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大崎 味江子 院長の独自取材記事

吉利医院

(北区/東十条駅)

最終更新日:2024/04/19

大崎味江子院長 吉利医院 main

JR京浜東北線・東十条駅北口から徒歩5分。中十条で1953年に開業し、60年以上にわたる歴史を持つのが「吉利医院」だ。父が開いたクリニックを2000年に引き継いだのが、長女の大崎味江子院長。院長のモットーは「なんでも話せる身近な相談医であること」。中でも力を入れているのが、院長の専門である神経内科の知識をフルに生かせる認知症の診療だ。北区は23区の中でかなり高齢化が進んでいる地域のため、認知症サポートのニーズは高まる一方、また周囲からの要望に応えて、大崎院長は医院を引き継いだ当初から在宅診療にも熱心に取り組む。「北区の健康を守りたい」という大崎院長に医療への取り組み、今後の展望についてじっくり話を聞いた。

(取材日2018年4月17日)

60年にわたり地元の健康を守る身近な相談医

中十条に開院した経緯をお聞かせください。

大崎味江子院長 吉利医院1

当院は1953年に父が開院しました。今の場所ではなく、もともとは中十条2丁目にありました。父の叔父が近所の神谷で開院していた縁で、中十条に開院したと聞いています。クリニック兼自宅になっていましたので、私もそこで育ちました。その後、父が83歳だった2000年に私が後を継ぎました。患者さんはほとんどが地元の方で、北区は23区の中でも特に高齢化が進んでいる地域ということもあって、高齢の方が多いです。またお子さんの患者さんも結構いらっしゃいます。「小児科に行くと感染症をもらってしまうので」と当院を選ばれるお母さんが多いようです。十条地区は飲食店も多く、とても庶民的。患者さんも気さくな方ばかりです。

院内のこだわりや工夫を教えてください。

まず気をつけたのが、院内を真っ白にしないということ。自宅のような雰囲気にしたいと考えて、壁紙も模様つきにするなど、家庭で使うようなものを選びました。それから、院内に温かみを出したいと思いまして、木目を多く使っています。観葉植物や花もなるべく絶やさないようにしています。当院の患者さんは神経の病気で足腰が不自由な方も多いので玄関はスロープにし、いろいろなところに手すりをつけたのもこだわりです。また待合室には、病気に関する情報誌や小冊子をたくさん置いています。こうした小冊子は基本的な医療の情報がわかりやすくまとまっているので、便利だと言って患者さんがよくお読みになっています。

医師をめざしたきっかけを教えてください。

大崎味江子院長 吉利医院2

父が医師だったこともあって、幼い頃の遊び道具は聴診器。「医師になりたい」という思いは子どもの時からありました。しかし父からは「弟がいるので、うちに二人も医者はいらない」と言われてしまったので、最初は普通の大学を卒業しました。しかし大学卒業後、医師の夢をどうしても諦めきれず、もう一度医学部に入学しました。当時は女子学生は1割ぐらいでした。私が入学したのは東海大学の医学部で、私たちの代がちょうど1期生にあたります。そのため学生たちはもちろん、若い教授陣もやる気に満ちあふれていました。卒業後、いろいろな科をローテートして学びました。中でも興味を持ったのが神経内科です。理論的でパズルを解くような面白さがあります。

神経内科の知識を生かし認知症治療に力を入れる

患者さんと向き合う上で心がけていらっしゃることは?

大崎味江子院長 吉利医院3

まずは患者さんのお話を傾聴するということ。じっくりお話を聞くことを常に心がけています。また神経内科の診察は問診に時間がかかります。丁寧に聞くことで見えてくることもありますので、しっかりお話を伺います。そうすると20分〜30分かかることもありますが、大事なことだと思っています。当院の場合は高齢の患者さんが多いので、耳が遠い人もいらっしゃいます。そのため「説明の声は大きく、ゆっくり」と気をつけています。同時に専門用語はなるべく使わず、平易な言葉で説明することを大切にしています。そして、絶対に急かさないということ。「ゆっくりでいいですよ」と絶えずお声がけしています。急かすことで患者さんが急ぎ、転びそうになるということは絶対に避けたいです。

特に力を入れている治療はなんですか?

当院では、神経内科を標榜していることもあり、認知症に最も力を入れています。私自身も、認知症サポート医として北区医師会内に認知症かかりつけ医委員会を立ち上げ、患者さんとの診療にあたったり、他の医師のサポートもしています。北区は23区の中で高齢化が特に進んでいる地域ですので、認知症の問題も深刻です。なんとかその問題解決のお役に立ちたいという思いはいつもあります。同時に、認知症は私にとって関心の高い分野でもあります。認知症の診療はお話も聞かねばならないため時間がかかるので、認知症とは違うご専門の先生は嫌がる傾向があります。私は患者さんのお話を聞くのが苦にならない、むしろ楽しいです。これからも認知症の治療にはしっかり取り組んでいきたいです。

在宅診療について教えてください。

大崎味江子院長 吉利医院4

在宅診療は、私が当院を継いだ2000年から始めました。在宅診療を始めたのは他院に比べると早かったかもしれません。もともとは、当院に通ってくださっていた患者さんの中でいろいろな事情で通えなくなった方のお宅に伺っていました。ご病気の内容としては、脳卒中や心不全をはじめ、いろいろな症状を併発されている方が多いです。現在は長年通ってくださる、かかりつけの患者さんに対して在宅診療を行っています。ご質問がある方はぜひ相談に来てください。

高齢化が進む北区住人の健康を守りたい

プライベートはどのように過ごされていますか?

大崎味江子院長 吉利医院5

旅行が大好きで、一番のリフレッシュタイムです。私はお盆ではなく、時期をずらして9月のシルバーウィークの頃に夏休みを取るのが恒例です。他には月に1回のペースで、上野の美術館巡りをします。絵を見るのが大好きです。東十条から上野は電車で1本なので、美術館に通うのにはとても便利なんですよ。あとは今はお休み中ですが、コーラスも楽しんでいました。北区で年末恒例の第九交響曲合唱のイベントがありまして、その合唱団メンバーとしても活動していました。このイベントに出るために7月から半年ぐらい毎週練習をしています。大変ですが、その達成感はあります。また時間ができたらぜひ参加したいと思っています。

これからやってみたいことはありますか?

今最もやりたいことは、お年寄りの居場所づくりのお手伝いをしていきたいということです。現在、北区はお年寄りの人口がとても増えています。でもそういった方々が行くところがなかなかないと感じています。デイサービスを受けられる人はそこに居場所があるからいいのですが、デイサービスを使えない元気な方が行くところがないのです。そうなると家に引きこもってしまって、下手するとうつ状態になってしまいます。そういう悪循環を断ち切りたいです。今も認知症カフェのような場はあるのですが、すでに仲良しグループができていて、新しい方が入りづらいカフェがあります。今後は、新しい方でも溶け込めるような居場所づくりを、北区の方々と一緒に行っていきたいです。

読者へのメッセージをお願いします。

大崎味江子院長 吉利医院6

医師にしっかり話を聞いてほしい方は当院にぜひ来ていただければと思います。私はじっくりお話を聞くこと、そして難しい専門用語を使わずに説明することを心がけています。加えて、会社などで受けられた健康診断や、人間ドックの結果の解説もしていますので「検査を受けたはいいけれど、よくわからない」という方はぜひお越しください。また、当院は「患者さんにとって最も身近な相談医」として存在したいと思っています。「症状はあるが、どの科にいったらいいかわからない」という方に適切なクリニックを紹介するのも当院の役目。困っていることがあったら、なんでも聞いてください。

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