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大久保 勝久 院長の独自取材記事

おおくぼ歯科医院

(墨田区/京成曳舟駅)

最終更新日:2022/08/23

大久保勝久院長 おおくぼ歯科医院 main

京成曳舟駅から徒歩5分。銭湯の2階にあるのが「おおくぼ歯科医院」だ。同院は、大久保勝久院長が1985年に墨田区押上で開業後、1992年に移転。以来、30年にわたって地域住民の口腔内の健康を守ってきた。同院では高齢者の訪問診療や介護予防に注力。大久保院長は豊富な診療経験と、行政や多職種と連携した地域のネットワークを生かして、現在は子どもへの食事指導や災害時の食支援ネットワークにも携わっているという。大久保院長の温かなまなざしは、高齢者や子どもはもちろん、全世代へ向けられている。口腔内から全身の健康を維持していくことの大切さを説く大久保院長に、現代社会における歯科医療の大切さを語ってもらった。

(取材日2022年3月9日)

口腔内から全身の健康をサポートする地域完結型医療

高齢者の健康を口腔から支えているのですね。口腔内と全身の健康の関連を教えてください。

大久保勝久院長 おおくぼ歯科医院1

オーラルフレイルという言葉があるのですが、噛む力や飲み込む力といった加齢による口腔機能の衰えを指します。口腔内の健康は、全身の健康につながります。歯の下には血管が通っていて、口内の雑菌はその血管から全身に回ることもあるのです。口腔内の環境は、脳卒中や心疾患、認知症などを引き起こすリスクになるのです。また残っている歯の数が減り奥歯の噛み合わせがなくなると転倒リスクも高まるとされます。よろめいた時に奥歯で食いしばって踏ん張ることが難しくなるからでしょう。しかしたとえ歯を失ったとしても、義歯を入れることでリスクの低減は期待できます。口腔内の環境を良く保ち、高齢になっても歯を失わないよう努めることも大切ですし、失ってしまったならば義歯を入れる。抜けたままにしないことが大切なのですね。

先生は訪問診療にも長年携わっていらっしゃるそうですね。

墨田区では歯科医師会への委託事業として訪問診療が行われており、当院でも初期の25年前から従事してきました。筋肉の動きや姿勢から摂食嚥下機能の回復を図る言語聴覚士、食物指導を担う管理栄養士、ケアマネジャーらとともに地域完結型医療に取り組んでいます。また、近年は介護予防の講習も行っています。口腔内から全身の健康を維持し、介護を要する状態になるのを防ぎましょうということですね。

高齢者の摂食嚥下については、具体的にどのように支援されるのですか?

大久保勝久院長 おおくぼ歯科医院2

例えば、脳梗塞で片麻痺があり、食事をすることが負担となり、途中で眠ってしまうほど疲れてしまうという患者さんがいたとしましょう。そういったケースでは、野菜などを薄く小さく切り、また麻痺が残っていて体が傾くことも食べづらさの原因となっていることも考えられるため、麻痺のある腕をテーブルに乗せて食べるときの姿勢を水平に保つ食事介助を指導してます。退院時のカンファレンスで食指導を受けていても内容や量が合っていないということもあるのです。誤った食介助を調整する役割をかかりつけ歯科医がお手伝いするともいえますね。

子どもから成人、高齢者まであらゆる世代へ向けて活動

高齢者の食事において、注意点はありますか?

大久保勝久院長 おおくぼ歯科医院3

まず食べる機能に合った食形態であること。姿勢は座って前を向き、床に足をつける。高齢者が車いすに座って足をぷらんとさせてたまま食べていることがあります。そういったときは足元へ座布団を入れてあげればよいのです。口腔内でどのような動きが行われているかというと、食物を噛んで塊にし、舌で上顎に押しつけ、息を止めて飲み込むのですね。舌の力が弱まっていたり歯が欠損したりすると、食べ物が漏れてしまい、口の中でまとめることができません。また水を飲む量が足りないという問題もあります。一日1.5L以上、成人なら2L。高齢者であれば500mlのペットボトルでこまめに水分補給をしてほしいですね。唾液の分泌量は加齢により減りますし、口腔乾燥は多くの薬の副作用でもあります。ただし腎臓が悪い方は水分摂取に注意しなければなりません。そういったことも医師・薬剤師とも連携する必要があります。

昨今は子どもたちへの食事指導にも注力なさっているそうですね。

障害があって嚥下が困難なお子さんもいます。子どもは離乳後、段階的に機能を育てていく必要があります。不慮の事故のうち、窒息事故死の件数は、交通事故死を上回っていた時もあります。大多数を占める高齢者の誤嚥防止については知られるようになり減ってはきたのですが、一方で子どもの窒息事故が増えているのですね。2018年には節分を前に消費者庁が3歳以下の子どもには豆を食べさせないよう注意喚起をし、2021年には5歳以下に引き上げられています。実際に窒息はさまざまな食品で起きていて、パンやおにぎり、寿司、ごまやおかゆですら原因になっています。しかしそれでは食べる物がなくなってしまいますよね。そこで児童館へ赴いて、保護者向けに食べさせ方をお伝えする予定です。頬張らない、立って食べない、慌てて食べさせない。慌てるには理由があります。かきこんでしまうようなタイトなスケジュールで食事を出さないようにしましょう。

子どもの摂食機能が発達しにくい原因はどのようにお考えでしょうか?

大久保勝久院長 おおくぼ歯科医院4

孤食と呼ばれる、子どもが日常的に一人で食事を取ることが挙げられるのではないかと思います。共働き社会なので仕方ないことなのですが、保護者が仕事で忙しくて、家族で食卓を囲むことなく、一人で食事をする。そうすると食べ方を注意する大人がいないのですね。お金だけ置いてあるご家庭もありますし、お菓子がごはん代わりになっている場合もあるそうです。お菓子は食形態としてもやわらかくてばらけやすいですから、しっかり噛む力が育つようなものではありませんよね。昔は町会があって近所の高齢者が見守ることもできたけれど、今は高齢者も働いていますから町会が運営できなくなっていっていると聞きます。

多職種と連携した、全世代への啓発や災害時の食支援を

あらゆる世代へ目を向けて活動されていらっしゃるのですね。

大久保勝久院長 おおくぼ歯科医院5

「すみだ食育goodネット」という、行政と協働し、医療や介護の専門職、企業や地域の飲食店など多職種で組織された団体でも組織で啓発を行っています。こうした啓発も、私たち専門職だけが教え伝える立場では限界があります。そこで介護予防も親子向けの食育も、受講された方がほかの方へ伝えていくと早く広がるのではと考えています。

歯磨きや口腔内の環境を整える上で大切なことを教えてください。

子どもが歯磨きを嫌いになる原因の一つに、上唇小帯という上唇の中央にあるひだを、保護者が硬い歯ブラシでこすってしまっている場合があります。こすられると非常に痛いところです。寝たきりの高齢者も同じです。また口腔衛生管理は歯ブラシだけでは不十分。歯ブラシはいわばハタキでしかありませんから、落とした汚れを口腔内から回収する必要があります。寝たきりでうがいができない方もいますから、訪問診療のときにはバキュームを持っていきます。

災害時の食支援について教えてください。

大久保勝久院長 おおくぼ歯科医院6

災害時食支援ネットワーク検討会に参加しています。災害が起きて避難所での生活となると、老若男女、さまざまな方がいます。非常食しかない中で、口腔機能の落ちているご高齢の方や障害のある方もいれば、食物アレルギーのあるお子さんもいます。アナフィラキシーなど緊急補助治療に使用される医療品を避難所に置ければよいのですが、自己管理をするものなので置いておくというのが難しいのですね。災害時の食物アレルギーへの対策は、喫緊の課題ですね。食べるというのは一生続くことです。健康寿命を長く、お口の中の環境からつくっていきましょう。

自由診療費用の目安

自由診療とは

インプラント治療/23万円~
セラミックのかぶせ物/5万円~14万円

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