平川 英司 院長の独自取材記事
トナミビルデンタルクリニック
(北区/赤羽駅)
最終更新日:2025/05/26

赤羽でクリニックを開院して30年。「トナミビルデンタルクリニック」は今も変わらず、先を見据え、歯を残すべく、できるだけ削らない最小限の治療をモットーとしている。「治療をしない歯科医師になるのが理想」と語るのは院長の平川英司先生。「歯科医院は何も症状がない時こそ、通う場所となってほしい。私は削ったり、抜いたりせず、患者さんの歯のクリーニングだけを行う歯科医師になるのが夢なんです」と話す。予防への意識が高まってきたとはいえ、歯科医師と患者の間にはまだ隔たりがあるという。検診に来ていても、1番大事なのはホームケア。正しい情報を歯科医院で聞き、きちんとした磨き方を身につけ、それを自宅で実践することが肝心と訴える。患者思いの平川院長から、いろいろな話を聞いた。
(取材日2025年4月22日)
赤羽エリアの歯科診療を支え続けて30年
長きにわたり、赤羽で歯科治療に携わってこられたのですね。

開院から30年たって、赤羽の町も私もだいぶ変りました(笑)。ですが、患者さんへの思いや治療に対する考え方は変わってないと思っています。時代は変わっても、根本は同じです。治療の選択肢が増えたり、使う器具、設備などは新しく変わったり、すべてにおいてデジタル化が進んだとは感じますが、「歯を残すためにはどうしたらいいのか? できるだけ削らないで、長持ちさせるには」という思いはずっと変わっていません。最終的に「自分の歯を維持し、最後まで上手に使い切る」ことを目標に治療、アドバイスをしてきました。
地域にとって、どのような存在でありたいと思っていますか?
赤羽は住みやすいエリアのようで、今も人口の流入が起きているようです。特にファミリー層の増加が多いようで、マンションが建ち、小学校の教室が足りないなんて話も聞きます。駅周辺もさらに新しいビルが増え、活気はありますね。交通の便も良く、上りの上野、新宿方面や下りの大宮方面へとどちらも赤羽を通過して行くので、近くにお住まいの方だけでなく、電車で通院してくださる方も割といらっしゃいます。それは今も昔も変わらずなので、本当にありがたいです。開院当初からのおなじみさん、引っ越してこられた新規の患者さん、お子さん、働き世代の方と赤羽に縁のある、いろいろな世代の方が頼ってくださってうれしい限りです。歯科医院も増え、どこに通うか選択肢も広がりましたが、その中で「あそこなら昔からあるし、安心できる」と思ってもらえたらうれしいですね。
歯科医師と患者さんの考えの違い、その隔たりを埋めるために努力されていることがあるそうですね。

歯医者は痛くなったら行く所から、メンテナンス目的で定期的に通う場所へと徐々には変わってきましたが、まだまだ歯科医師側と患者さんの思いには隔たりがあるな……と残念ながら思います。もちろん、意識の高い人が増え、きちんと検診の予約をし、欠かさず来院してくださる患者さんもいらっしゃいます。メディアやSNSの影響もあり、健康への興味や理解が高まっているのは感じていますが、それを行動(通院)へつなげられるかはまた別の問題だなと実感したんです。そのためには、私たちが伝え続けることが必要なんだと思います。来てくれた患者さんに検診の大切さ、定期的に診る意味、ケアの重要性を丁寧にその都度、お話ししますが、すぐに検診率を上げるのは難しい。意識を変えていくには、時間をかけて理解してもらい、何度もお話していくしかないんだなと思っています。
クリニックと患者の二人三脚で、最善の治療をめざす
先生が開院当時から、変わらずに大事にしていることを教えてください。

やはり、インフォームドコンセントと、インフォームドチョイスは重要視しています。十分な説明を行い、それを理解してもらうこと。そして、患者さん自らが治療方法を選ぶこと。私は常々、患者さんとクリニックで「二人三脚で治療を」行っていくのが理想だと思って実践しています。歯科医師に言われるがまま、わからないまま何となく治療を受けるのは、ご自身のためにもなりません。こちらからは、今の状態、治療方法の提示、各治療法のメリット、デメリットなどをすべてお話しします。お互いがこれらを共有し、患者さんが答えを出しやすいような状況にして差し上げるのが私の役目だと思っています。生活環境や経済的な問題で、ベストな選択をするのが難しい場合もあります。ベストは無理だとしても、せめてベターな選択ができるように伴走していきたいです。
先生が力を入れている治療についてお聞きします。
虫歯菌に対するアプローチや歯茎内の汚れの除去などでは、レーザー治療はとても有用だと思っています。レーザーは光なので、より繊細な作業ができますし、菌の除去が図れ、歯を削る際にも少なくて済むといったメリットがあります。しかし、何が何でもレーザーが一番なのではなく、従来の方法と組み合わせながら、「どの治療方法がこの患者さんには最適か」を考えて治療を行っています。
将来を見据えた治療、声かけが大切なのですね。

今は虫歯があるからと言って、「削るよ、また次ね」って時代ではありません。一つの治療の中にも、素材は何を選ぶかなど、段階を踏んで納得して選んでいくので、それなりに時間も必要になります。そして、目の前の問題や痛みだけを取り除く治療をするのではなく、将来的なことも考えた上で方針を立てなければいけません。例えば、お子さんの場合、今は何もしなくて良いかもしれませんが、もう少し成長したら「こうなるかもしれない」とあらかじめ、保護者の方に問題点をお伝えしておくことが大切です。年齢ではなく、子どもによって口内の成長具合いは異なるため、問題がなくても定期的に診ていくことが必要になります。きちんと可能性も含めたお話を最初に伝え、経過を追うこと、そのためには定期検診が欠かせないことをお話しして理解してもらうのが何よりなのです。
親身に寄り添い、意識改革を行うことが大切
ホームケアが1番重要だと気づいてほしいと訴えていらっしゃいますね。

定期検診で問題ないと診断を受けていても、自宅で過ごす時間のほうが圧倒的に長いので、そこでのケアがおろそかになっていたり、正しい方法で行っていなかったりすると、良い状態を維持することができません。毎日歯科医院に通ってくだされば別なんですが、それは無理な話です。歯ブラシ1つとっても、それが自分に合った物なのか、正しい持ち方、磨き方なのか、歯磨き粉は適量なのかなどなど。初めに歯科医院で正しい歯磨きの指導を受けてください。慣れるまで何度でも聞いて、身につけてほしいですね。よくマウスウォッシュをしているから大丈夫、たくさん泡立てているから、ガシガシ強く磨いているからきれいだと思っている方がとても多いのですが、これは違います。本来なら、鉛筆持ちで、時間をかけて細かく丁寧にするのが理想です。私は検診も重要だと思っていますが、正しいホームケアを行うことこそ1番重要なことだと思っています。
先生の理想とする「診察のかたち」についてお聞きします。
検診にいらしたすべての患者さんに「今日もクリーニングだけで大丈夫ですね」とお答えできるのが理想です。それはつまり、歯科医師が治療をしなくなる世の中になってくれたら、どんなに良いかと思っています。歯科医院は何もない時こそ、行く場所であって、歯を削ったり、抜いたりする所ではない。予防のために通院する場所なんだと皆さんに思ってもらえたら、幸せですね。
最後にメッセージをお願いします。

質を落とさず、現状を維持しつつ、けれども自分のバージョンアップを図りながら、これからも赤羽の皆さんのために診察を続けていきたいです。良い物は引き継ぎ、さらなる改良を加えながら、今後も患者さんと二人三脚でやっていけたらと。あのクリニックなら昔からあるから安心できるし、話しやすいと思ってもらえたらうれしいですね。
自由診療費用の目安
自由診療とはインプラント治療/33万円~、セラミックを用いた補綴治療/5万5000円~