木村 拡司 院長の独自取材記事
木村歯科医院
(板橋区/大山駅)
最終更新日:2025/04/15

「治療内容など聞きたいことがございましたら、どんなことでもお気軽にお尋ねください」。板橋区大山にある「木村歯科医院」の院内を見渡すと、そんな思いやりにあふれた貼り紙がいくつも目に入る。木村拡司院長と歯科衛生士を務める妻が、先代から受け継いだ患者本位の姿勢が形となって表れているようだ。木村院長は入れ歯などを扱う補綴を専門としつつ、小学校の学校歯科医を務めるなど幅広い世代を診療し、地域住民からの信頼も厚い。さらに通いやすいクリニックをめざし、2015年には開業50年近い同院の建て替えを実施。そこに凝らされたこだわりの一つ一つに夫婦の人柄を感じる。人の話を聞くのが好きだという木村院長。今回は自身とクリニックのこれまで、そしてこれからについて、たっぷりと語ってもらった。
(再取材日2025年3月13日)
父親から引き継いだクリニックで、変わらない安心感を
こちらのクリニックはお父さんから引き継がれたんですね。

僕自身は昭和大学歯学部を卒業してから、そのまま大学の補綴科に残って研究や治療に従事していました。こちらに戻ってきたのは2007年で、しばらくは父と2人で診療を行っていたのですが、父はけがをしたこともあって引退を考えるようになっていました。立って治療をするスタイルを取っていたので、負担がかかっていたのかもしれません。それで2015年8月に、僕が院長に就任したんです。開業してから50年近い歴史があり、建物がだいぶ古くなっていたので、院長になるタイミングでクリニックの建て替えもしました。
患者さんの年齢層が幅広いとのことですが、具体的にどのような方が来られますか?
父の代から通っていただいていることが多く、僕のことを小さい頃からご存じの方もたくさんいますね。90歳を超える患者さんもいて、通院が困難になった場合は往診にも対応しています。また、2017年4月から僕が小学校の学校歯科医を務めているのもあって、子どもの来院が増えています。お子さんとの来院をきっかけに親御さんが通院を始めることもよくあります。エリアとしては近隣にお住いの方が中心ですが、埼玉からお越しになっている方もいるんです。父の代から変わらない場所で、当時と変わらない治療を受けたい。そんな思いを患者さんから感じますね。
現在クリニックとして注力していることを教えてください。

現在は予防歯科ですね。特に歯周病予防・治療に力を入れています。実は予防歯科というのは根気が必要で、自宅でのケアに加えて、定期的にクリニックでメンテナンスを受けることも大切なんです。患者さんがご自身の歯に対するモチベーションを維持していかないと、予防歯科は成り立ちません。「将来的に自分の歯が1本でも多く残っているのは理想だけど、そんな長期的にモチベーションを保てない」、そういった方は、実は珍しくないんです。ですので、当院では予防歯科につながるホワイトニングにも注力しています。「将来のことはわからないけれど、明日の自分の歯がきれいになってたらうれしい」、そんな気持ちで気軽に受けていただけるホワイトニングです。ホワイトニングを入り口に、患者さんがご自分の口腔環境をより意識してもらえるとうれしいですね。
患者からの熱い要望で、インプラント治療を開始
患者さんからの要望があって、インプラントを始められたそうですね。

はい。これまでは、インプラント治療をご希望の患者さんは他院へご紹介していたんですが、患者さんから「ここでやってもらいたい」「先生に診てもらいたい」といった声を多くいただいていまして。インプラント治療については前々から当院でもできたらと思っていましたし、何より選択肢は多いほうが良いですからね。インプラント治療については僕が診るのではなく、専門の先生を招いて治療を行ってもらっています。患者さんに喜んでいただけたらうれしいですね。
ノンクラスプデンチャーも導入していると伺いました。
そうなんです。ノンクラスプデンチャーというのは、金属を使用していない入れ歯のことで、上は総入れ歯で下が部分入れ歯という形です。ノンクラスプデンチャーの大きなメリットとして、審美性に配慮しやすい点が挙げられます。金属を使っていないので、口を開けたときに入れ歯が目立ちにくいんです。その代わり、緩くなってしまうと調整や修理が難しいというのはデメリットですね。当院での入れ歯の調整は、可能なかぎり即日お渡しできるようにしているんですが、ノンクラスプデンチャーの調整や修理は数日お預かりさせていただいています。ノンクラスプデンチャーの部分入れ歯は、50代60代で希望される方もいらっしゃいます。
診療の上で心がけていることはありますか?

一番心がけているのは、患者さんの話をよく聞くことです。中には僕よりも妻のほうが話しやすいという方もいますが、そのときも、どんなことを話していたのか後で妻に確認するようにしています。一人ひとりの患者さんに合った治療というのは、その方のことをよく知っていて初めてできることだと思うからです。もう一つは、患者さんの不安を取り除く努力をすること。治療中はこまめに声かけをしますし、治療内容などの専門的な話は、言葉で伝えるだけでなく、目で見て理解しやすいようにアニメーションを使って説明しています。メンテナンスを受ける患者さんに対しては、口を開けてもらう前から気をつけています。メンテナンスは継続が大切です。次も気持ち良くメンテナンスで通っていただくため、不快感を与えないように細心の注意を払っています。歯科医師は嫌われ者ですから(笑)、これ以上嫌われないように尽力しているつもりです。
地域を支える、かかりつけの歯科クリニックとして
歯科医師になったのはお父さんの影響でしょうか?

自宅の近くに診療所があったので、働く父の姿がいつも身近にありました。僕の記憶の中の父は、いつも消毒薬の臭いがしていましたね。それくらい仕事熱心な人だったんです。患者さんに対しても誠実で、たくさんの人に感謝されていました。そんな父に憧れて、僕も小さな頃から人の役に立つ仕事がしたいと考えていました。補綴の道に進んだのも父の一言からです。もともとは子どもが好きで小児歯科を専門にしようと思っていたのですが、高齢化社会を見据えて入れ歯を学んだほうが良いと勧められて、今では補綴の仕事に大きなやりがいを感じています。当院に来られた患者さんが喜んでくださる、そんなときに歯科医師になって良かったと思います。
印象に残っている患者さんはいらっしゃいますか?
大学病院で診療していた頃、僕の担当だったあるご高齢の患者さんが、おしゃべりが大好きだったんですね。治療時間が1時間あったら50分ずっとお話をされるくらい。その方に僕が大学病院を出てここで開業することを話したら、遠くからここまで通ってくださるようになったんです。僕はもともと人の話を聞くのが好きで、なかなか治療に移れなくて困ることもあるんですよ(笑)。でもそのおかげで患者さんから親しくしていただいて、お餅やメロンなどのお土産をよくいただきます。
今後の展望をお聞かせください。

歯科治療は痛い、怖いというイメージがあるかもしれません。でも、悪くなる前にメンテナンスに通っていただき、口の中をさっぱりさせるため歯をきれいに掃除してもらいたいです。マッサージ店やネイルサロンに行くのと同じです。そんなふうに気持ち良く治療を受けられるクリニックをめざしたいと思います。そして個人的な目標は、お子さんが成長し、働き盛りになるまでずっとお口の中の健康を見守り続けること。そのために予防歯科にも力を入れて、長く通っていただけるクリニックであり続けたいですね。「こんなことで受診して良いの?」という内容でも、気軽に来ていただきたいです。かかりつけの歯科クリニックとして、地域医療にも貢献していきたいですね。
自由診療費用の目安
自由診療とはインプラント治療/45万円~、ホワイトニング/6000円~、ノンスクラブデンチャー/10万円~