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大久保 勝久 院長の独自取材記事

おおくぼ歯科医院

(墨田区/京成曳舟駅)

最終更新日:2020/04/01

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再開発で新しい建物が目立つ京成曳船駅から5分ほど歩くと、昔ながらの商店や家屋が並ぶ、どこか懐かしい雰囲気の街並みが現れる。中でも風格を漂わせているのは、1920年創業の老舗銭湯。その2階にあるのが、「おおくぼ歯科医院」だ。銭湯の家に生まれた大久保勝久院長が、同院を開業したのは30年以上前。以来、地域のかかりつけ医として診療にあたっており、「歯科医師の一番の務めは、完結期までの食支援」として、高齢者の口腔機能の維持・回復には特に力を入れている。外出が困難になったなじみの患者のために訪問診療を行う傍ら、向島歯科医師会会員として、多職種と連携した介護予防事業にも取り組む。多忙ながらも朗らかで、地元愛にあふれる大久保院長に熱い思いを聞いた。
(取材日2018年3月20日)

口腔内の機能を守って全身の健康をサポート

こちらの建物1階にある銭湯はこの地域で有名だそうですね。

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1階の銭湯は1920年に私の祖父が開業しました。関東大震災や東京大空襲も経験している地域ですが、幸いこの界隈は残りました。風呂屋の孫なのに後を継がなかったのか? とお思いでしょうが、実は私は小さい頃心臓の病気を患っていまして。入院していた小児病棟で、一緒にいた子どもたちのうち3割くらいが亡くなっていくのを目の当たりにするという、幼心にも胸を打ち抜くような衝撃的な経験をしました。その時から将来は医師になると心に決めたのです。その後人の生死について考えるようになった際、自分はその重みに耐えられる性分ではないと判断し、最終的には歯科医師の道を選びました。とにかく早く開業したかったので、鶴見大学歯学部を卒業後、2年ほど勤務医経験を積んだ後に押上で開院し、1992年に現在の地に移転しました。

患者層や診療内容を教えてください。

ネットで調べて遠くから来てくださる方もいますが、一番多いのはやはり地域住民の方です。当院では一般歯科、インプラント、審美歯科、義歯などを行っていますが、特に力を入れているのは高齢者向けの歯科医療です。医療の進歩によって可能になった新しい治療法も、できるだけ取り入れるようにしています。それから、通院が困難な方のために訪問診療にも積極的に取り組んでいます。

訪問歯科診療についてはかなり前から導入されているそうですね。

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はい。墨田区では歯科医師会への委託事業として長年、訪問診療を行ってきましたので、私も20年前、押上にいた頃から始めていました。開業して30年以上になりますが、7、8年前からなじみの患者さんが歩けなくなったり、病気で寝たきりの生活になられたりといったことが多くなり、その頃から往診の件数も増えました。今では在宅の患者さんは50~60人いて、他に介護施設や病院にも出向いて診療しています。がんや脳梗塞といった体の病気を持つ方も多いのですが、そういう患者さんも口腔ケアをして自分の口から食べられるようになると、体の回復も早いし精神的にも落ち着くと思います。歯科医療を通じて、そのような食の支援をしていくのが私たちの務めです。スタッフにも介護経験のある人がいて、患者さんやご家族の気持ちをうまく察してくれるので助かっています。

地域の高齢者を守るためさまざまな職種と連携

向島歯科医師会でも活躍されていると伺いました。

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歯科医師会は地域住民の健康を支える活動などを行っていて、向島地区にある約70の歯科医療機関に検診事業や休日応急診療の分担を割り振ったりする役割を担っています。今は地域医療担当として高齢者向けの介護予防事業などに取り組んでいます。個人的にも高齢者の歯科医療については関心が強く、これまで他の歯科医院に出向いてさまざまな症例の患者さんを診たり、認定試験の勉強をしたりして理解を深めてきました。日々の治療にもフィードバックできるので非常にためになります。他にも歯科医師会では災害時の食支援ネットワークに参加したり、高齢者の口腔ケア、食事指導なども行ったりしています。

講演会でご登壇されることもあるそうですね。

食育文化の普及促進をしている団体と、向島歯科医師会が協同でイベントを開催していて、その際に講演させてもらうこともあります。皆さんに特に知っていただきたいのは、口の機能が弱って病気などを引き起こしやすくなる「オーラルフレイル」という状態です。加齢によって噛む力や飲み込む力が弱くなると、食べ物が肺に入って起こる誤嚥性肺炎のリスクが高まります。また奥歯が抜けて噛み合わせが悪いと、転びやすくなったり認知症が進行しやすくなったりといった支障が出ると考えられます。このような状態を避けるためにも日頃から口の中に気を配り、症状があれば早めに歯科医師に相談していただきたいのです。私は東京都が行っている摂食嚥下機能障害支援事業に参加しており、口のリハビリテーション指導などにも携わっていますから、今後もリーフレットを配布するなどして知識の普及に努めていきたいと思っています。

地域医療で解決すべき課題は何ですか?

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これまでは「診療所完結型」と言って、例えば入れ歯を作って口の「形態」を回復すれば歯科の治療は終わっていました。しかし、これからは「家でご飯がちゃんと食べられる」といった口の「機能」を回復させるまでが歯科治療の役割です。そのためには、何を食べるように指導すればよいか管理栄養士に意見を聞く必要がありますし、訪問看護師やケアマネジャー、ヘルパー、言語療法士といった職種の方々の協力も不可欠です。そういう地域のさまざまな職種の方に助けてもらいながら健康を支える、「地域完結型」の医療をめざすべきだと思っています。この多職種連携の地域医療をさらに進めていくことが今後の目標です。

楽しく年を重ねられる街づくりに貢献

診療で最も大切にしていることは何ですか?

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「傾聴」、つまり患者さんの話をひたすら聞くことです。相手の言うことを否定せず、大切なことは何度でもお伝えすることも心がけています。以前、「入れ歯を一度も外したことがない」とおっしゃる認知症の方がおられました。そこで「外して洗ったほうがいいですよ」と周囲の方とともに伝え続けていたところ、ある時を境に「先生、毎日外して洗っているよ」と話してくれるようになりました。これは印象深い出来事でしたね。また、ご高齢の方の元気を応援することも大切にしています。当院は診察室が2階にあるので、通院しやすいように1階に移すことも考えたのですが、今は「元気に歩けるうちは頑張って来てくださいね。往診が必要になったら行きますから」とお伝えするようにしています。

患者さんとのエピソードを聞かせてください。

開院当初から通院されていて、後に施設に移られた患者さんがいます。一緒に写真を撮るくらい親交の深い方ですが、認知症になられた今、私をちゃんと認識してくれているのかは正直、わかりません。でも会いに行くと今もニコッと笑ってくれるんです。その度に「ああ、わかってくれているのかな」とうれしくなりますね。また別の訪問診療の患者さんで、半年かけて入れ歯を作り直した方がいます。最初は無反応でしたが訪問する度に表情が変わって、最後はなんとお化粧をしてお茶を淹れてくれたんです。周囲との関わり合いが刺激になったのでしょうね。他にも、寝たきりの方を治療して「また来るよ」と耳元で言ったら、「いつ来るんだい?」と初めて返事をされて、看護師さんと顔を合わせて驚いたこともありました。独り暮らしで泣いておられた方に漫談のCDを持って行って打ち解けたこともありますし、どの患者さんとのお話も忘れられない思い出です。

今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

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これから高齢者の数はますます増加することが予想されますから、歯科医師の果たすべき役割も増えます。地域の方々には食べる機能の大切さをもっと知ってほしいです。同時に、「年を重ねることは楽しい」という実感を持てる街にしたいですね。もし車いす生活になっても、外でおいしいものを食べたいでしょう? メニューもやわらかいものや減塩のものを飲食店と協力すれば作れるでしょうから、工夫次第で高齢者も今までどおり外食を楽しめると思うのです。墨田区は「助けて」と言う人がいれば助けを差し伸べてくれる人情ある街です。私ももちろん相談に乗りますし、私で無理なことは区や専門職の方と連携して解決できますから、ぜひ声をかけてください。

自由診療費用の目安

自由診療とは

インプラント治療/23万円~
セラミックのかぶせ物/5万円~14万円

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