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北角 博道 院長の独自取材記事

北角診療所

(板橋区/ときわ台駅)

最終更新日:2021/10/12

北角博道院長 北角診療所 main

東武東上線のときわ台駅北口から徒歩約4分。「北角診療所」は開業より65年以上の歴史を誇り、親子2代で地域医療を支えてきた。院長である北角博道先生が、“ジャンパー先生”と地域の人に親しまれた父の後を継いでから約四半世紀。北角院長は同院の医師である以前に、この町に生まれ育った一員として、地域の患者に寄り添い包括的なサポートを行うことをモットーとする。ポロシャツ姿で笑顔で出迎えてくれた北角院長に、地域医療への想いや、父の代より力を注ぐ訪問診療のこと、診療のこだわりなどについて聞いた。

(取材日2019年6月3日)

医師である前に、地域の一員として患者を診る

開業65年以上になるそうですね。

北角博道院長 北角診療所1

父が1953年に開業し、1993年に私が院長職を引き継ぎました。当院は今では珍しくなった住居兼診療所。私はここで生まれ育ってもう60年以上になります。近所の70代、80代の方は私の子どもの頃を知っているんですよ。父も私も、診療所の医師である以前に、町の一員として診療を行ってきましたから、地域の患者さんたちも気兼ねのいらない診療所だと感じてくれているのではないでしょうか。子ども時代に通われていた患者さんが、成人してご自分のお子さんを連れて来てくださることもありますよ。父は往診かばん片手にジャンパー姿でスクーターに乗って往診していたため、“ジャンパー先生”とあだ名で呼ばれていたそうです。そうした父の姿は小さい頃の憧れの存在であり、ずっと尊敬の念を抱いてきました。

クリニックの特色を教えてください。

当院を引き継ぐ以前は母校である北里大学病院や北里研究所メディカルセンターで循環器内科を専門に研鑽を積んでいましたが、特に専門性はうたっていません。一番の特色は老若男女、症状問わず患者さんがまず来院できる診療所であるということ。周辺は住宅地ですから、ここは住民の方々にとって最も身近な医療現場です。病気以外でも、何か体調に不安がある患者さんが真っ先に通える場所であるように、父もありとあらゆる患者さんを受け入れていましたし、私も誰しもが安心して通える診療所であるように努めてきました。また、高齢になり通院が難しくなった患者さんや、がんや難病を患い自宅で最期を迎えたい患者さんの訪問診療も行っています。往診も父の代から続けているんですよ。

訪問診療にも力を入れているのですね。

北角博道院長 北角診療所2

当院は強化型在宅療養支援診療所として、地域のドクターと連携して24時間体制で電話や訪問の対応が可能です。患者さんのほとんどが近隣の方ですから基本的に私自身で対応していますが、どうしても患者さんのところに行けないときは他の先生が緊急対応をしてくださいます。昔と比べて、在宅医療は関わる業種が本当に広がりました。昔は私一人で患者さんのお宅に伺っていましたが、今はケアマネジャーさんをはじめ、訪問看護や派遣のヘルパーさんたちもいます。医師が一人で診ていた頃は、訪問診療をしていても容体が悪くなったら入院をさせていましたが、今は患者さんのご自宅をできるだけ病院と同じような環境に整えて、可能な限り在宅で診ていく流れになっています。システムが整って患者さんの環境も良くなり、患者さん自身も在宅を受け入れやすくなりました。

予防医学や生活習慣病治療に力を注ぐ

先生が後を継いで26年、患者さんの変化は感じますか?

北角博道院長 北角診療所3

父の時からお子さんからお年寄りまで、幅広い世代の患者さんが来院されていますが、お年寄りの患者さんが増えてきたと感じます。少子高齢化の影響と合わせて、医院自体の歴史も長いですから、父の代からの患者さんや4世代で通うご家族もいますよ。ただ患者さんの高齢化に伴い気になるのは認知症。当院でも認知症検査や、専門の医療機関への紹介も行っています。認知症は進行する病気ですから、ご家族には将来的なアドバイスなどのお話もしていますよ。また、もともと循環器を専門としていましたから、近隣病院からの紹介で高血圧や狭心症など、循環器疾患の患者さんのフォローも増えました。私の代になって四半世紀が過ぎ、時代もめまぐるしく変化しました。ストレスで心身に不調をきたして来院される方も多く、不調の原因を探るためにも患者さんとのコミュニケーションは大切です。

力を入れている診療について教えてください。

一次診療であるかかりつけ医の役割は予防医学への貢献だと思います。あらゆる病気にいえることは、早期発見・早期治療の重要性。医学の進歩により、がんをはじめ、重い病気も早期発見すれば体に負担の少ない治療ができるようになってきました。このため、普段の診療の際に健康診断や予防接種の状況を確認するなど、日ごろから予防の啓発を積極的にしています。例えば今問題になっている風疹の流行。お子さんの予防接種はきちんとしていても、ご自身の接種状況は把握していますか? また生活習慣病は症状が悪化するまで自覚症状がないことが多いですから、定期的な検査や健診はとても大切です。現在のご自身の健康状態を把握して、健康づくりに取り組むことが病気を遠ざけることにつながりますよ。

生活習慣病の診療にも注力していると聞いています。

北角博道院長 北角診療所4

生活習慣病は、厳密な治療で将来の状況が変わってくることがわかってきていますから、特に40~60代の比較的若い世代に対しては、10年、20年先の将来を考えてしっかりと治療や指導を行っています。ただし、自覚症状がない分実感が湧かず、モチベーションを上げにくいのも事実。でも放っておくと5年後、10年後に心筋梗塞などを起こす可能性は充分ありますから、データをお見せしながら将来起こりうるリスクをわかりやすい言葉で説明して、ご自身の状態を理解していただく工夫をしています。また今は健康な人たちにもお勧めしたいのは、歩くこと。歩くことが高血圧や糖尿病をはじめ、さまざまな病気や将来の寝たきり予防にもつながっていくと思いますよ。

コミュニケーションを重視し、真摯に向き合う

診療のこだわりをお聞かせください。

北角博道院長 北角診療所5

これまでの経験や知識を過信せず、一人ひとりの患者さんに対し真摯に診療を行うことでしょうか。患者さんが思っている病気と実際は異なるケースもありますから、患者さんのお話に耳を傾けて詳細に診察を行うことを心がけています。そのためにも患者さんがフランクに話せる状況をつくることが大切。病気のことだけでなく、ご家族や生活のことなどでも構いません。患者さんの生活背景を把握することも、かかりつけ医として大切なことだと思いますし、ちょっとした会話の中に重要なキーワードが潜んでいることも多いですからね。ストレスを抱えて来院された患者さんが、お話をすることで体調が改善に向かうこともありますから、コミュニケーションは重要です。絶えず複数の疾患を視野に入れ、あらゆる可能性を考慮しながら慎重に診断を下すようにしています。

かかりつけ医を持つことはなぜ大切なのでしょうか?

病院志向の患者さんもいらっしゃいますが、最近はいざ病気になっても大学病院では紹介状がないと診てもらえないこともあります。そうしてクリニックを受診しても、その方の既往歴などのデータはないわけです。板橋区は大学病院や総合病院も多く、病診連携がしっかりしているので入院や手術の場合も迅速にご紹介ができます。患者さんが希望する病院があれば、すぐに電話で確認できますし、もしも断られても積極的に受け入れている病院も多いのでたらい回しということはまずないでしょう。普段はかかりつけ医に診てもらい、必要に応じて大きな病院へ行くのが患者さんにとっても安心かと思います。また、もしも将来在宅診療へ移行することがあっても、生活背景を把握しているかかりつけ医がいることで、その方に適したサポート体制を速やかに組み立てることができると思いますよ。

読者へのメッセージをお願いします。

北角博道院長 北角診療所6

当院に限らず、気軽に相談できるかかりつけの先生をお持ちいただくことは大切です。病院が苦手な人も多いかもしれませんが、風邪をひいたときに気軽に診てもらえる先生がいると将来的にも安心ですよ。当院としても、患者さんが受診しやすい雰囲気づくりを大切にしています。スタッフはベテランぞろいで、10年、20年と長く勤めている人ばかり。患者さんの顔はみんな覚えてくれています。私もかしこまってお子さんに嫌われないよう、白衣は着ずに年中ポロシャツです(笑)。時々、倒れてから初めて大きな病気とわかる人もいます。そうならないように、普段から気軽に相談できる先生を持つことが一番だと思いますよ。

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