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橋本 しをり 院長の独自取材記事

沢田はしもと内科

(世田谷区/祖師ヶ谷大蔵駅)

最終更新日:2019/12/09

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祖師谷大蔵駅を出て、商店街から1本奥に入った静かな住宅地に「沢田はしもと内科」はある。院長をつとめる橋本しをり先生は東京女子医科大学卒業後、同大学の神経内科に33年間勤務し、准教授まで務めたエキスパート。開業後は、パーキンソン病や認知症、脳卒中や頭痛などの専門分野の診療はもちろん、内科のかかりつけ医として脳血管障害の予防を目的とした生活習慣病対策にも力を入れている。趣味の登山を生かし、院内で体操教室を実施したり、がん患者のQOL向上を図るクラブを主催したりと、アクティブに挑戦し続ける橋本先生に、専門分野を生かした取り組みついて話を聞いた。
(取材日2016年3月1日)

寝たきりにならないための生活習慣病予防対策

神経内科がご専門とのことですが、どのような疾患を扱っていますか?

パーキンソン病や認知症、脳卒中や頭痛などの神経内科を専門分野としていますが、高血圧や糖尿病、脂質異常症といった生活習慣病の予防・治療にも力を入れています。「神経内科なのに生活習慣病?」と不思議に思われるかもしれませんが、脳血管障害の予防には生活習慣病にならないようにすることが不可欠なんです。私は大学に勤務していた頃、重度の脳血管障害の方や再発を繰り返す患者さんを多く診てきましたが、そこで痛感したのが、悪くなる前に予防することが大切ということ。実は、寝たきりになる原因として一番多いのは脳梗塞なんです。人は誰でも年をとりいつかは亡くなりますが、できるだけ長く自立した生活を送りたいですよね。そのためには、脳梗塞発症の危険因子である生活習慣病を予防しましょう、ということです。

具体的にどうやって予防したらいいのでしょうか?

来院された患者さんには、まず「区が実施している健康診断を受けてください」とお伝えしています。実は意外と知られていないことなんですが、市区町村の健診って1000円程度で基本的な項目が受けられる、非常に優秀な検査なんですよね。患者さんの負担を考えると、まずは健診を受けてもらい、その結果をもとに必要ならば改めて詳しい検査を行うようにしています。当院では、血管の硬さを見る脈拍伝播速度検査や、動脈硬化の度合いを見る頸動脈エコー検査などを取り入れています。そうやって、ご自身の体の状態をしっかりと把握してもらうことが、生活習慣病予防のためには大切だと考えています。

ほかに予防対策として行っていることはありますか?

週に1回、院内で体操教室を開いて、「山筋ゴーゴー体操」というのを患者さんと一緒にやっています。私は登山が趣味で、日本登山医学会認定・国際山岳医の資格も持っているのですが、この体操はもともと、登山に必要な筋力を強化するために考案された筋力トレーニングなんです。大腿骨四頭筋を鍛えるのに効果的で、生活習慣病予防として始めました。高齢者の転倒や認知症予防、気分が優れない方のリフレッシュとして、また、頭痛をお持ちの方の肩こり緩和などにも効果的です。体操が必要だなと思う患者さんにお声かけし、この体操を考案した先生に来ていただき、私と看護師が一緒に入って安全に配慮しながら行っています。1回につき6人、全部で12回コースで、これまでに50人くらいの方に参加していただきましたが、「また受けたい」という声も多く、これからも継続していきたいと思っています。

情報を正しくわかりやすく伝え、しっかりと治したい

医師になられたのはどんなきっかけだったのですか?

父がこの場所で小児科を開いていたんです。父の姿を見て育ったので医師の仕事は身近な存在でしたね。映画監督や旅芸人になりたいと思っていた時期もありましたが、医師の道を選ぶほうがより現実的でした(笑)。一方、高校2年生の頃、ふと脳に興味を持ちました。読書が大好きなんですが、時実利彦先生の『脳の話』という本が特に面白くて、「脳についてもっともっと知りたい」と思って医学部に進むことを決めました。もともと脳に興味があって医学部に入ったので、大学を卒業してからは迷わず神経内科に入局しました。

大学病院での勤務から、一転開業を決意された理由を教えてください。

大学を卒業後脳神経センター神経内科に入局し、2013年の3月まで在籍していました。それまで開業する考えはまったくなかったのですが、父の医院を継いだ弟から、古くなった建物を建て直すタイミングで2階に開業しないかと誘われたんです。直感的に「これは動くタイミングだな」と思い、あまり悩むこともなく開業を決めました。祖師谷大蔵は、商店街が充実していてとても住みやすい場所です。傾向としてはご高齢の患者さんが多いですが、1階にある小児科に子どもを連れて来たついでに、お母さんが当院を受診してくださることもあって、うれしく思っています。

どのようなクリニックをめざしていますか?

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まずは、患者さんに「今日ここに来てよかった」と思ってもらえるクリニックでありたいです。そのために、33年にわたって大学で専門的な診療を行ってきた経験を生かしながら、多くの方にわかりやすく病気について伝えようと心がけています。また、大学にいた頃は重症の患者さんを診ることが多かったです。悪くなった状態をたくさん診てきたからこそ、このクリニックでは病気を防ぐため、特に高血圧、脂質異常症(高脂血症)、糖尿病など生活習慣病について、合併症をおこさせないよう適切な治療を心がけています。

頭痛についてはいかがですか?

日本頭痛学会の認定医ということもあって、頭痛に悩んで少し遠くから来院される方もいらっしゃいますね。この地に開業して思うことですが、頭痛に治療法があると知らない方がとても多いです。薬を飲みすぎると「薬物乱用頭痛」を引き起こす場合もあるので、正しい情報・正しい治療を提供してきちんと病気を治すこと、それが目標です。

趣味の登山を生かして、がん体験者のQOL向上に貢献

登山が趣味ということですが、休日は山でリフレッシュされているのでしょうか?

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そうですね。小学校3年生の時に世田谷へ引っ越してくるまで、山の中で暮らしていたので、山という環境が大好きなんです。中学時代、夏休みに燕岳から槍ヶ岳に登山に行ったことで興味を持ち、大学では山岳部に入りました。勉強より夢中になっていたかもしれません(笑)。卒業後、8035mのガッシャーブルムII峰に5人の女性と同時に登頂したり、日中国交回復30周年記念の8000m峰日中友好女子登山隊の隊長を務めたりしました。山に行くととにかく気分が良くなります。テントを立てて土の感触を味わいながら寝るのは、本当に気持ちのいいものですよ。

登山を通じて、がん体験者の支援をしていると伺いました。

登山経験を生かして、2000年に日本とアメリカのがん体験者とスタッフを合わせた500人ぐらいで富士山に登りました。それをきっかけとして、2001年には女性のがん患者・元患者のQOLの向上を目的とした「フロントランナーズクライミングクラブ」を設立しました。現在は月に1度、メンバーと一緒に山に登ったり、チャリティーコンサートを開催する活動を行っています。待合室に飾ってある大きなタペストリーは、2000年に一緒に富士登山をしたアメリカの方が作ったものです。その時に見た鳥居が印象的だったようで、タペストリーに描かれた鳥居には5円玉がつけられ、その上にはご来光が表現されている、とても素敵な作品です。

最後に、読者にメッセージをお願いします。

神経内科というと、ちょっと身構えてしまうかもしれませんが、口がもつれる、しゃべりにくい、手足に力が入らない、しびれる、震える、感覚がないなどの症状はもちろん、めまいや頭痛といった日常的に起こりやすい症状も放置しないことが重要です。また、認知症の場合は、ご本人だけでなくご家族の気づきも大切。加齢による物忘れなのか病気なのかは判断しづらいと思いますので、気になることがあれば専門家に相談しましょう。中には、脳血管症害や甲状腺機能低下症などが原因で、認知症のような症状が見られることもあるので注意が必要です。ちょっとしたことでもいつもと違うと感じたら、早めに受診することをお勧めしたいですね。検査機器にしてもMRIの精度が向上していますので、60歳を超えたら一度脳の検査をしてみてはいかがでしょうか。

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