金 憲周 院長の独自取材記事
にしあらい整形外科
(足立区/西新井駅)
最終更新日:2026/01/06
西新井駅から徒歩7分、マンションが立ち並ぶ通りをしばらく歩くと見えてくる「にしあらい整形外科」。2008年の開業以来、幅広い年齢層の患者に親しまれている。院長を務める金憲周(キム・ホンジュ)先生は、順天堂大学附属順天堂医院など、数々の総合病院での豊富な診療経験を持つ。「今の痛みを取るだけではなく、将来痛みが出ないような体づくりをめざしていきます」と語る金院長は、整形外科の専門医として予防医学的な視点を大切にし、薬だけでなくリハビリテーションや生活習慣の改善指導にも注力。患者の話を聴いて受け入れることから始める診療スタイルで、一人ひとりのバックグラウンドを丁寧にヒアリングしながら治療方針を決める。優しい笑顔の金院長に、地域医療への思いや診療で大切にしていることを聞いた。
(取材日2025年12月11日)
予防医学を重視し、将来を見据えた整形外科診療を実践
まず、こちらのクリニックの特徴を教えてください。

私が当院を開業しようと決意したのは、患者さんのQOLのために予防医学的な側面での整形外科診療が必要だと考えたからです。クリニックの外観は設計士の方がデザインしてくれたものなんですよ。院内は明るい雰囲気を大切にして、患者さんが入りやすいクリニックになるよう心がけています。診療では、今の痛みを取るだけではなく将来痛みが出ないような体づくりをめざしていくことが、クリニックの大きな特徴です。薬による治療だけでなく、リハビリテーションによって、これ以上体の痛みが出ないような体づくりにつなげ、日頃の生活習慣や体の姿勢、食生活についてのアドバイスも行っています。
これまで数々の病院で勤務されてきた経験は、現在の診療にどのように生かされていますか?
私が入局した順天堂大学附属順天堂医院では「患者さんに寄り添って医療を進めていく」という考え方を学びました。まず話を聞いて受け入れることから始める、それが今の私の診療スタイルの基盤になっています。肉体的に痛みを抱えている人だけでなく、心も痛めているのかなと感じる患者さんが多いので、お話を聞いて、それに応えることを大切にしています。また、3次救急の病院で勤務した経験を生かし、外傷やスポーツ障害の診療にも対応しています。私は医師としての仕事を「やりがい」というより「自分の使命」だと思ってやっているんです。当院には90代の患者さんも通院されていますが、お元気で背筋をピンとしている姿を見ると喜びを感じますね。
こちらには幅広い年齢層の患者さんが来院されているそうですね。

開業した時はご高齢の患者さんが多いだろうと予想していたのですが、ファミリー層が多い地域ということもあり、整形外科にしては比較的若年層の患者さんが多い印象ですね。時間帯によっても患者さんの年齢層が変わり、夕方になると子どもたちや中年の方の受診が増えてきます。また、当院では韓国語での診療にも対応しているため、言葉が通じないことで不安を感じている方々の受診も増えました。成長期の子どものスポーツ障害から高齢者の慢性疾患まで、各年代に応じた診療を行っています。必要があれば適切な医療機関に紹介するようにしていますし、患者さんの状態を見極めて、専門的な精査や加療が必要かどうかを判断することを大事にしています。
疾患の早期発見と一人ひとりに合わせた治療を重視
骨粗しょう症の診療に注力されているそうですが、どのような方が注意すべきでしょうか?

骨粗しょう症は初期の段階では自覚症状がないことが多いため、閉経後の女性は整形外科で検査をすることが大切です。閉経前であっても、ステロイドの薬を服用している人、腎臓病や糖尿病の人、婦人科疾患がある人は骨粗しょう症のリスクが高くなります。喫煙・飲酒の習慣がある人も注意が必要ですし、親族で大腿骨頸部骨折や圧迫骨折をした人がいるなど、心配な点があればご相談いただきたいですね。検査ではDXA法による骨密度検査で大腿骨と脊椎を測定し、数値的に判断していきます。必要に応じて採血をして、骨の新陳代謝のバランスを測定し、その方に必要な薬を選択します。薬による治療だけでなく、食生活や運動、日光に当たることもアドバイスしています。
整形外科には多様な痛みを抱えた患者さんが来られますが、診療で重視されていることは何ですか?
「体の痛み」で悩む患者さんが多い整形外科だからこそ、痛みの見極めを重視しています。神経性の痛み、外傷性の痛み、変形性関節症による炎症反応からくる痛みなど、さまざまな原因があります。診療では患者さんのバックグラウンドを把握することが大事で、家族構成や生活スタイル、既往歴、職業などを丁寧にヒアリングします。同じ言葉でも患者さんによって受け止め方が違いますから、その人の性格や社会的背景を把握した上でアプローチしています。薬を選択する時は肝機能や腎機能の影響、そして現在飲まれている薬との飲み合わせなども考慮しています。そして基本的には痛みに共感することが大事ですね。患者さんを励ましながらも、最終的には患者さん自身が頑張れるように導いていくことを心がけています。
リハビリテーションではどのような工夫をされていますか?

その人の体に合わせたリハビリテーションを行っています。スポーツをしている成長期の子どもであれば、スポーツ前の準備運動やスポーツ後のストレッチのアドバイスをします。歩き方にしても、その人の体型に合わせた形で、運動障害やスポーツ障害が起きないような指導を行っています。慢性疾患が始まっている高齢者には、変形性関節症や変形性脊椎症が悪化しないよう配慮したリハビリを実施します。理学療法士とは週1回カンファレンスを行い、リハビリの内容を都度確認するようにしています。カンファレンス以外にも直接患者さんの状態について、お互いに密に連絡を取り合いながら進めています。リハビリも予防をメインで考えているのが特徴です。
患者の心に寄り添い、QOLの向上をめざす
改めて患者さんとの向き合い方で大切にされていることを伺えますか?

患者さんの話を聴いて受け入れるという診療スタイルを大切にしています。体の痛みで悩んでいる患者さんに機械的な冷たい診療をしてしまっては、余計に不安になってしまいますからね。一方で、患者さんを長時間待たせないこともクリニックとして大切にしているので、丁寧なヒアリングとのバランスを心がけています。子どものケガで受診した親御さんは、お子さんのことが心配になっていますから、親御さんが安心できるような説明をするようにしています。患者さんのためにメリットがあると判断した場合は、あえて「うちではなく、総合病院に相談したほうがいいですよ」とアドバイスすることもありますよ。患者さんが何を望んでいるかをくみ取って対応していくことが、地域のクリニックにとって必要なことだと考えています。
地域にとってどのようなクリニックでありたいとお考えですか?
基本は、診療を受けた患者さんに「ああ、良かった」と思ってもらえることが一番大切です。高齢の方が元気で過ごせるように、働き盛りの患者さんは充実して仕事ができるように、成長期の子どもがケガの痛みで困ることがないような診療を心がけています。「その場限りでなく、患者さんの将来のために」という思いが強いですね。当院を開業して18年となり、自分にできることは何なのかということを深く考えるようになりました。自分で最善を尽くすのは言うまでもありませんが、大きな病院でフォローアップが必要な患者さんかどうか判断していく。地域医療の窓口としての役割を意識しながら、適切な医療機関への紹介も含めた総合的な対応を続けていきたいと思います。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。

ケガや体の痛みがある人はもちろん、予防の意識を持った方にぜひ受診していただきたいと考えています。久しぶりに来る患者さんにも初めて来る患者さんにも、今後も痛みが出ないようなアドバイスを心がけていますので、少しでも不安な点があれば整形外科に相談してください。骨粗しょう症なども早期発見が大切ですからね。当院では予防に関してすべての人にお話ししています。運動が苦手な方でしたら、天気が良い日に散歩をすることを勧めています。難しい運動をするよりも、まずはハードルの低いところから始めてみてください。診療とリハビリを通して、これからもクリニック全体で患者さんのQOLを大切にした医療を提供していきたいですね。また理学療法士さんで予防的観点にご興味のある方とも一緒に働けたらと思っています。

