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宮野 孝一 院長の独自取材記事

みやのこどもクリニック

(江戸川区/葛西駅)

最終更新日:2023/12/07

宮野孝一院長 みやのこどもクリニック main

葛西駅から徒歩15分ほどの住宅街にある「みやのこどもクリニック」は、小児科・アレルギー科のクリニック。高い専門性を備えた大学病院の医師が顔をそろえ、すべての時間帯で宮野孝一院長と非常勤医師の2人体制で診療を行う。小児科では一般診療のほか低身長の治療にも注力。乳幼児健診や各種ワクチン接種にも対応。アレルギー科では、花粉症をはじめアレルギー性の皮膚炎や喘息など幅広く診療を行い、なかでも花粉症の舌下免疫療法に力を入れている。丁寧な説明とユーモラスで穏やかな人柄で、子どもや保護者、アレルギー疾患で通院するさまざまな年代の患者に寄り添う宮野院長に、同院の診療、患者への思いなどじっくり語ってもらった。

(取材日2023年3月23日)

地域のかかりつけ医として子どもたちの成長を見守る

先生はなぜ小児科の医師をめざされたのですか。

宮野孝一院長 みやのこどもクリニック1

私は青森出身で、父は産婦人科の医師でした。当初は医師になる気はまったくなくて、高校卒業後は弘前大学理学部に進みました。しかし、私が入学した生物学科では教師や研究職をめざす人が多く、授業を受けているうちに、私が進むべき道は別にあるのではないかと疑問を抱くようになったんです。早々に退学し、翌年医学部に入り直しました。医学部での生活はとても充実していましたね。病棟実習で小児科を回った際に子どもの診療ができるようになりたいと思い、小児科を専門に選びました。純粋で裏表がない子どもたちと接することができる、そして成長を後押しできるやりがいのある診療科だと考えたんです。

開業までの経緯を教えてください。

大学病院で主に小児血液、悪性腫瘍の研究や診療に従事した後、近県の複数の病院に勤務し、上京前は青森市民病院で小児科部長を務めていました。40歳のとき、江戸川区内で産婦人科医院を開業していた縁者から「手伝ってほしい」と声をかけられたのを機に上京。ずっと東北にいたので不安もありましたが、来てみると葛西地区は地方出身者が多く、私にもなじみやすい街でしたね。また、江戸川区は子育て世代が住みやすい環境が整い、子どもが多いエリアなんです。3年ほど産婦人科医院の副院長を務めた後、同院を開業。お子さんや親御さんの話をよく聞き、丁寧に説明することをモットーに診療を続けるうちに、徐々に地域の皆さんに受け入れていただけるようになったように思います。

小児科ではどのような症状が多いですか。

宮野孝一院長 みやのこどもクリニック2

咳、鼻水など風邪の症状が多いですね。感染症が流行していると「すぐに検査してほしい」とおっしゃる親御さんもいますが、やみくもに怖がる必要はなく、症状がなければ検査は不要です。小児科の医師はお子さんの状態を診ながら検査するべきか否かを判断しますので、まずはご相談ください。不要な検査をするよりもお子さんの状態をしっかり観察することのほうが大切です。受診時には元気があるかないか、機嫌がいいか悪いか、食事を摂れているかどうかといったことを医師に伝えてください。発熱で受診した場合、2日ほどたっても熱が下がらなければ再度受診したほうがいいでしょう。また、発熱がなくても機嫌が悪い、食欲がない、ぐったりしているなど、症状が悪化していると感じたら早めの受診をお勧めします。

発熱者専用の外来の診療もされてきたそうですね。

発熱患者さんが多かった時期には、駐車場にテントを設置して診療し、熱はないが喉が痛いといった方は院内で隔離して診察していました。ピーク時にはほぼ終日発熱者専用の外来にかかり切りという状況でしたね。だんだんと発熱患者さんが減ってきたため、今年の1月からは時間を区切って院内で対応しています。感染症対策に努めていますので安心してご来院ください。

クリニックで低身長の治療にも力を注ぐ

低身長の治療はどのようなきっかけで始められたのですか。

宮野孝一院長 みやのこどもクリニック3

大学病院で小児の血液関連の病気の治療・研究に携わっていたとき、内分泌疾患の1つとして低身長の診療を手がけることになり、勉強を始めたのがきっかけです。低身長の原因は成長ホルモンの欠如、臓器の異常などさまざまですが、成長ホルモンの欠如による低身長は、成長ホルモン注射薬の登場により治療が大きく進展しました。この治療は事前に成長ホルモン分泌負荷試験を行い、成長ホルモンの分泌量を測定する必要があります。検査も治療も一般的には大規模病院で行われていますが、いずれも当院で受けられるよう体制を整えました。検査の結果、成長ホルモンの分泌量が基準値を下回っていれば、注射薬による治療を開始します。毎日ご自宅で注射していただくのですが、ほとんど痛みはなく、負担の少ない治療法だといえるでしょう。当院での治療が難しい場合には、大規模病院にご紹介します。

低身長の治療に適したタイミングを教えてください。

幼稚園の年長から小学校低学年ぐらいから開始できるといいですね。また、一般に治療できるのは中学生ぐらいまでとされているため、スタートが遅れると治療期間が短くなり、効果が限定されてしまいます。そのうち伸びるだろうと考えて様子を見ているうちにタイミングを逸してしまうことも。幼い頃から成長に目を配り、母子手帳にある成長曲線の下のラインから上がっていかない、あるいは背の順が常に先頭という状況なら、かかりつけの小児科に相談してみてください。治療が必要と判断されれば、病院を紹介してもらえるでしょう。

低身長の治療で工夫されていることはありますか。

宮野孝一院長 みやのこどもクリニック4

成長ホルモン注射は毎日打つ必要があり、小さいお子さんの場合には親御さんにお願いしますが、小学生になれば自分で打てるようになります。親の手を離れると、毎日継続するモチベーションの維持が難しくなることもあるんです。当院では、低身長の治療中のお子さんに専用の日記帳を渡して、注射の実施状況を記録してもらいます。定期受診の際には、日記帳の記録と当日の身長・体重の測定結果をもとに話をします。身長が伸びていれば褒め、残念ながら伸びていなければ前向きなアドバイスで背中を押すよう心がけています。継続により効果が期待できるため、背が伸びた将来の自分を具体的にイメージしてもらえるよう、コミュニケーションを取りながら治療にあたります。

丁寧な説明に努め、一人ひとりに合った治療の提供を

診療で大切にしていることなどをお聞かせください。

宮野孝一院長 みやのこどもクリニック5

患者さんやご家族に病状や治療法について丁寧に説明し、ご納得いただいた上で治療を進めることを大切にしています。低身長の治療もアレルギーや喘息の治療も継続が重要で、医師が一方的に治療を押しつけても長続きしません。薬を必要とする理由や治療の意味を納得していただくことを何よりも大切にしています。また、当院では非常勤医師として大学病院から腎臓、循環器、神経など、高い専門性を備えた先生方に来ていただいています。夜尿症や希少なアレルギーを専門とする先生もいて、幅広いお悩みに応えられる体制を整えています。先生方が勤務する大学病院とも連携しながら、より良い治療の提供をめざしています。

花粉症の舌下免疫療法も対応されているとか。

当院には年齢を問わず多くのアレルギーの患者さんが来院され、2歳ぐらいのお子さんもいます。アレルギー症状は目や鼻、喉、皮膚など体のさまざまな部位に表れるため、総合的に診療できるアレルギー科の受診をお勧めします。私は日本アレルギー学会アレルギー専門医として多くの診療経験があり、当院では舌下免疫療法も取り入れています。舌下免疫療法とは舌の下に薬を入れる治療法で、毎日欠かさず服用する必要があります。副反応が出やすい方には薬の濃度を調整するなど、患者さんに合った治療に努めています。一般にこの治療は5歳からとされていますが、当院では、お子さんの状況をみて可能と判断すれば4歳から処方できます。

今後の展望、読者へのメッセージをお願いします。

宮野孝一院長 みやのこどもクリニック6

これからは予防医学がますます重要になってきます。お子さんを対象とした各種ワクチン接種は無料化が進んでいますが、まだ十分とはいえません。東京小児科医会をはじめ、全国の医師仲間が定期接種の拡充と無料化を国に要望しており、こうした活動にも力を入れていきたいですね。また、親御さんに伝えたいのは、かかりつけの小児科を持ってほしいということ。継続的に受診して体調の変化を把握してもらっていれば、いざというとき心強いものです。当院でも、継続して通院されているお子さんの状況はよく理解していますし、スタッフもお子さんや親御さんとは顔見知りで臨機応変に対応してくれています。そういうかかりつけ医があれば、ちょっとした悩みも気軽に相談できて安心ですよ。

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