番園 人之 院長の独自取材記事
ひとしデンタルクリニック
(台東区/湯島駅)
最終更新日:2025/12/15
東京メトロ千代田線・湯島駅から徒歩1分の場所で長年診療を続けている「ひとしデンタルクリニック」。院長を務める番園人之(ばんぞの・ひとし)先生は、学生やビジネスパーソン、近隣の病院に勤務する医療従事者など、歯にこだわりを持つ患者一人ひとりに丁寧に向き合っている。その優しげな笑顔に引き込まれ、思わずこちらの頬もほころんでしまう。同院では虫歯や歯周病、矯正、インプラント、根管治療、親知らずの抜歯など、多様な歯の悩みに対応。そんな中で重視しているのは、メンテナンスを通じ、いかに治療後の状態を保つか。「長持ちする治療を提供したい」と話す番園院長に、同院の幅広い診療内容や、開業から25年以上たった今の思いを聞いた。
(取材日2025年11月19日)
治療完了はゴールではなくメンテナンスの始まり
こちらではどのような診療が受けられるのですか?

虫歯や歯周病の予防・治療・矯正・インプラント・根管治療・親知らずの抜歯など、保険診療・自由診療を問わずさまざまな歯の悩みに対応しています。歯科治療を通じて「よく噛める、よく食べられる」という喜びの提供することがモットーです。それは歯を失った方に対しても同じこと。現代ではインプラント治療も進化して骨造成は当たり前になってきましたし、当院では歯茎の移植を伴うケースにも対応しています。また、入れ歯治療では精密な義歯製作システムを採用し、高い密着度でスムーズに食事や会話ができる状態をめざします。このように多様な治療に対応していますが、何より重視しているのはその後のメンテナンスです。治療完了はゴールではなく、メンテナンスの始まりだと考えています。
なぜメンテナンスを重視しているのですか?
30歳を過ぎると多くの方が歯周病にかかるということは、一般の方にも広く知られるようになりました。歯科治療を受けた直後はお口の中が清潔な状態で安心されるかもしれませんが、その状態は長くは続きません。何もしなければ細菌の塊であるプラークだらけになりますし、歯石がたまったり着色したり、それらが虫歯や歯周病の原因となるのです。当院では、専用の器具を使って歯石や着色を落としたり、症状によっては歯茎の中を除菌するために薬剤処置を行ったりするPMTC(Professional Mechanical Tooth Cleaning)を取り入れています。近年では歯周病と糖尿病の関連性も指摘されており、歯周病は口腔の問題にとどまりません。お口の中を良い状態に保つため定期的にメンテナンスすることは、より長く幸福な人生を送ることにもつながります。
大学時代に歯周病について深く学ばれたそうですね。

私が鹿児島大学に入学したのは歯周病の研究が始まったばかりの頃で、たいへん興味を持ちました。その頃としては新しかったGTR(歯周組織再生誘導法)の研究に携わる機会があったのです。GTRとは、歯周病によって失われた歯肉や骨組織を増やすための技術。現代では臨床で用いられることもあるものの、組織の再生を成功させるためには細かな技術が必要なため、あまり使われていないのが現状です。幸いなことに、私は開発から二十数年来関わってきたのでその辺りの機序がよくわかっています。組織を再生することができれば、歯のぐらつきなどで困っている人にとっては大きな福音ですので、患者さんのためには使えるに越したことはない。今はあの頃の経験に感謝しています。
多くの人に機能性と審美性を兼ね備えた歯科治療を
この場所で25年以上診療されているそうですが、どのような患者さんが多いですか?

歯医者嫌いでずっと放置していたような方は少なく、ご自身の歯についてきちんと考えているような、いわゆるデンタルIQの高い方が多いように感じます。当然、求める治療の精度も高いです。1999年の開業当初、この辺りには「繁華街」というイメージを持っていたのですが、そうではなかったですね。すぐ近くは文京区で東京大学の赤門もあり、歴史も深く、非常に文化度の高い町だと思います。当院には近隣で働くビジネスパーソンや、そのまま仕事を引退してからも長年通ってくださる方、東京大学の学生さん、大学病院関係の方々などが通われています。「歯が治れば何でも良い」という方は少なく、しっかり噛めて長持ちするといった機能面はもちろんのこと、形や色合い、周りの歯との調和といった審美的な側面も重視されている方がほとんどです。そのような患者さんの期待に応えられるよう、日々やりがいを感じながら取り組んでいます。
審美的な側面も重視されるとなると、矯正の需要も高そうですね。
もちろん見た目の悩みから矯正を希望される方も多いのですが、矯正のメリットはそれだけではないんですよ。上下の歯がしっかり噛み合えば、歯磨きがしやすくなるので虫歯や歯周病にもなりにくい。歯科医師の視点からは、これらの状態をめざせるのが矯正の大きなメリットだと感じています。当院ではマウスピース型装置を用いた矯正を行っており、矯正前に緻密なシミュレーションを行いながら計画を立てていきます。透明な装置で目立ちにくく、同じように「目立ちにくい」という特徴を持つ裏側ワイヤー矯正と比べると、料金面でも負担が少ないです。また、従来のワイヤー矯正と比べて来院頻度が少なく済みますから、忙しい方でも治療を受けやすいでしょう。痛みや違和感も比較的少ないといわれています。
歯科恐怖症の人に対するアプローチも取り入れているのだとか。

歯科医院には、歯科恐怖症の方をはじめ、診療を前に緊張してしまう方が多くいらっしゃいます。これは当院の特徴の一つなのですが、少しでも患者さんにリラックスしていただければと思い、当院ではセラピーを使い診療しております。それでも診療に不安を感じる方もいるでしょう。そのような場合は、落ち着いた状態で診療を受けていただけるよう、カウンセリングとセラピーを取り入れたり、鎮静剤を使ったりすることもあります。「歯医者さんが怖い、でも麻酔を受けるのはもっと怖い」などとお悩みの方は、ぜひ当院にご相談ください。
アットホームな院内で、家族のように患者に接する
スポーツ用マウスピースも作ってもらえると伺いました。

運動をする方にとって、ケガを防止するためにもスポーツ用マウスピースは必需品です。お子さんから大人の方まで、野球・ラグビー・ボクシングなどをする方々からマウスピース製作のご依頼を受けています。一人ひとりに合わせて作りますので、やはり既製品とはフィット感や衝撃吸収力が異なりますね。担当する歯科医師はスポーツ歯科について深く学び、マウスピース製作などに携わっています。
診療の際に心がけていることはありますか?
患者さんを家族のように思ってホスピタリティーをもって接し、その方にとって何がベストかを考えるように心がけています。そして私だけでなく、スタッフたちにも同様の姿勢を求めているんです。もしかしたら「院長は厳しいな……」と思われているかもしれませんが(笑)。長く勤務しているスタッフぞろいなので、私の方針や考えを理解してくれているのかもしれません。接遇の専門家を院内に招いて皆で学びながら、アットホームな雰囲気で患者さんをお迎えしています。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。

長く歯科医師をしてきて今思うのは「長持ちする治療」を提供したいということ。そのためにはやはりメンテナンスが重要で、たとえご自身の歯を失って入れ歯やインプラントを使うことになったとしても同じです。人工の歯は虫歯にはなりませんが、たまった汚れは歯周病の原因になってしまうんですよ。また骨や歯茎は年齢を重ねるごとに変化しますので、どんなに精密に作られた入れ歯でも2年に1回は修理が必要になります。そのような情報もわかりやすくお伝えしながら、生涯健康でしっかりと噛めるような、快適な口腔環境づくりに貢献したいですね。患者さんがいつまでもおいしく食べて笑顔でいてくださることが、私やスタッフの喜びにつながります。
自由診療費用の目安
自由診療とはマウスピース型装置を用いた矯正/80万~、部分矯正/25万~30万、インプラント治療/56万円~、インプラント治療に伴う骨造成/6万円~、インプラント治療に伴う歯茎の移植/20万円~、スポーツ用マウスガード/3万円~

