ピロリ菌やストレスも原因に
内視鏡検査で胃腸の症状を見極める
青柳診療所
(北区/十条駅)
最終更新日:2023/09/07
- 保険診療
胃がんや大腸がんは、日本人のがんによる死因の上位に挙がる病気だ。「青柳診療所」の青柳有司院長によると、最近ではストレスが原因の一つとなる機能性ディスペプシアや過敏性腸症候群といった病気が増えているという。症状の原因をはっきりさせるためには内視鏡検査が有用で、ピロリ菌の有無を調べて胃がんのリスクを把握することも可能だ。嘔吐反射などネガティブなイメージのある内視鏡検査だが、同院では鼻から管を入れる経鼻内視鏡を導入し、できるだけ苦痛を感じさせないよう工夫をしている。今回は青柳院長に、気をつけるべき消化器系の自覚症状や、ピロリ菌と胃がんの関係について話を聞いた。
(取材日2023年8月7日)
目次
胃腸の不快感は放置せず、内視鏡検査でピロリ菌の有無や原因を確認。早めの受診で胃がんや大腸がんの防止を
- Q最近、胃や腸のトラブルに悩む方が増えていると聞きました。
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A
胃腸のトラブルには、臓器そのものに炎症などの構造的な異常があって起こる器質的な病気と、そのような異常が見つからないのに自覚症状が起こる機能性の病気があります。最近では、機能性ディスペプシアや過敏性腸症候群といった機能性の病気が増えていますね。ディスペプシアというのは、胃の痛みやもたれなど腹部の不快な症状を指す言葉です。胃や腸はストレスの影響を受けやすいため、ストレスの多い現代の社会情勢が影響しているのかもしれません。
- Q 気をつけるべき自覚症状はありますか?
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A
胃が痛む、食後に胸焼けがする、便秘や下痢を繰り返して日常生活に支障が出るなど、「おかしいな」と感じたら消化器内科を受診することをお勧めします。まずはその症状が器質的なものなのか機能的なものなのかを見極めなくてはなりません。胃もたれや胸焼けは機能性ディスペプシアだけではなく逆流性食道炎でも起こり得ますし、便の異常の原因が潰瘍性大腸炎と過敏性腸症候群のどちらなのかによって治療方法も変わってきます。症状の裏に胃がんや大腸がんといった重い病気が隠れていることもありますから、放置せずにいらしてください。
- Qピロリ菌と胃がんの関係について教えてください。
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A
まず発がんについてですが、胃腸炎など慢性の炎症が長く続くことによってがんのリスクが高くなります。そしてピロリ菌が胃に定着すると、そこに慢性的な炎症を引き起こすのです。国内のピロリ菌の感染者数は昔と比べて減少してはいますが、ピロリ菌に感染したままでいると炎症は進むばかりです。感染経路は水や食べ物などさまざまで、免疫力の低い5歳頃までに感染することがほとんどです。そこから10年20年と炎症が続き、自覚症状を感じる頃にはすでに胃がんが進行している可能性もあります。現在、胃がんの原因のほとんどはピロリ菌が引き起こす炎症によるものだといわれています。
- Qピロリ菌の有無を調べるためには、どうすれば良いのでしょうか?
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A
ピロリ菌の有無を調べるためには胃の内視鏡検査が有用で、もしピロリ菌がいれば除菌を試みます。幼少期から炎症は始まりますから、早いうちに治療をすることが望ましいですね。ただし、ピロリ菌を除菌しても発がんの可能性はありますから、除菌した方はその後も定期的に内視鏡検査を受けることをお勧めしています。また先ほど挙げた「器質的なものなのか機能的なものなのか」という症状の原因を見極める際にも内視鏡検査を行います。特に胃がんや大腸がんは早期発見が重要で、そのためには内視鏡検査が不可欠だと考えます。
- Q内視鏡検査に伴う吐き気や痛みが不安です。
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A
胃の内視鏡検査で嘔吐反射を心配される方も多いのですが、当院では鼻から管を入れる経鼻内視鏡を導入し、吐き気などの苦痛を感じさせないよう工夫しています。中には「以前に受けたが苦しかったのでもう受けたくない」とおっしゃる方もいますが、内視鏡自体も進化しており、当院では外径5mmのとても細い胃の内視鏡を採用しています。大腸の検査でも内視鏡の入れ方などに工夫を凝らし、痛みの少ない検査を心がけています。異常を早期に発見し、ピロリ菌の除菌や大腸ポリープの切除で胃がん・大腸がんのリスクを下げることをめざすためにも、症状を自己判断せずに内視鏡検査を受けてほしいと思っています。
自由診療費用の目安
自由診療とは胃内視鏡検査/1万3000円~、大腸内視鏡検査/1万6000円~