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今泉 貴雄 院長の独自取材記事

東京ほくと医療生活協同組合 王子生協病院

(北区/王子神谷駅)

最終更新日:2019/08/28

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王子駅から徒歩 約15分、2013年4月に新病院が完成した「王子生協病院」は、地域の健康を守る砦でとなるよう少子・超高齢社会を見据えた診療体制を取る。院長の今泉貴雄先生は、医師の研修指導に力を入れる同院の環境に憧れて医師としての第一歩を踏み出し、2013年10月より「王子生協病院」の院長に就任した。外来・入院・往診を行う病院の院長として、常に患者に寄り添った診療を行い、同時に病院スタッフへの配慮も欠かさない心優しい先生だ。忙しい毎日を送り、休日はもっぱら自宅で休養しているという今泉先生に、病院の体制から日々の診療のこと、思い出に残る患者とのエピソードなどたっぷり語ってもらった。
(取材日2015年3月3日)

地域の健康を守る砦の役割を果たしていきたい

「王子生協病院」の診療体制についてお聞かせください。

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当院は総合的な内科として、糖尿病・喘息・高血圧・脂質異常をはじめ、循環器、呼吸器など各科にわたる病気全般について総合的に診察、治療を行っています。その他、小児科・整形外科・泌尿器科・皮膚科・外科の診療も行っています。

159床ある病床は、どのような構成になっていますか?

3階は42床の回復期リハビリテーション病棟で、他の病院から脳卒中や大腿骨の頸部骨折など急性期の治療を経て、在宅へ向けての復帰をめざすリハビリを主体としています。4階は2014年5月に開設された25床の緩和ケア病棟で、患者が「自分らしく」穏やかな毎日を過ごすために、体や心のつらさを和らげることをめざし、医師・看護師・薬剤師などがチームとなり地域・在宅部門や他の医療機関と連携し、全人的な緩和ケアを提供しています。 5、6階は一般病棟でそれぞれ47床、45床あります。地域のかかりつけの患者の急性期医療を担った治療、あるいは慢性期的な病棟運営という形になっています。

北区は高齢者が多いということですが、患者も高齢の方が多いのでしょうか?

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北区は23区の中で高齢率が一番高くなっていますので、入院・退院される患者も含め、当院も例外ではありません。私がここに就職した20数年前は、まだ若い方の入院もあったのですが、現在は80、90歳代の方が多くなっています。しかし、これはどこの病院でも似たような状況でしょう。特に内科系の病院では、肺炎や何らかの痛みなどを訴える患者の入院が多く、高齢の患者が主体になっています。ですから、認知症の患者も増えていますので、当院の物忘れを専門としている外来では認知症の患者のサポートを行っています。

「生涯の主治医、地域の主治医」として患者をサポート

高齢の患者が多いということで、気をつけていることなどありますか?

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高齢の方は、いろいろな症状を訴えます。通常ですと、呼吸器・循環器・消化器など各科に分かれて診ていますが、当院では「生涯の主治医、地域の主治医」をモットーに、1人の医師が1人の患者に対して、患者や家族の訴えをきちんと聞いて治療方針を考えます。専門の科がありませんから、力量範囲は自ずと限られたものになりますが、可能な限り、当院で責任をもって対応して、より高次の治療や手術が必要な場合には、専門病院に紹介します。患者が若いときには循環器に行ったり、呼吸器に行ったり、専門の病院に自分で通院できますが、高齢になるとなかなかそうもいきません。また、薬の種類・量も増えますので、当院のような地域の病院が主治医となり、各科で処方された薬の重複を避けたりなどする必要があります。そういった意味でも、他の医療機関などとも連携を取って治療にあたることが、これからはさらに重要ではないかと思います。

日々診療にあたられる中で大切にされていることはありますか?

長く病院の仕事をしていますと、患者に頼られるということが実感としてあります。ですから、信頼関係を損なわないように、真摯に診療にあたるということを常に心がけています。当院の特徴でもあるのですが、外来・入院・在宅を、1つの病院で行っていますので、通院されていた患者が要介護状態になって往診になっても、長い期間ずっと診ていくことが可能です。だからこそ、信頼関係がますます重要になります。これは、患者の安心にもつながると思いますし、医師のやりがいにもつながります。現在は7、8人の医師が約180人の患者を担当し、基本的に月2回の往診を行っています。もちろん、患者の状態によっては毎週お伺いすることもあります。在宅で過ごしたいと希望されている末期がんの患者の往診や、老衰で亡くなる方の在宅でのお看取りもしています。

北区は独居の高齢者が多いと聞きましたが、患者の中にもそういう方がいらっしゃいますか?

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独居の方は多くなっています。自身で身の回りのことをするのが難しいという場合、介護サービスなどを組み入れて生活を支えるシステムになっていますから、私たちは医療的な部分での助言、対応をしています。私どものグループは診療所や介護施設など、医療系だけでなく介護系も行い、地域の各医療機関、介護機関との連携のもとで、患者を支えていくということにも取り組んでいます。これだけ高齢化が進んでいますと、1つの医療機関だけで全部に対応することは困難ですし、いくら自分たちのグループが介護系のスタッフもいるからといって、それだけで賄えるわけでもありません。当然のことながら、「高齢者安心センター(地域包括センター)」をはじめとした行政、地域の方々、介護系・医療系施設合わせて、どういう連携を取るかが重要ですが、現状では比較的良い連携が取れて患者をサポートできているのではないかと思っています。

病気の背景にある問題にも目を向けた医療をめざす

心に残っている患者はいますか?

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医師になって2、3年目に活動性の回復までの治療効果がなく、本人と家族が施設に移る選択をしたときに申し訳ないと思っていたら「先生に会えてよかった」と言ってもらいました。今でもずっと覚えています。人と人とのつながりを大切にすることを肝に命じています。忙しいからと言ってこのスタンスは絶対に忘れないでいようと思いました。病院は、医師・看護師・事務スタッフも含めて、出会いのある職場だと思いますし、その出会いを職員には大切にしてほしいですね。多かれ少なかれ、どのスタッフもそういう出会いがあるからこそ臨床が好きで、病院が好きで、働き続けられるのかなと思っています。

今後の展望をお聞かせください。

当院は、組合員と職員とで運営している病院です。患者や家族などの出資金という形で成り立っていて、地域の方々が支えてくれています。ですから、そういう方々からの信頼、期待を裏切らないような医療・事業展開をしていくことが目標の一つです。将来的には、ますます高齢化になっていく中で、5年先、10年先をどのように見据えていくのか。医療の方向性、厚生労働省の方針なども、これまでとは違った流れになってきている部分もありますので、自分たちがどのように戦略をもっていくのか。地域の中で、他の医療機関・介護機関と連携を取りながら、組合員や地域住民の方々の健康を守っていくということが常に大きな課題です。

読者へのメッセージをお願いいたします。

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地域にはいろいろな特徴のある病院がありますので、その特徴を見て、信頼できる医療機関を見つけることが大切です。1つの病院ですべてを解決することは難しいですから、まずは近くのかかりつけ医、そしてより高次の治療が必要な場合には、紹介を行うような形で考えていただければいいと思います。当院には、「家庭医」として働いている医師が多いので、小児科・整形外科・婦人科などの相談にものりながら診療し、さらなる処置が必要な場合は連携病院に紹介します。どの世代の患者であっても、1人の医師が患者の背景や地域の状況を考慮するのが重要でしょう。医療は疾患だけを診るものではありません。その病気の背景には、経済状況や地域の環境、家族関係などが関与している場合もありますから、それらを考慮しながら診療を行っていきたいと思います。

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