塚本 裕介 院長の独自取材記事
塚本歯科医院
(葛飾区/京成立石駅)
最終更新日:2026/03/27
京成立石駅から徒歩3分の場所にある「塚本歯科医院」。どこか懐かしい雰囲気の漂う同院は大正末期に開業し、90年以上の歴史の中で一貫して、専門分野に特化することなく保険診療を中心に診療を行ってきた。「患者さんと目線を合わせしっかりと話を伺い、ベストな治療に努めるのが当院の伝統です」と話してくれたのは、4代目院長の塚本裕介先生だ。穏やかな雰囲気と温かな笑顔の先生を慕って、親子3代で通っている家族もいるのだという。睡眠時無呼吸症候群に対する歯科医院での治療にも積極的で、医科歯科連携を図りながら、地域住民の体全体の健康をサポートする。取材では診療内容や先生が大事にされている診療方針などについて話を聞いた。
(取材日2022年12月14日)
オーラルメディシンに基づいた歯科診療
先生が得意とする分野についてお伺いします。

大学卒業後、4年ほど東京歯科大学市川総合病院に勤務し、オーラルメディシン(口腔内科学)という分野について学んできました。口腔疾患だけに目を向けるのではなく、全身や医学的背景を考慮した診断を目的とする歯科治療です。今の時代、高齢者であれば複数の持病を抱えていることも珍しくないので、開業医である以上はある程度全身のことを考えて治療したいと思っています。この知識は、専門の医療機関に紹介すべきかを判断する際にも非常に重要で、例えば悪性腫瘍を疑う病態を目の当たりにした時、高次の医療機関に送るべきかどうか見極めるのにも役立ちます。
どういった患者さんが多く来院されますか?
このエリアは町全体が高齢化しているので、レセプトの比率でいっても後期高齢者が4~5割と年齢としては高めの方が多いかもしれません。父が院長だった時代から長く通っていただいている患者さんもいらっしゃいます。おかげさまで、親子2代、3代で来てくださっている方や遠くへ転勤されても通ってくださる方も多く、それも町の歯科医院の良さだと思っています。
定期的に来られる方も多いのですね。

そうですね。毎日の歯磨きや定期検診の大切さを私自身患者さんに日頃から伝えているので、来院を促すリコールはがきに頼らなくても、半年に1度は来られる方も増えてきています。日本でも昔より予防歯科の概念が浸透してきているのかもしれません。患者さんに対してはどの年齢層にも定期的なクリーニングをお勧めしています。若い方でも着色汚れがついてしまっている方が多いので、歯面の着色を取り除くためにポリッシング(歯面研磨)をします。30代半ばからは歯周病も増えてきますので、私と年齢の近い患者さんにも「そろそろ若さではごまかしきれないよ」なんて言葉をかけながら、予防歯科の重要性についてフランクにお話ししています。
医科歯科連携で睡眠時無呼吸症候群の改善をめざす
こちらでは医科と連携しながら睡眠時無呼吸症候群の治療にも対応しているそうですね。

はい。睡眠時無呼吸症候群とは、就寝中に何度も呼吸が止まってしまう病気で、10秒以上呼吸が止まってしまったり呼吸が弱くなったりする状態が、1時間あたり5回以上繰り返されるものを指します。検査・診断は歯科医師にはできませんので、医科のクリニックで脳波の測定や心電図、呼吸の状態をモニタリングしてもらう必要があります。これらの検査を受け、睡眠時無呼吸症候群と診断されると、就寝時に鼻に装着したマスクから空気を送り込んで気道を広げるCPAP療法が提案されます。ただ、CPAP療法はお弁当箱サイズの機器をベッドサイドに置かなくてはならず、出張に持っていきにくい、マスク着用に違和感があるといった患者さんも少なくありません。そういった方で、軽症~中等症の方には、セカンドチョイスとして就寝時にマウスピース型器具を装着して気道を広く保つ方法が勧められます。当院では、そのマウスピース型器具を作製し提供しています。
睡眠時無呼吸症候群はどういった方がなりやすいのでしょうか。
成人でいうと男性の割合が多いです。欧米の場合は肥満体形の方が多いですね。首や顎の肉で圧迫して気道を狭めてしまうのが原因とされています。アジア人の場合は骨格的なところが大きく、下顎が小さい方(小下顎症)もなりやすいといわれています。どうしても欧米人にくらべるとアジア人は下顎が小さい傾向にあり、肥満でなくてもなる方がいらっしゃいます。最近では小児の口腔機能発達不全が睡眠時無呼吸症候群を引き起こすといったことも取り上げられていますので、症状が出たら早めに診療するのが望ましいですね。
治療せず放っておくとどのようなリスクがあるのでしょうか。
一番体を休めなければいけない就寝時に、洗面器にお顔を入れて息を止めているのと同じ状態とイメージしてみてください、当然苦しくなって血圧が上がったり、呼吸が止まることで血中酸素濃度が下がったりしてしまいます。一晩にそれを繰り返していると体が休まらず、日中眠くなる、会議中に寝てしまう、運転中に居眠りの事故を引き起こすといったリスクが考えられます。日中のそういった症状に限らず、脳梗塞や心筋梗塞のリスクも高くなるとされています。
こちらで提供しているマウスピース型器具について教えてください。

当院では、いわゆる顎関節症の治療で使うようなハードタイプの器具を応用して作製しています。睡眠時無呼吸症候群のマウスピース型器具は、下顎が上顎よりも前方に出るように固定するためのもので、それによって上気道を広く保ちます。フレームそのものは技工所で作ってもらいますが、最終的に下顎をどのくらい前方に出すかはチェアサイドで私が調整し、樹脂で留めて仕上げます。医科のクリニックで睡眠時無呼吸症候群と診断され、CPAP療法に踏みきれない方は、ぜひマウスピース型器具の着用も検討していただけたらと思います。
これからも地域のかかりつけ医として携わっていきたい
先生が診療される上で大事にされていることはありますか?

必ず患者さんの治療に入る前に、診療の椅子に座って目線が合うよう正面を向いてあいさつすることは欠かさずやっております。世間話をしたり、歯科以外の体調にも気を配ったりしています。患者さんにも優しく愛情を持って接するという、人として当たり前の接遇を心がけることで、当院も4代にわたり90年以上続けて来られたのだと感じています。
クリニックの今後の展望について教えてください。
コンセプトはこれまでと変わらず、町の歯科医院として一般的な保険診療に力を入れてやっていきたいと思っています。保険証を持って来てくだされば保険診療の範囲内で自分のベストを尽くした治療を提供し、終末処置まで行っていくのが当院の方針です。当たり前のことを当たり前にする、それが歯科医院として長生きの秘訣ですし、口腔内はもちろん、首から上のことならばなんでも気軽に相談してもらえたらと思います。
最後に、読者へのメッセージがあればお願いします。

やはりお口の健康を保つことは全身の健康につながってくるので、少しでも困ったことがあれば、相談できるかかりつけの歯科医院をぜひ皆さんにも持ってもらいたいですね。定期検診も、できれば半年に1度は来ていただきたいのですが、難しければ1年に1度でもいいですし、期間が空いてしまって行きにくいなどと考えず、困った時にはいつでもお越しください。これからも皆さんの駆け込み寺のような存在でありたいと思っています。

