杉山 陽一 院長の独自取材記事
佐藤整形外科
(江戸川区/葛西駅)
最終更新日:2025/07/11

東京メトロ東西線・葛西駅から環状7号を2分ほど歩いた場所にある「佐藤整形外科」は、1993年の開業以来、足腰の痛みからスポーツ関連の体の不調まで、幅広く整形外科診療を提供してきた。2024年に、初代院長の佐藤公一先生が理事長となり、杉山陽一先生が新院長に就任し、新たな一歩を踏み出した。杉山院長は、順天堂大学の付属病院や関連病院で、高齢者医療や離島医療なども含め、経験を重ねてきた。これまでの経験を生かし、理事長やリハビリテーションスタッフ、専門性の高い非常勤の医師や、大学病院など他の医療機関とも密に連携しながら、患者のさまざまな悩みに寄り添い、質の高い医療を提供したいという杉山院長。「理事長やスタッフに助けられています」と、謙虚な姿勢ながら、院長就任から1年、確かな手応えを感じているようだ。
(取材日2025年5月29日)
佐藤理事長より継承され、新たなスタート
整形外科医としての歩みやご専門について、お聞かせください。

研修医時代に、静岡県の病院で整形外科の医師が、さまざまな外傷の患者さんの治療をして活躍している姿に憧れて、整形外科の道に進みました。専門分野に選んだのは、手外科です。手の骨折や外傷からリウマチまで、扱う症例のバリエーションが豊富な点に魅力を感じたのです。順天堂大学の付属病院や関連病院で研鑽を重ねましたが、さまざまな医療現場で専門分野の手のけがや疾患に加え、幅広く整形外科の診療に携わりました。1年間、伊豆大島の大島医療センターに赴任した際は、整形外科の医師は自分しかおらず、限られた環境で診療を完結させるという、離島ならではの苦労もありましたが、良い経験になりましたね。
どのような経緯でクリニック継承に至ったのでしょうか。
順天堂大学医学部附属順天堂東京江東高齢者医療センターに勤務していた時に、患者さんのリハビリテーションを佐藤整形外科にお願いしていた関係で、佐藤先生とも面識がありました。医師として十数年を経験し、そろそろ医局の外でのキャリアをスタートしたいと考え、模索していた時に、佐藤先生から声をかけていただいたのです。佐藤先生は筋肉、骨、関節、軟骨、椎間板などに障害が起きる「ロコモティブシンドローム」の予防に力を入れており、足腰の痛みを訴える中高年の患者さんを多く抱えておられたので、自分の高齢者医療センターでの経験も生かせると考えました。
継承にあたって変化した点はありますか。

検査や治療の精度を高めるために、エコー検査装置を先進の機器を入れ替えました。筋肉や靱帯、腱、神経、血管などの軟部組織の損傷や炎症をリアルタイムで動かしながら観察できるため、患部への関節注射や神経ブロック注射も、より精密に行えるようになりました。検査や治療に積極的に活用しています。さらに、リハビリテーション室にもエコーを設置し、筋肉や腱の動きをリアルタイムで確認したり、靱帯や腱などの軟部組織の損傷部位や程度を把握したりするなど、リハビリテーションのスタッフもエコーを活用しながらリハビリテーションを実施しています。
患者の痛みに寄り添い、リハビリテーションに注力
診療体制を教えてください。

診察は僕がメインで行いますが、佐藤先生も週に2日、診察しています。佐藤先生は「自分のやり方でやって構わない」とおっしゃいますが、以前から通う患者さんが戸惑ってもいけませんし、佐藤先生に学びつつ、様子を見ながら自分なりの方法も取り入れていこうと思います。その他に、非常勤として、順天堂大学医学部附属病院の整形外科の医師が交代で診察に来ています。膝関節やスポーツ整形外科、股関節など、それぞれ専門分野を持つ頼れる存在です。僕自身、現在も週に1回、順天堂大学医学部附属病院で診察や手術を行っており、よく知る間柄なので相談しやすいです。手術が必要になって紹介する際や、逆に術後のリハビリテーションや経過観察を当院で行う場合もスムーズに連携できるのは、当院の強みではないでしょうか。
診療で大切にしている点を教えてください。
問診では痛みなどの症状について伺うだけでなく、どのようなお仕事をされているのか、日常生活の中でどのような姿勢を取ることが多いのかなど、患者さんの生活についてしっかりヒアリングします。その内容が痛みの原因につながっていたり、治療方針に関わっていたりすることもあれば、「そのような姿勢が多いなら、こうした工夫をするといいですよ」とアドバイスしたりすることもできますからね。そして検査結果も踏まえ、痛みのない生活をめざして患者さんと相談しながら、治療方針を立てていきます。この治療において最も大切なのはリハビリテーションだと考えています。薬だけで魔法のように完治するというわけではありませんので、運動やリハビリテーションが大切であることを患者さんにもご説明し、投薬や注射で痛みをコントロールしながらリハビリテーションを進めていきます。
広いリハビリテーション室も設置し、充実したプログラムが受けられそうですね。

患者さんの症状や生活に合わせたリハビリテーションプログラムを作成し、日常生活動作の改善を図ったり、仕事復帰をサポートしたりします。関節や筋肉、軟部組織のマッサージやストレッチなどを行い、痛みが少なくなるよう可動域の改善をめざす他、運動療法では、筋力トレーニングやストレッチ、有酸素運動などを行い、ご自宅でできる体操も指導します。その他、電気療法などの物理療法、足や膝の痛みや変形などに対して、患部への負担軽減のために靴の中に入れるインソールを作製するなど、さまざまなメニューをご用意しています。患者さんが「リハビリテーションがつらい」「やめたい」となった場合には、中断したら痛みやつらい状態が続いてしまう恐れがあるため続けることが大切ということをお伝えし、気持ちに寄り添い、継続をサポートしていきたいです。
幅広い悩みに応え、より専門性の高い医療とも連携
お忙しいと思いますが、オフタイムはどのように過ごしていますか。リフレッシュ法などお聞かせください。

休みの日は、子どもと一緒に遊びます。子どもは体を動かすのが好きなので、主に公園などで外遊びです。今は冬にスキーに行くくらいですが、僕も昔からスポーツが好きなので僕に似たのかもしれませんね。子どもの成長が何より楽しみなので、子どもとの時間が一番のリフレッシュタイムです。あと大学病院の同期など、医師の仲間ともよく集まります。そんなときは情報交換をしつつ、いろいろ刺激を受けることも多く、仕事にもプラスになりますね。
今後の展望をお聞かせください。
院長就任以来、理事長の佐藤先生や、以前からクリニックに在籍しているスタッフの皆さんに支えられつつ、奮闘しています。当院に来てすごいなと思ったのは、定期的に開催する医師とリハビリテーションスタッフの勉強会で「自分はこのようなことに興味があります」「この疾患についてどうすればいいか」などなど、とても積極的に意見が交わされること。僕のほうから提案することもある一方、教えられることもあります。これから、より一層、スタッフと連携を深めていきたいですね。そして、自分自身の目標は、何でも相談できるような、患者さんがどのようなことに困っているかを理解し、幅広い提案ができて、手助けができるような医師になることです。毎週、大学病院で診療を行うことも、クリニックとは違う症例に携わるなど、医師としての幅を広げ、ブラッシュアップすることにつながると思います。
最後に、読者の皆さんへのメッセージをお願いします。

当院では、常勤の医師に加え、膝関節や股関節などを専門とする医師も定期的に診察したり、熟練したスタッフが豊富なリハビリテーションメニューを提供したりするなど、幅広く、かつ専門的な整形外科の診療に対応しています。また、30年間、地域に根差したクリニックとして、周辺の医療機関ともスムーズな連携が可能なネットワークもあります。僕は医師になって以来、患者さんの症状が改善し、喜ぶ姿を見ることができたら、それが何よりのやりがいだと感じてきました。当院でも患者さんのお悩みに寄り添い、少しでも痛みを軽減したり症状が改善できたりするような提案をし、お手伝いをしたいという思いで、日々、診療にあたっています。どのようなお悩みでも、気軽に相談にいらしていただけたらと思います。