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山口 潔 院長の独自取材記事

ふくろうクリニック等々力

(世田谷区/等々力駅)

最終更新日:2019/09/02

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等々力駅から徒歩1分のところにある「ふくろうクリニック等々力」。山口潔院長は、東京大学医学部附属病院などで研鑽を積んだ老年医学の専門家。ひとたび口を開けばその場が笑顔であふれる、明るい朗らかなドクターだ。院内はグリーンで統一され、清潔感があり、至るところにクリニックのモチーフとなっているふくろうの置き物が飾られている。多くは患者からの贈り物なのだそうで、そこにも山口院長が地域住民から親しまれている様子がうかがえる。そんな山口院長に今回、同院での診療や患者にかける思いについてなど、たっぷりと話を聞いた。
(取材日2019年1月11日)

安心の365日24時間サポート

最初に、こちらのクリニックの特徴を教えてください。

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当院は、主にご高齢の患者さんを対象とした「高齢者総合支援診療所」です。通院が困難な患者さんのご自宅や施設に伺って診療を行う「在宅医療」と、「外来診療」との両方を行っています。在宅医療に関しては、定期的に患者さんのもとへ伺う訪問診療のほか、緊急時は夜間でも往診に行ったり、病院への搬送を指示したりしながら、幅広く高齢者の在宅療養を支援しています。外来では「認知症」をはじめ、がんに伴う痛みなどに対応する「緩和ケア」、パーキンソン病や多発性硬化症といった神経内科の病気や脳卒中の後遺症を扱う「神経難病」の3つの専門の外来を柱とし、認知症予防に関心のある方や体力低下が心配な方への相談も行っています。歩いて通院できる方は外来診療となりますが、ニーズは在宅医療のほうが圧倒的に多いですね。

先生は大学卒業後、どのようにご専門を決められたのでしょうか。

学生のときに大学病院で先端医療に接することが多かったのですが、訪問診療に同行する機会がありました。そこで初めて地域に根づいた医療に接しました。当時はまだ在宅医療という言葉すらない時代でしたが、その経験をきっかけに老年医学に興味を持ち、現在に至ります。大学卒業後は、東京大学医学部附属病院の内科や自治医科大学附属さいたま医療センターの神経内科・総合診療科で経験を積み、2003年からは東京大学医学部附属病院の老年病科で、認知症の患者さんを多く診てきました。勤務医時代は研究にも勤しんできましたが、すぐに誰かの役に立ち、それを感じることのできる臨床により従事したいと思うようになり、開業することにしました。

開業に際して、どのようなクリニックをつくろうと思いましたか?

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病院は専門性が高く、治療が効率化されている一方で、慢性疾患の長期的なケアというのは難しく、その点においては地域のクリニックが優れています。また、医療とは治療以外にも、ご家族を含めた心のケア、予防、社会参加の促進等多岐にわたり、それを果たしてこそ地域医療だと思いますので、多方面から患者さんをバックアップし、サポートできるクリニックにしたいと思いました。

では、こちらでの診療についてもう少し詳しく教えてください。

病院でできて、在宅医療でできないことは多くあるのですが、それを極力減らしたいと思っています。そこでまず、在宅医療の診療で用いる医療機器を増やしました。また、訪問診療の予約が予め入っているため往診に対応できない、ということがあってはなりませんので、365日24時間患者さんに対応できるようスタッフを増員し、体制の強化に努めています。ちなみに現在常勤の医師が6人、その他に非常勤の医師も多数在籍しております。当初は在宅医療を中心に診療を行っていましたが、診療していく中で地域医療の重要性をより痛感するようになり、現在は外来診療にも力を入れ、主に認知症、がん、神経難病を中心に幅広く診療を行っています。

院内で医療チームを形成し、在宅医療に従事

在宅診療のメリットとは何でしょうか?

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認知症の患者さんが入院すると、入院関連機能障害と言って入院したことで認知症が悪化してしまったり、歩行や食事が困難になったりと、生活機能の低下が起きやすくなります。また、自宅で治療する場合と入院して治療する場合とでは、死亡率や治療成績があまり変わらないことが研究され、発表もされています。となると、ご自宅で治療をしたほうがいいですし、患者さんにとってもそれが安心です。また、ご自宅での介護が難しい場合、当院では訪問看護ステーションや居宅介護支援事業所も併設していますので、そちらで患者さんをケアすることも可能です。

こちらで行っている在宅医療にはどのような特徴がありますか?

病院は窓口が明確で、スタッフ間の連携もスムーズなのに対して、在宅医療では、異なる事業所から医師、ケアマネジャー、ヘルパー等が派遣されるケースがほとんどなので、患者さんからすると用のあるときに、どこへ問い合わせて良いのかわかりにくいですし、スタッフ側もそれぞれ立場も違えば、事業所も違うので、連携や情報共有は容易ではありません。それを解消すべく、当院では医師の他に訪問看護師、臨床心理士(公認心理師)、ソーシャルワーカー、薬剤師、ケアマネジャー等、さまざまな専門職種のスタッフが在籍し、院内で在宅医療のチームを形成しています。それを実現しているクリニックは地域では珍しいと思いますね。患者さんからスタッフに伝言や要望があれば、クリニックに戻ってすぐ伝えることができますし、平日は毎朝カンファレンスを行い、スタッフ間で情報を共有しています。

認知症の診療についてもお聞かせください。

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当院は認知症の治療に関して豊富な経験を持つクリニックだと自負しております。老年医学、神経内科、脳神経外科、精神科、リハビリテーション科とバックグラウンドの異なる認知症の専門家が在籍しているのも特徴で、さまざまな面から症状にアプローチし、診療することが可能です。近年は軽度の認知症の患者さんの来院が増えていますね。認知症の予防には食事、運動、睡眠、ストレスケア、知的刺激、社会参加の6つが関連すると言われており、補わなければならない部分というのは患者さんごとに異なります。当院では現在、その方に合った予防法、治療法を提供する認知症予防のプログラム開発を進めています。

予防について啓発を続け、地域住民の健康を守りたい

患者さん自身でわかる認知症のサインや、クリニックにかかる目安はありますか?

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まず、物忘れが気になるようであれば、気軽にご来院ください。認知症が進んでくると、病識や洞察力が減退しますので、ご家族が連れていらっしゃるケースがほとんどです。仕事や対人交流で支障をきたすようであれば、一度医療機関で評価してもらうのがいいでしょう。ところが実際、ご家族が医療機関へ連れて行きたくてもご本人が拒むケースも少なくありません。そこで当院では物忘れ往診というのも行っています。結果、認知症と診断がつけば、介護保険サービスを申請できたりなど、物事が前へと進みますから、心当たりのある方がいらっしゃれば抱え込まずに一度お問い合わせください。

その他に力を入れて取り組んでいることがあれば教えてください。

加齢に伴う機能低下状態をフレイルと言うのですが、それが近年の老年医学のトピックとして挙げられており、認知症の危険因子とされています。フレイルの代表として、筋肉量の減少によって身体機能の低下を引き起こすサルコペニアという症状があります。その患者数は増加傾向にあるのですが、効果的な治療薬がいまだ開発されていないこともあり、診療できる医療機関が限られるのが現状です。当院ではその診療も行い、筋肉量の減少が見られれば食事や運動の指導を行うなど、予防にも取り組んでいます。また、がんの緩和ケアにも注力しています。他院での術後も担当医とタッグを組み、私どもはかかりつけ医としてリハビリテーション、メンタルケア、緩和ケアの面から患者さんをサポートしています。最近ではがんの再発と筋肉量の関連性を示す論文が発表されました。今後、認知症やサルコペニアの診療で培ったノウハウをがん診療に生かしていきたいと思っています。

今後の展望をお聞かせください。

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要介護者、認知症、寝たきりの患者さんを診るだけではなく、それを予防することも含めて老年医学だと考えています。医療機関にかかっている方だけでなく、かかっていない健康な方にも、予防に対する意識を高めていただけるよう、今後も講演会等を通して啓発活動を行っていきたいです。そしてクリニックとして、これからも玉川地域の住民の健康をどのように守っていけるかという視点を忘れず、クリニックの形態を考え、精進していきたいと思っています。

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