千葉 浩志 院長の独自取材記事
チバ歯科
(江戸川区/小岩駅)
最終更新日:2025/07/01

「顔を見ると安心できる」、そんな主治医に出会いたいという患者の願いに応えようと奮闘する歯科医師が、小岩にいる。歯科医師歴45年、大学病院でも研鑽を積み、現在「チバ歯科」で院長を務める千葉浩志先生だ。JR中央・総武線小岩駅から徒歩10分の静かな住宅街にたたずむ同院は、地域に根差し、多くの人々の悩みに寄り添ってきた。温かくフランクな人柄の千葉院長を頼り、地域住民はもちろん、遠方から足を運ぶ患者も多いという。親しみやすく、人生経験も豊富で、話すだけで元気をもらえるような存在だ。そんな千葉院長に、時間の許す限り語ってもらった。
(取材日2025年6月3日)
大学で15年間研鑽を積み、父の歯科医院を継承
まず、先生のご経歴を教えていただけますか?

歯科医師になって45年。父が歯科医師だったことが、この道に進んだ大きなきっかけです。高校生の頃には自然と「自分も歯科医師になろう」と考えていましたね。日本大学歯学部で学び、大学卒業後は補綴の医局に残り、15年間、研究発表、論文執筆、臨床、学生指導に携わりました。講義や実習を通じて後進の育成にもあたったんですよ。これまで何人くらい育ててきたかなぁ……。この地域で開業している同じ大学出身の歯科医師は、教え子ばかりです(笑)。父から医院を引き継いだのは1991年。以前から週に何度か手伝っていたこともあり、顔見知りの患者さんも多かったので、自然な流れで診療に入ることができました。
長いお付き合いの患者さんも多くいらっしゃるんですね。
親子3代で通ってくださる方、大学時代から診させていただいている方、中には山梨から通っていた方もいましたよ。皆「移転してもここが良い」と。通いやすい歯科医院を見つけることが大切だと私は思うので、遠方から来るのは大変じゃないかと心配するのですが、新しい所へ行くより良いみたいなんですよ。確かに、患者さん本人がこれまで受けてきた治療を新しい先生に一から説明するのは難しいですよね。だったら、距離は遠くなっても、すべてを把握している私の所に来たほうが良いと。だからもう、長い付き合いの患者さんがいらした時は「今日はどうしましたか?」と聞くだけで、あとは勝手にしゃべってもらってますよ(笑)。
患者さんから積極的に話せるのも、先生の親しみやすさや、先生との良い関係があってこそだと思います。

1度移転はしましたが、父の代からずっと小岩で続けているので、地域には顔見知りが多いですね。愛犬の散歩をしていると、よく声をかけられますよ。ちなみに愛犬はトイプードル。初代は先日16歳で亡くなってしまったのですが、その子が元気な時に保護犬を2代目として迎えたんですよ。朝昼晩と散歩すると3~4キロ歩くことになるから、それが健康法になっているのかな。あと、料理も好きで、自分で魚をおろすし、すしも握りますよ。しばらく料理教室にも通っていたし、家に人が来たら料理をふるまうこともあります。国際線のパイロットの人が講師で、世界中の料理を一緒に作るんです。実は、移転の時に歯科医院ではなく料理屋にしようっていう話もありました(笑)。
「患者さんの安心のために」がバイタリティーの源
すてきなお話、ありがとうございます。大学ではどのようなことを学ばれましたか?

メインは補綴歯科です。夜の10時くらいまで研究室に残って勉強したり、技工士さんみたいに義歯を並べる練習をしたりしていて、守衛さんにガスも電気も止められ、仕方なく帰るような時期もありました(笑)。総義歯を作るというのはとても繊細な作業で、教授からなかなかOKをもらえなかったんですよ。私が学生の頃は「入れ歯だとわからないようにしたい」と希望する患者さんが多かったので、歯をわざと少しずらして、作り物に見えない自然な歯並びをめざすこともありました。都度、患者さんとの話し合いですね。審美歯科のニーズが高まっている今、価値観の変化を感じています。大学の医局にいた頃は新しい情報がどんどん入ってきたし、学生指導や講義の際に知識をアップデートできる環境がありましたが、大学を離れてしばらくたつ今は、自ら勉強会に足を運んで、進化を続ける歯科医療について学ばなければいけません。
先生は今も、ご自身で患者さんの義歯を作っていらっしゃるんですね。
そうです。咬合器に患者さんの口の模型をセットして、義歯を並べていきます。上下の義歯を並べるのに要するのは2時間ほど。診察の合間に作業して、仕上げは技工所に出すという流れです。総義歯は、何もない空間に一から歯を並べていくわけですから、センスが問われるんですよ。患者さんの口の形や噛み合わせを型採る工程に少しでも誤差が生じると、できあがった時にうまく噛めなかったり、痛みが起きたりします。入れ歯をセットした後の調整はつき物ですが、調整せずに患者さんが不自由なく過ごせていたら、大きな喜びを感じますね。
地域医療にも尽力してきたと伺いました。

学校歯科医師として診療するほか、保健所の定期健診や、訪問診療も行っていました。体調面などが原因で来院が困難になった患者さんの所に、昼休みを使って自転車で向かって。訪問診療を専門に行う歯科医院もありますが、知らない先生に頼む不安は大きいはず。ずっと診ていた私が行けば、患者さんも安心してできるだろうという思いで、2年前まで行っていました。学校歯科医師として講演することもありました。そこで伝えていたのは、歯磨きの後、お子さんの口の中に異常がないかチェックしてほしいということです。学校の健診前でも、何か異変に気づいたらすぐに歯科医院に連れて行ってもらいたいと呼びかけていました。
生涯歯科医師として、やれるところまでやりたい
どの世代でも、大切なのは早めの治療ですね。

はい、何よりも大事なのは予防です。患者さんには、特に症状がないからといって安心せず、3ヵ月もしくは半年に1回は検診に来ていただくよう、必ずお伝えしています。私は、その場限りの治療にはあまり意味がないと思っているんです。補綴歯科の観点では、物を噛めない状況をいかに改善できるかがポイントになってきますが、基本は予防歯科。虫歯や歯周病が進んでしまってからの治療は患者さんの負担も大きいし、歯科医師としても大変なので(笑)、病気にならないことが一番ですよ。
長いキャリアをお持ちですが、やりがいを感じるのはどんな瞬間ですか?
患者さんに「来て良かった」と言ってもらえることですね。わざわざ遠方から来られる患者さんもいますし、その患者さんが当院のことを周りの人に紹介してくれたりもするんです。「千葉先生の話を聞いて来ました」って。そういう言葉を聞くとありがたいですし、もう70歳ですが(笑)、これからもやれるところまでやれると良いなと思いますね。他にできることもないし、きっと生涯歯科医師でしょう。
先生を頼りにしている方が多くいらっしゃると思います。最後に、読者へのメッセージをお願いできますか?

これまで総義歯や部分入れ歯の症例を数多く経験してきましたので、義歯においてはお役に立てると思います。入れ歯治療は、その方の口腔内の状態に大きく左右される繊細な分野です。歯を抜いた後の顎堤の形や骨のボリュームによって、入れ歯の安定性が変わります。土台がしっかりしていれば噛みやすく快適ですが、歯周病などで骨が痩せていると、どうしても入れ歯が動いてしまうんですね。だからこそ、普段からのケアや定期的な検診がとても大切です。将来、入れ歯などといった治療の選択肢を検討する上でも、早期の予防と診断が重要になります。当院ではインプラント治療を行っていませんが、状態によっては、小さなインプラントで入れ歯を支えるインプラントオーバーデンチャーという方法もあるでしょう。ですが何より大切なのは、口の中の健康を守ること。健康な歯を長生きさせるために、一緒に予防していきましょう。
自由診療費用の目安
自由診療とは部分矯正/10万円~、インプラントオーバーデンチャー/30万円~