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吉田 孝太郎 所長の独自取材記事

扇橋診療所

(江東区/清澄白河駅)

最終更新日:2024/03/28

吉田孝太郎所長 扇橋診療所 main

戦前から地域住民の健康を支え続ける「医療法人財団南葛勤医協 扇橋診療所」は、清澄白河駅から徒歩約10分の場所にある。2018年に所長に就任した吉田孝太郎先生は、消化器外科の医師として研鑽を積んできた。その経験を生かし、同診療所を含め南葛勤医協の診療所4ヵ所で診療にあたっている。高齢者が多い地域柄、訪問診療にも注力するほか、健診や予防接種などの予防医療にも積極的に対応するなど、日々患者の願いをかなえたいとの思いで奔走している。地域医療に真っ向から向き合い、常に全力で取り組む吉田所長に、その熱い思いを聞いた。

(取材日2023年10月18日)

戦前から続く診療所で取り組む地域医療

こちらの診療所の特徴を教えてください。

吉田孝太郎所長 扇橋診療所1

戦前から長く地域に根づいており、私で何代目かはわからないくらい歴史ある診療所です。代々通っているという方が多いですね。ちょっと買い物に出ても患者さんとすれ違うような街なので、具合が悪い時には「まずここに来ればいい」という、最初にかかる医療機関、地域に根づいた医療機関でありたいと思っています。患者さんは80歳以上の高齢者が多いのですが、とにかく元気な方が多いという印象です。訪問診療を勧めても「訪問診療なんかに頼らない、歩いて通院する」と言ってご自分で来院されるので、こちらが驚いてしまうこともあります。そういう方のお顔がしばらく見られないと、逆に心配になって連絡を取ったりもするほどです。

こちらではどのような診療が受けられますか?

内科、循環器内科、消化器内科、糖尿病内科、訪問診療に対応しており、基本的には内科をメインに、健診や発熱者専用の外来にも対応しています。私以外に常勤の医師がもう一人、あとは糖尿病と循環器を専門に診る外来があり、それぞれ優秀な先生がいらっしゃいますし、土曜日だけ担当している先生もいます。検査では、エックス線と骨密度、血液検査は一通りできますし、ホルター心電図などにも対応しています。また、街の診療所としては珍しいと思うのですが、胃カメラと各種エコーも可能で、胃カメラと腹部エコーは私自身が行っています。近隣の病院とも連携していて、手術が必要そうな患者さんはそちらに搬送させていただきます。

訪問診療にも注力されているそうですね。

吉田孝太郎所長 扇橋診療所2

私は以前がんの患者さんを多く診てきて、緩和ケアの経験は多く培ってきました。その経験を地域医療に生かしたいと思い、訪問診療にも積極的に対応し、ほぼ江東区全域をカバーしています。この地域には、80代後半のご夫婦や、一人暮らしをされている高齢者もたくさんいらっしゃいます。私自身の考えとしてはできれば家に行ってあげたいと思いますが、押し売りするものではないので、ご家族から相談を受けた場合対応させていただきます。基本的には1週間に一度ですが、具合が悪い時は毎日とか、全体的な生活環境を見に行くだけという対応も可能です。治療は薬が中心になりますが、飲み忘れが多いので、訪問看護師やケアマネジャー、デイサービスなどの福祉施設と力を合わせて対応するようにしています。新型コロナウイルス感染症が流行して以降、おいそれとは入院もできませんから、訪問診療は否が応でも増やしていかねばならないと思っています。

消化器外科の経験を生かし、患者に寄り添う治療を

先生のご経歴を教えてください。

吉田孝太郎所長 扇橋診療所3

直近の13年間は、大学の先輩の診療所で副院長を務めており、長年、消化器外科を専門にしていました。呼吸器や循環器の診療経験も長く、それが今の内科診療に役立っていると感じます。例えば、採血の結果がすぐに出なかったり、詳しい検査ができない場合でも、自分自身の経験をもとに判断につなげることができるんです。診察してその日に即手術が必要かどうかや、今までずっと不明だった腹痛の原因の究明、胃カメラでがんが見つかれば、早期に治療につなげられるかもしれません。おのずと、診療所で行える診療の幅も広がっていきます。そういう面で、外科を専門に研鑽を積んできて良かったなと感じます。また、前の勤務先の患者さんが、「先生の顔を見るだけでいいから」とずっと通ってきてくださるのもうれしいことです。

どのようなことを心がけて診療していますか。

患者さんの命を助けるのは当然として、毎日の生活や人生が少しでも明るくなるような診療ができたらと思っています。所長になってから新型コロナウイルス感染症の流行を経験しましたが、患者さんは病状の苦しみよりも不安のほうが強いと思うんです。いかに安心してもらえるかが大切だと思うので、まず「大丈夫だよ、心配しないで」と伝えるように心がけていますね。そうお伝えすることで安心して、薬をもらわずに帰る方もいらっしゃるかもしれません。あと、耳の遠い方が多いので、診察の時はものすごく大きな声でしゃべるようにしています。物忘れをする方も多いので、その日の診察のまとめを必ず最後にお伝えし、予約表のコメント欄に、その日の結果や話したことを打ち込むようにしています。実は、電子カルテは着任してから使い始めたのですが、かなり努力をしまして、何とかお待たせしない程度のスピードで打てるようになりました。

患者さんとの会話から得られた情報も診療のヒントにつなげているとか。

吉田孝太郎所長 扇橋診療所4

私は、病気だけを診ることはまずしません。病気や症状だけでなく、とにかく全身を診ることを心がけています。そのためには患者さんが話してくれるのを待つのではなく、話しやすい雰囲気をつくって、こちらからどんどん話を聞くようにしています。まず最初にペットの話だったり、患者さんの背景やライフスタイルから聞いて、その方の人となりを理解するようにしています。以前かかった病気の話をもとに現在の不調の原因を突き止めたり、「そういえば、昔からこんな症状があって」と聞いて、検査をしてみたら病気が見つかったりということもあり得ます。診療時間が長くなることもあると思いますが、少しでも時間を確保するために、午前の診療は10分、午後の診療は30分、それぞれ診療時間を長く変更しました。このスタイルの診療ができなくなった時は辞めようと思っているほど、この対話の時間を大切にしています。

「患者の夢をかなえる診療所」をめざす

先生ご自身の、今後の目標はありますか?

吉田孝太郎所長 扇橋診療所5

今さらですが、心配性なのでもう少し神経が図太くなりたいですね。外科は手術が成功すれば、その日枕を高くして眠れるんですよ。でも内科は、治療の結果がその場ですぐには出ないので、例えば、風邪一つにしても「こじらせたりしないかな」とか「あの選択は間違いじゃなかっただろうか」と、家に帰ってからも考えてしまいます。心が折れるくらい悩んだこともありました。そんなに悩んでいたのに、患者さんに「この前の症状あれからどうだった?」と聞くと、ご本人も忘れるくらいすぐに良くなっていたりすることもあると思いますがね。最近は、内科はあまり心配性だとやっていけないなぁ、と感じますが、それは悪いことではないと思いますし、診療はそのくらい慎重にやっています。

早く良くなってほしいという思いから、健診などは予約なしで受けつけているそうですね。

基本的に、区民健診や予防接種は予約不要です。エコーなどの検査も、条件さえ整えば予約なしで対応します。検査の結果、病気が見つかるケースも考えられますし、私自身もすぐに結果が出たり良くなってもらわないと嫌なので、「1週間後にまた来てください」とは言いたくないんです。患者さんにしても、予約をして実際に検査するのが2週間後か、と思うと気分が萎えますよね。反面、診察をお待たせしてしまうことはあると思いますが、それでも受けて良かったと思ってもらえるように、例えば、健診を受けっぱなしにならないように、3ヵ月後、半年後に再検査してもらえるようなリマインダーを入れたりしています。

今後の展望をお聞かせください。

吉田孝太郎所長 扇橋診療所6

これは昔から思っていることなのですが、診察が終わって患者さんが診療所を出る時に、「来て良かった」と思ってもらえる、いろいろな意味で「患者さんの願いをかなえる診療所」というのが、永遠のテーマかもしれません。「インフォームドコンセント」という言葉がありますが、これを厚生労働省が「納得診療」という日本語に訳したんです。私はその「納得診療」という言葉が好きなんですよ。来てくださった患者さんが納得して帰る、ということが大切だと思っています。ですから、これからも自分の信念に従って、外来も訪問診療もどちらも出し切れるものはすべて出し切って、全力で地域医療に取り組んでいきたいと思っています。

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