから、早い段階での受診をお勧めします。また、お年寄りの場合、痛みのために歩けなくなったり、寝たきりになったりすることもありますので、ぜひご相談ください。当院では、リハビリテーションが必要な患者さんにはパーソナルトレーナーによるリハビリプログラムも提供しています。痛みに関する悩みの解決へ向けてぜひ当院を利用してください。皆さんに快適な毎日を送っていただきたいと願っています。

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