黒田 努 院長の独自取材記事
東十条アクア歯科
(北区/東十条駅)
最終更新日:2025/07/14

「特別ではないがなくてはならない、人にとっての水のような存在でありたい」。東十条銀座商店街で17年診療を続ける「東十条アクア歯科」の黒田努院長は、クリニック名の“アクア”に込めた思いをそう語る。診療内容は、位相差顕微鏡による細菌検査や薬剤による内科的歯周病治療、神経を保存することをめざす虫歯治療、インプラント治療など多種多様。「当院は何か特別なことをしているわけではないんですよ」と院長は謙虚に話すが、高齢化が進む昨今にあって、かかりつけにしている高齢者が通院困難になった際には訪問診療を提供するなど、地域医療に大きく貢献している。徹底した衛生管理と患者本位の治療を軸に、歯科医師としての責任を静かに、しかし真摯に果たし続ける院長にじっくりと話を聞いた。
(取材日2025年6月13日)
特別でなくとも地域になくてはならない存在でありたい
開業の経緯と、この地を選んだ理由を教えてください。

歯科医師は多くの場合、開業するか大学に残って研究者をめざすかを選択することになります。私はもともと研究よりも臨床に興味があったので、開業を前提に勤務医として経験を積んできました。東十条との縁をお話ししますと、以前勤めていた職場に東十条に住む同僚がいまして、足を運んでいるうちにこの街の雰囲気が気に入ってしまったんですね。商店街があって活気もあり、開業するにはぴったりの場所だなと感じました。開業してから、スーパーができたり大きなマンションが建ったりと街も変化し若い世代も増えましたが、もともと住んでいる方も多く、高齢者から若い方まで幅広い年代の患者さんが来院されています。
クリニック名”アクア”に込めた思いとは?
アクアはラテン語で水という意味です。水というのは特別な存在ではないけれど、生きていく上で欠かせない大事なもの。このクリニックも、地域の皆さんにとってそのような存在になれればという思いで名づけました。たとえ派手さはなくとも、困ったときにはいつでも頼れる歯科医院であり続けたいです。私の家系は父や兄弟もみんな医療関係者で、子どもの頃から、医療とはかくあるべきという環境で育ってきました。患者さんの安心や幸せにつながることが医療の基本だと自然に身についていたので、その思いをクリニック名にも反映させたんです。
開業から17年、長く通われている患者さんも多いそうですね。

はい、開業当初から通ってくださっている患者さんがたくさんいらっしゃいます。皆さんにはとても感謝していますし、私のモチベーションにもつながっている存在ですね。中にはご高齢になったことなどが理由で通院が難しくなった方もいらっしゃいますが、そうした場合は訪問診療で対応しています。17年やってきて感じるのは、やはり継続的な関係性の大切さ。お口の健康は一朝一夕では維持できませんから、定期的に通っていただいて、その方の生活背景も含めて長期的な視点でサポートしていくことが重要だと考えています。
衛生管理を徹底した環境で患者本位の治療を
どのような診療に対応されていますか?

基本的な虫歯や歯周病の治療はもちろん、最近注目度が高まっているホワイトニングやインプラント治療にも対応しています。また、位相差顕微鏡で口腔内の細菌を確認し、それに合った薬を処方する内科的な歯周病治療も行っています。神経を取ると歯が弱くなってしまうので、特殊な薬剤を使って神経を残すことをめざす治療にも取り組んでいますよ。私は、自分を何かに特別秀でた歯科医師だと考えているわけではありませんが、一般的な歯科治療には幅広く対応できると自負しています。より専門的な治療が必要な場合は、信頼できる病院をご紹介する体制も整えています。私が患者さんを抱え込むのではなくて、患者さんにとって最適な治療を受けていただくことが大切ですからね。
衛生管理にこだわっているとお聞きしました。
細菌を取り除くため、クリニック全体に次亜塩素酸水を循環させるシステムを導入しています。歯科医院では水を多く使いますが、水が通るチューブの変質や治療中の血液を吸い込む逆流などが原因で、診療台の給水ユニットは細菌やウイルスに汚染される可能性があると指摘されています。次亜塩素酸水の循環システムを使えば、その防止を図ることができるということで、機械が痛みやすくなるというデメリットがあるのですが、衛生的な治療環境を保つためには必要だと考えています。やはり口の中の細菌は虫歯や歯周病の原因になりますから、清潔というのは医療の基本中の基本です。そこをしっかりとベースに置いて、きれいで衛生的な環境を整えることで、治療も予防も質が高まると考えています。
診療で特に心がけていることは何でしょうか?

まずわかりやすく説明すること、そして患者さんの考えを尊重することです。こちらがいいと思う治療でも、患者さんによって考え方はさまざま。例えば神経を残すための治療は自由診療になるので費用も高くなります。お金をかけても神経を残したいという方もいれば、保険診療の範囲でお願いしたいという方もいらっしゃるでしょう。大切なのは、メリットもデメリットも隠さず正直にお話しして、患者さんに選んでいただくことです。押しつけるような診療では関係は長続きしません。患者さんと歯科医師、お互いに納得した上で治療を進めることで、結果的に良い関係性につなげていきたいと思っています。
歯科医療を通じて地域の人を笑顔に、幸せに
訪問診療にも取り組まれているとのことでしたね。

開業から年月がたち、通院が難しくなられるご高齢の患者さんが増えてきました。ずっとお付き合いのある患者さんですから、最後まで診療するのは歯科医師としての役割だと考えています。当院では、訪問先に持っていけるポータブルユニットを完備しており、口腔ケアや入れ歯の調整・作製、摂食嚥下機能のトレーニングといった基本的な診療については院内に近い内容を提供できます。寝たきりの患者さんを診るのはたしかに簡単なことではありませんが、できる限りケアを継続することで、その方の生活の質を維持するお手伝いができれば幸いです。
スタッフさんが生き生きとされているのも印象的でした。
スタッフとの協調性も大切にしていて、何かあれば報告し合い、必要な時は協力し合う体制を整えています。これも特別なことではないかもしれませんが、皆で協力して診療にあたることが、結果的に患者さんの利益につながっていくはずです。これからも地域の皆さんにとって安心して通えるクリニックをスタッフとともにつくりあげていきたいですね。それに実は息子が歯科医師になり、今は大学病院で研鑽を積んでいるんです。将来的には一緒に診療できればと考えていまして。私にはできない新しい治療技術を取り入れてくれれば、クリニックとしての引き出しも増えるのではないかと期待しています。
地域の皆さんへメッセージをお願いします。

何か困ったことがあったら、気軽に相談してください。私たちの目標は、患者さんに喜んでもらい、笑顔になってもらうこと。痛みを取ってもらいたい、きれいな歯にしてもらいたいというニーズにお応えすることが、最終的には患者さんの幸せにつながればこれ以上うれしいことはありません。「歯が痛いとき、口の中のことで不安があるとき、あそこに行けば何とかしてくれる」という安心感を持っていただけたらな、と。当院は特別なことをしているわけではありませんが、当たり前のことを当たり前に続けていくことで、地域の皆さんの口の健康を守っていきたいと思っています。どうぞ遠慮なくご来院くださいね。
自由診療費用の目安
自由診療とは床矯正(検査・診断+装置代/片顎一つ)/11万2000円~、インプラント治療/35万円~、ホワイトニング(オフィス)/3万円~、特殊な薬剤を使って神経を残すことをめざす治療/2万円~