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村上 健 院長の独自取材記事

村上医院

(江戸川区/篠崎駅)

最終更新日:2024/04/02

村上健院長 村上医院 main

都営新宿線・篠崎駅から徒歩約15分、大杉橋通り沿いに立つ「村上医院」。精神科病床がゼロという江戸川区にあって、精神疾患の入り口にいる患者から、やや症状の重い患者まで幅広い層を受け入れて診療している。院長の村上健先生は江戸川区内で精神疾患に悩む多くの患者の診療に従事しながら、製薬会社や保育園などさまざまな場で講演を行うなど多忙な日々を送る。だが、そんなせわしなさを感じさせず、理知的かつ気さくに語りかけてくれる村上院長の振る舞いには思わずほっとさせられる。「患者さんのいいところに目を向けることはとても大切なんです」と語る村上院長に、同院の診療方針や精神科医療に関して広く知ってほしいことについて話を聞いた。

(取材日2024年3月4日)

自分を責めるのではなく、まずは相談を

こちらの医院の患者層について教えてください。

村上健院長 村上医院1

当院がある江戸川区にお住まいの方が中心ですね。患者さんの平均年齢はおおよそ50歳くらいですが、患者層としては小学生から100歳以上の方まで来院されています。うつ病と不安性障害の方が全体の約7割、統合失調症の方が約2割、他に認知症や不登校のお子さんなどが来られています。江戸川区は人口約70万人、高知県全域と同程度の数の人が住んでいますが、区内に精神科病床はゼロなんです。ですから、入院治療が必要になると区外の病院にお願いしなくてはなりません。そうした医療体制の不足という背景もあり、当院ではやや症状が重い方々も含めて、幅広い患者さんを診療しています。

精神科を受診することに関して、広く知ってもらいたいことはありますか?

ほとんどの精神疾患は原因が不明なんです。そのため、世の中ではしばしば、甘えているのだとか鍛え方が足りないといった間違った理由づけがされてしまいます。実際には原因はわからないので、簡単にそういった枠組みに当てはめて自分を責めないでほしいと思います。悩まれたらまずは精神科に相談してほしいですね。受診するきっかけとして、多くの精神疾患では睡眠に影響が出るんです。眠れないくらい悩みが続くようだったら一度相談してみていいと思いますし、あるいは死にたくなるくらい落ち込みが激しくなったらやはり精神科にかかったほうがいいと思います。最近はインターネットで抑うつや不安傾向をチェックすることも容易ですから、迷ったらそうしたものを活用して、受診の目安にするのも良いですね。

精神疾患の治癒をめざすプロセスにはどのような特徴がありますか?

村上健院長 村上医院2

うつ病の治療期間の目安は平均3~6ヵ月ほど、また治療が終わった後も再発予防の目的で半年から1年ほど薬を服用するので、年単位での計画になります。統合失調症の患者さんですともっと長くなりますし、症状がなかなか取り除けない場合には、一生に近い年月をかけて付き合うということもあります。また、不安性障害でいえば、通常の生活をしていても“不安”というのはついて回るものですから、治ったかどうかの線引きは難しいです。そのため、長く通われる方や早めに治療を切り上げる方など、個々人によってさまざまです。

精神疾患では再発も多いと聞きます。

例えば、うつ病は社会復帰してからの再発率がおよそ50パーセントといわれています。先ほどお話ししたように、ほとんどの精神疾患の原因そのものは不明ですが、再発や悪化の引き金になるのはストレスであることが多いです。ですから、再度自分が苦手とするストレスがかかる状況になったときに、どう対処するかを社会復帰の前にも話し合い、具体的な状況をシミュレーションしてみて、考え方や振る舞い方など対策を立てていくこともありますね。

患者自身のいいところをフィードバックする

治療法について教えてください。

村上健院長 村上医院3

最も代表的なのが薬物療法です。世の中一般にはカウンセリングのほうが精神疾患の治療に適しているというイメージがあると思います。しかし、かかる時間や費用を考えたときに精神安定剤や睡眠薬、抗うつ薬といった薬物療法のほうが負担が軽いため、多くの患者さんがお薬による治療を行っています。うつ状態の治療は、まず1種類の抗うつ薬で症状の軽減を図り、最初に処方した薬で変化が見られない場合はお薬を変えて様子を見て、それでも改善が見込めない場合は、また別の薬に変えてみるということを行います。中には3種類の薬を試しても改善に向かわない人はいますから、そこでカウンセリングを用いるのか、さらに別の薬を使うのかを考えていきます。

薬物療法とカウンセリングどちらも重要になるのですね。

そうですね。ただ、一般的なカウンセリングは一枠50分程度ですが、多くの場合それが可能になるのは自由診療です。それでは本当に必要な人たちにカウンセリングのサービスが届かない場合も出てきてしまいます。ですから、必要な患者さんには短時間でも話をして、当院の体制で可能な限り細く長く患者さんに関わり、再発しそうな予兆などを早めにキャッチするよう心がけています。

診療にあたって、先生はどのようなアプローチを大切にされていますか?

村上健院長 村上医院4

その人のいいところを言葉で伝えるようにしていますね。自分自身の良さをわかっていない患者さんは多く、いいところをフィードバックしてあげることはとても大切です。普段、職場で駄目出しをされることはたくさんあっても、わざわざ褒められることって年に数えるほどですよね。それでも自分をキープするエネルギーを持って生活し続けているのって、実はすごいことなんですよ。褒められることなくダメ出しばかりされていると、気分が落ち込んでしまうのは当たり前ですよね。その状況を、ある種客観的に見すぎてしまうと精神疾患のきっかけにもなってしまいます。だからこそ、その人のいいところに目を向け、患者さん自身の良さに気づいてもらうことが大切なんです。

患者のサポーターとして伴走したい

講演活動も多くされていますが、どのようなことを発信しているのでしょうか?

村上健院長 村上医院5

講演の対象によって異なりますが、精神疾患や薬の作用についての間違った認識を和らげたり、正しい知識を知ってもらえることを意識しています。例えば製薬会社主導の講演であれば、論文や治験の結果として書かれている内容と、私たちが実際に臨床で患者さんを診ている際の感覚とでは違いがありますから、どのようにギャップがあるのかなどをお話しします。あるいは、保育園の先生や里親になられる方々向けに、子どもたちの症状の背景に何があるのかをお話しすることもあります。企業から新任の管理職研修として部下のメンタルヘルスに関するテーマで依頼されることもありますし、リクエストはさまざまですね。

今後の展望をお聞かせください。

患者さんのサポーターとしてこれからも伴走していければと思っています。私は還暦を超えますが、精神疾患の方々のサポートは継続して行うことが必要とされますから、少しでも長生きしてできるところまで続けていきたいですね。また、精神科医療全般の話としては、大学の精神科では薬の研究や生物学的なアプローチの割合が高く、心理的なアプローチをする先生はとても少ないんです。そのため、カウンセリングなど心理療法のトレーニングを積んだ医師が不足しがちな傾向にあります。お薬を用いることは有用な治療法ですが、心理療法もまた非常に重要です。特に小学生くらいの患者さんと接しているとそれを強く感じます。短い診療時間であっても、心理療法を通じていかに患者さんに良いフィードバックできるかということは大事にしていきたいですね。

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

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世の中の動きとして自分で保険証を持って受診しに来る10代の子たちも増えており、精神疾患への偏見は少しずつ小さくなってきているのだと思います。その意味で精神科にかかることへの心理的なハードルは、中高年の方のほうが大きいかもしれません。眠れないほど苦しんでいるようなときには、一人で悩まずに近くの精神科を受診してほしいと思います。また、体の不調で悩んでいて内科などを受診しても良くならない方の中には、精神疾患が隠れているケースもあるんです。ですから、精神的な症状だけでない場合でも、併せて相談してみてはいかがでしょうか。

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