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橋本 昌也 副院長の独自取材記事

ふくろうクリニック等々力

(世田谷区/等々力駅)

最終更新日:2019/09/02

20190327 bana

等々力駅からすぐの場所で、主に高齢者を対象とした訪問と外来の診療で地域住民の健康と安心を支えるのが「ふくろうクリニック等々力」。そんな同院で、認知症や神経変性疾患の患者を中心に診療を担当しているのが、副院長の橋本昌也先生だ。医学部を卒業以来、一貫して認知症やパーキンソン病などの神経変性疾患を専門としてキャリアを積んできた橋本先生は、同院でもその豊富な知識と経験を生かし、認知症に苦しむ患者とその家族に寄り添っている。たとえ治らない病気であっても、「主訴を楽にしてあげることが大切」と穏やかな口調で語る橋本先生に、同院での認知症治療にかける思いを聞いた。
(取材日2019年3月18日)

認知症の訪問診療と外来を担当

クリニックでの、先生の役割を教えてください。

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私は当院に来て2年ほどたちますが、認知症やそれに関連するパーキンソン病などの神経変性疾患、精神科領域も含めた診療を担当しています。訪問診療を中心に週に2日は外来でも診療をしています。認知症に特化した訪問診療をしているクリニックは、あまり多くないのですが、当院には私を含めて認知症を専門とする医師が3人いますので、充実した体制を整えられていると思います。また、当院のようなクリニックは地域医療という面もありますが、認知症や神経変性疾患の診療では、大規模な病院でもクリニックでもすることは一緒で、しっかりと診断して治療をすることが大切だと考えています。

認知症の診療の特徴は、どのようなものでしょうか?

ほかに何かの病気があって、それに加えて最近、物忘れをするようになったという方は大勢いると思います。そして認知症というと、皆さん物忘れだと思うかもしれませんが、物忘れそのもので困る人は、あまりいないんです。それよりも、落ち着かなくなる「不穏」と呼ばれる症状や医療を拒否してしまうことで、もともとのかかりつけの病院にもなかなか行かなくなってしまい、家で孤立してしまうのです。家族と一緒に住んでいればまだ良いですが、一人暮らしや高齢の夫婦だけで住んでいると、なかなか医療に結びつかずに、対応も難しくなってしまうということがあります。つまり認知症は、物忘れが中心にあって、周辺症状と呼ばれる不穏や被害妄想、徘徊、医療の拒否など記憶の問題以外の部分で社会との関わりがうまくいかなくなることのほうが問題で、それに対処する必要があります。

認知症の患者には、どのようなアプローチが大切なのですか?

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一つは、なるべく早くということです。これは、啓発活動などで広めていく必要がありますが、ひどくならないうちに医療機関を受診してもらうことが大切です。もう一つは、認知症といってもいろいろな認知症があります。アルツハイマー型認知症が有名ですが、ほかにもさまざまな認知症がありますので、早いうちに診断をしっかりとつけることです。例えば、レビー小体型認知症には、「幻視」といってないものが見えるという症状があります。かなりリアルに見えますので、患者さんは、"そこに誰かいる"など言いだします。何も知らないと怖いですが、そういう症状があることを事前に家族が知っていれば、きちんと対処できますよね。診断がしっかりつけば、その後の治療もだいたい決まってきますし、どんな周辺症状が出やすいのかなど、いろいろなことの予想がつきますので、より適切な対処ができるようになるんです。

しっかりと診断をつけることが大切

認知症が疑われたとき、どんな診療の流れになるのですか?

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まずは本人に話を聞いて、その次にご家族の話をしっかりと聞き神経学的な診察を行います。これで7〜8割はあたりがつきます。また、必要であればMRIなどの検査を行います。当院には、認知症に詳しい臨床心理士がいますので、より専門的な物忘れのチェックをしてもらうこともあります。私も以前、大学病院にいましたが、大きな病院だと外来がすごく混んでいて、ゆっくり時間が取れないんですね。かと言って認知症の方を入院させると、環境が変わることによって落ち着かなくなってしまうことがあります。そういう点では、クリニックの外来や訪問診療で伺った自宅で、ゆっくりと話を聞けるというのは、良い診療環境ではないかと思います。

どのように治療をするのですか?

ほとんどが、内服薬による治療になります。最近では薬も増えましたので、その人に合わせて処方を調整するようになります。先ほども言いましたように、物忘れそのもので大騒ぎすることはまずありませんから、進行を遅らせると同時に周辺症状をうまく抑えて、穏やかに生活できるようにすることが治療の目標となります。あとは、患者さん自身に危険がないようにすることも大切です。例えば、すごく状態が悪いのに一人暮らしでは、危険です。その危険を取り除くためには、薬もそうですが臨床心理士がカウンセリングをしたり、ケアマネジャーさんや訪問看護の方とも話し合って、家の中の危険なところには柵をつけたり、薬の管理がしやすいようにカレンダーを工夫したりすることも、有効です。そういう意味では、コメディカルとの連携もとても大切です。

診療をしていて、思うことはありますか?

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診断が、認知症というところで止まってしまっている人が、少なくないように思います。専門の医師ばかりではありませんから、致し方ないところもあるのですが、例えば治療できる認知症もありますし、漠然と認知症というだけで引っ張ってしまって、大変なことになってから紹介されてくる方も結構います。ですから、その先の診断をつけることは大切です。心臓の病気だったら心臓を専門とする医師に診てもらいますし、がんだって然りです。ですから認知症でも、何か心配や問題を感じるのなら専門とする医師に一度、診てもらうのも良いのではないでしょうか。

「主訴からの解放」をめざす

診療の際に心がけていることは何ですか?

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繰り返しになりますが、診断をきちんとつけることです。私は、医師は診断がすべてだと思っていて、極論を言えば、診断がつけば治療方法は本に書いてありますし、そのとおりにすれば大失敗はしません。診断がちゃんとついてないから治療がブレたり、だんだんうまくいかなくなってくると私は思っています。神経内科の病気は検査でわかるというものではないので、疑いというのが結構多いのですが、できるだけしっかりと診断をつけることは意識しています。もう一つは、「主訴からの解放」です。私が大学時代、パーキンソン病の勉強をしていたときにお世話になった先生から常々教えられてきた言葉なんです。この言葉は今の診療スタイルの原点にもなっていますね。認知症も神経難病も、現在は根本的に治療をすることはできません。しかし、治す必要はなくて、可能な限り主訴を楽にしてあげれば良いわけです。そのことは、常に心がけています。

どのようにリフレッシュしていますか?

趣味は、サーフィンですね。実家が千葉県の鴨川で病院をしているので、月に1日はその病院を手伝いに行って、病院が海のすぐそばなので、勤務が始まる前の朝にサーフィンをしています。冬でもしていますよ。昔から、遊び程度にはしていたのですが、ここ3〜4年くらいは、人に教わりながらやっています。そこに行く目的は、手伝いとサーフィンで半々くらいですね(笑)。中学生になったばかりの息子とも時々一緒に行くのですが、あまり好きではないみたいです(笑)。

最後にメッセージをお願いします。

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認知症に関していうのなら、全然怖がらなくて良いと思いますし、ご家族の方でも気になることがあれば、まずは相談をしていただいて、そこから一緒に考えて行きましょう。心配だというのをずっと引きずって、もし大変なことになってしまったら、それは私たちも助けることができませんから、そういうことだけにはならないようにしてほしいと思います。それに、相談してもらうことに早すぎることはありませんし、何もなければそれでよかったというくらいに、気軽に相談をして良いと思います。当院にも、認知症やほかのことについても、何でも気軽にご相談いただければと思います。

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