和泉 一清 院長の独自取材記事
イズミ歯科
(墨田区/押上(スカイツリー前)駅)
最終更新日:2024/10/23
東京メトロ半蔵門線押上駅から徒歩1分の「イズミ歯科」は、1980年の開業以来40年以上、地域に親しまれる歯科医院だ。和泉一清院長は、開業当初から「歯内療法の専門家として、歯と骨をできるだけ残す治療に全力を尽くすこと」、「清潔で快適なクリニックであること」を両輪とし、安全面に配慮した診療を行っている。診療内容は一般歯科から歯科口腔外科、審美面に配慮した治療と幅広く、英語診療にも対応可能。不定期の勤務になるが、義歯の治療を専門に学ぶ娘の奥井佐知先生が副院長として診療に加わり、より患者のニーズに応えられる歯科医院へと進化した。今でも和泉院長は新しい歯科医療を学び続け、患者にとって良い治療法があれば取り入れるなど、常に歯科治療のアップデートをしていく歯科医院だ。治療内容や今後のことなど話を聞いた。
(取材日2021年10月4日/2024年7月1日)
歯内療法を軸に、保険診療から自費診療まで幅広く対応
歯内療法に注力されていると伺いました。
歯とそれを支える骨を、できるだけ残し長持ちさせるというのが当院の考え方です。そのために欠かせないのが、歯の根の部分を治療する根管治療を中心とした、歯の内部に対する治療である歯内療法です。炎症を起こした歯髄を治療し、できる限り保存することをめざします。神経を抜いてしまった歯は、脆く割れやすくなってしまいます。また、虫歯になっても痛みを感じないため気がつきにくく、治療の開始が遅れることもあります。そのため、長く自分の歯で噛める状態を維持するためには、なるべく神経を残すべきだと考えます。歯内療法は肉眼では確認できない歯の内部の治療ですから、経験と技術が必要となります。また、歯科医師一人では進められない治療であり、スタッフとの連携も重要です。当院では開業以来質の高い歯内療法を提供することに注力してきており、近年ではレーザー機器も導入し、より低侵襲でかつ治療の精度を上げることにも努めています。
最近、歯科用マイクロスコープを導入されたとか。
長年、ルーペを用いて歯内療法を行ってきましたが、歯科用マイクロスコープ(歯科用顕微鏡)を導入しました。肉眼やルーペでは見ることができなかった歯の根の奥まで確認できるマイクロスコープにより、より精密な治療が可能となります。また、これまで熟練の技術を要した治療を、比較的経験の浅い歯科医師でも行うことができるようになりました。しかし、マイクロスコープを使った歯内療法には時間がかかり、自費診療となります。1つの根管の治療に高額な費用が必要となるので、すべての患者さんにお勧めできるというわけではありません。当院では経験に基づく保険診療の枠内での治療と、自費によるより精度の高さを重視した治療の両方を選択肢としてご用意し、患者さんにお選びいただいています。
口腔内スキャナーも導入されたそうですね。
これまでの口腔内スキャナーは画像の鮮明度が不足していると感じていましたが、技術の進化により希望する水準がかなうようになり、ドイツ製の機器を導入するに至りました。詰め物やかぶせ物、3本までのブリッジなどの製作に活用しています。印象材で型を採る従来の方法と比べてもより精密な補綴物を作ることに役立ち、フィット感や噛み合わせにもよりこだわることができるようになりました。従来の型採りよりも時間がかからず、患者さんの負担を軽減できるのも利点です。
アメリカでの経験を生かし、歯と骨の保存をめざす
日本とアメリカ両方で歯学部を卒業されたのですね。
尊敬する先生や教授の話を聞くうちに、海外でも見聞を広めて世界で通用する社会人になりたいと思いまして。日本大学を卒業した翌年に渡米し、1976年に南カリフォルニア大学を卒業しました。向こうでは歯内療法や噛み合わせといった1つの分野を極める歯科医師が多く、その技術や知識の深さに「ここまでできるのか」と驚かされることも多かったです。また、あちらは訴訟がからむ責任問題には敏感で、患者さんとのやりとりもテープレコーダーや書面で残すのが普通。当時日本は「先生の言うことなら間違いない」という考えが一般的な時代でしたから、とても異質に感じたのですが、今は日本でも患者さんの権利意識が向上し、欧米に近づいてきましたね。われわれ歯科医師もよりしっかりと説明義務を果たさなくてはいけないと感じていますし、それは常に意識しています。
最初から開業を視野に入れていたのですか?
最初から町の歯科医師として臨床に携わりたいと思っていたので、帰国後は大学で基礎研究をしながら、クリニックに非常勤で勤め資金をためていました。この場所はもともと父が日用品の問屋をやっていた場所で、「ビルを建てるんだけれど、ここでやらないか」と言われたのが、開業のきっかけです。ここは私が生まれ育った場所で、近所に知り合いも多く、とても愛着のある土地なんです。できるだけ歯を残すために行う歯内療法を専門としているので、なるべく抜かずに歯を長持ちさせることをモットーとし、インプラント治療や入れ歯治療の際にも重要な顎の骨の保存を重視しています。
顎の骨の保存のため、具体的にはどのようなことをするのでしょうか?
まずは骨が減少しないようにすることが大切なので、歯周病予防として、クリニックでの歯石除去のほか、患者さんへの歯磨き指導を中心に口腔衛生環境の維持を図ります。これらをきちんと行えば、歯周病の進行予防につながると考えていますが、症状が進んで骨が少なくなり歯が抜け落ちてしまった場合は、外科的処置を行うことになります。例えば、骨が少ないところに補填材を用いて骨造成を図り、その上でインプラントを埋入するといった方法です。また、近年では自身の血液から取り出したたんぱく質を用いることで、効率的に組織の再生を促すことができるのではという観点で研究が進んでいます。自身の血液を用いるため、より生体親和性が高く、安全な治療をめざせるといわれています。どんな治療をするにせよ、患者さんが帰るときに良い状況になっているようにということを心がけています。少しでも症状を改善できるよう、全力を尽くして治療にあたっています。
次世代を意識したクリニックづくりにも取り組んでいく
院内感染症対策にも早くから取り組んでこられたとか。
当院では、開業以来一貫して高い水準の滅菌を行うための機器を厳選して採用してきました。最近では、眼科など医療分野でも広く用いられている新型の滅菌器を導入。ドリルの内部や細いチューブの中まで滅菌できる、クラスB滅菌器です。また、タービンなど治療に使う器具は滅菌後パック詰めし、治療時に患者さんの目の前で開くようにしている点も、開業以来変わっていません。そのほか感染症対策としてウイルスの6分の1の微粒子まで除去できる空気清浄機も新たに設置しました。受診してくださる患者さんが、今まで以上に安心して、清潔な環境で治療を受けられるように設備を整えています。
娘さんが副院長として診療にあたっているとお聞きしました。
育児との兼ね合いもあり、診療日は決まっていませんが、副院長として診療に加わってくれています。大学で、歯の土台となる「床」の部分から入れ歯を製作する有床義歯の補綴などについて学んだ歯科医師です。大学病院で訪問診療や認知症患者の歯科治療にも携わり、高齢者に多い疾患の治療経験も積んでいます。また、当院は小児歯科を掲げていますが、高齢の方に比べるとお子さんの受診は少ないのが現状です。子育て真っただ中の女性の歯科医師が加わることで、お子さんやお子さん連れの方も受診しやすくなるのではないでしょうか。これから継承も考えながら、当院が今まで築いてきたものを徐々に引き継ぎ、彼女自身の魅力である「しっかりと話を聞いて一人ひとりに向き合う姿勢」も大事に診療を行ってもらいたいと思っています。
今後の展望と読者へメッセージをお願いします。
今後は継承への準備期間として捉え、人材面でも機材面でも次世代を意識したクリニックづくりにも取り組んでいきたいですね。当院を率いていく予定の副院長と一緒に成長していけるような、新卒の歯科衛生士やスタッフを採用できたらと考えています。講習会などには副院長とともに参加して、私自身も若い感性や新たな知識にふれていけるように努めます。いずれにしても「来た時より良い状態でお帰りいただく」というモットーはそのままに、痛みや精神的苦痛を取り除き、気持ち良さや噛める喜びをお持ち帰りいただける診療をめざしています。治療の選択肢も幅広くご用意していますので、ぜひお気軽にご相談ください。
自由診療費用の目安
自由診療とはインプラント治療/36万3000円~、骨造成/3万3000円~、歯内療法/11万円~、ホワイトニング/2万2000円