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内田 寛 院長の独自取材記事

内田こどもクリニック

(練馬区/地下鉄赤塚駅)

最終更新日:2023/11/16

内田寛院長 内田こどもクリニック main

「内田こどもクリニック」は、国立病院医療センター(現・国立国際医療研究センター)などで診療経験を積んだ内田寛院長が2010年に開業。2013年に、東武東上線の下赤塚駅、東京メトロ有楽町線の地下鉄赤塚駅から徒歩5分の場所に移転リニューアルした。内田院長が診療時に大切にしているのは、「患者をしっかりと観察すること」。診察室での様子はもちろん、待合室での泣き声や診察室に入ってくるときの足取りなど一挙一動に目を向け、症状の把握、適切な診断につなげている。また、日本感染症学会感染症専門医で新型感染症の流行以前からクリニック内の換気などにも配慮している。診療の傍ら、練馬区医師会会長も務め、責任ある立場として地域全体のより良い医療構築をめざす内田院長に、クリニックの診療内容や今後の展望について話を聞いた。

(取材日2023年2月17日)

ちょっとした症状から子育て相談まで、幅広く対応

こちらのクリニックでは、どのような症状でいらっしゃる患者さんが多いでしょうか?

内田寛院長 内田こどもクリニック1

ちょっとした風邪から赤ちゃんの肌トラブル、便秘など、本当にいろいろな症状の患者さんがいらっしゃいます。あとは、ミルクを飲まないとか夜泣きがひどいとか、子育ての相談も多いですね。新型コロナウイルス感染症が流行し出した頃は、医療機関で感染する懸念から受診を控える状況が全国であり、当院でも一時期患者さんがかなり減りました。今やっと落ち着いてきて、またそうした子育て相談にいらっしゃる親御さんも戻ってきています。やっと相談しに来られるようになって安心したという声もいくつかいただいています。

新型コロナウイルス感染症の感染拡大に際し体制変更などはあったのでしょうか?

オンラインで相談を受けたり、熱がある場合に時間を指定したりといったことはありましたが、当院では新型コロナウイルス感染症が流行する以前からもともと完全予約制だったので、大きな体制変更などなく、割とスムーズに対応することができました。それから、僕は日本感染症学会感染症専門医の資格も持っているので、感染症対策として必要なことも以前から行っていました。例えば常に窓に隙間を空けて室内の換気などもしていたので、何をすればいいのか慌てることもなく、落ち着いて診療を続けられたと思います。

そのほか、診察時に心がけていることはありますか?

内田寛院長 内田こどもクリニック2

親御さんだけではなく、お子さんにも話しかけるように意識しています。「保育園で今日は何したの? ごはんは何食べたの?」などと問いかけると、小さなお子さんでも、言葉が話せる年齢であれば、いろいろと答えてくれるんです。その受け答えの様子も大切な診察の一つと考え、お子さんの反応などを見るようにしています。それから、ワクチンなど注射をする時は、「痛くないよ」と絶対言わないようにしています。注射は子どもにとって痛いので、痛くないと言ってから注射をしてしまうと、その後、余計に怖がらせてしまいます。痛くないとは言わずに、例えば「怖い病気にならないためにチックンするね」と伝えるようにします。注射で泣いてしまう子ももちろんいるでしょうが、大事なことだとわかると子どもはちゃんと注射を打たせてくれます。大人が思っているより、子どもは賢いなと思いますね。

患者を観察し、「事故を起こさない誠実な医療」を

クリニック全体として意識していること、ポリシーなどはありますか?

内田寛院長 内田こどもクリニック3

大切にしているのは、「事故を起こさない誠実な医療」です。これは僕の恩師が常に言っていたことで、自分のクリニックでもポリシーにしています。僕は小学校に入る前に病気をして、1年遅れて小学校に入学しているんです。実家の岩手県では治せる病院がなくて、まだ6、7歳ぐらいの時に東京の病院に一人で入院していました。当時の主治医がこの恩師で、偶然にも私が大学卒業後に入った病院の医長でもあったんです。この先生に教わったことを今でも大事にしています。

事故を起こさないために、どのようなことに気をつけているのでしょうか。

基本的なことですが、患者さんをよく見ること、観察することです。診察中の様子はもちろん、場合によっては、待合室での泣き声や咳の様子、部屋に入ってきた時の歩き方、そういうことから、僕の中ではもう診察が始まっているんです。耳をそばだてて患者さんの声や足音を聞く、目の前の患者さんをよく見る、触って自分の手で感じるなど、五感を働かせて患者さんの様子を観察することを大事にしています。その上で、思い込みを排除して、しっかり考えることが、「事故を起こさない医療」につながると思っています。

スタッフの皆さんに対して、お伝えしていることやお願いしていることはありますか?

内田寛院長 内田こどもクリニック4

スタッフに対しても、「事故を起こさない医療」のために、患者さんをしっかり観察するようお願いしています。例えば当院には看護師が1人いるのですが、看護師の仕事は本当に大変で、器具を用意したり洗ったり、汚れたところを拭いたり、直接的な看護業務以外にもいろいろなことをしないとならないんです。でも、そういった業務は遅くなってもいいから、患者さんの観察や介助を優先するようお伝えしています。僕が別の患者さんの処置で診察室を離れる時があるのですが、その時に患者さんから目を離してしまうと、万が一の事故が起きてしまうかもしれません。子どもは予測できない動きをするので、しっかり見ていないと危ないんです。特に小児科では、患者さんをしっかり観察するというのはいろいろな面で大切だと感じています。

練馬区の医師会会長として、地域医療の将来に向け尽力

現在は区の医師会でもお仕事をなさっているんですね。

内田寛院長 内田こどもクリニック5

2022年6月から練馬区医師会の会長を務めており、自分のクリニックのことだけではなく、地域医療の将来についてもいろいろと考えるようになりました。一つは、新型コロナウイルス感染症の流行が収まりつつありますから、医師会としても今後の対応を話し合っています。もう一点、検討したいと考えているのが、小児の在宅医療についてです。練馬区では在宅医療に対応する小児科の医師が不足しています。子どもの在宅医療はニーズがすごくあるのですが、それに応えきれていないのが現状で、医師会として何かできないか、対応を考えているところです。長い目で将来を考えた時に、僕としては若い先生方に活躍していただいて、地域医療を引っ張っていってほしいと考えています。練馬区は行政がとても力を貸してくださる地域なので、みんなで協力して、地域医療を良くしていきたいですね。

お仕事をしていて、医師としてのやりがいを感じるのは、どのような時ですか?

練馬区で開業して、今年で12年になります。12年というと、産まれたばかりの赤ちゃんが中学生ぐらいに成長するだけの年月です。僕が6ヵ月健診をした赤ちゃんがお兄さんお姉さんになっていたり、小学生だった頃に診ていた子が大学に受かったというのを親御さんから聞いたりすると、感慨深いものがあります。つい最近、小学校5年生の頃診ていた女の子が、お母さんになって、お子さんを連れてきたこともありました。親子2代にわたって来院していただいたり、一人のお子さんを診た後、弟や妹が生まれても引き続き相談していただけたりすると、患者さんが信頼してくださっているのだなと、僕が医師としてやってきた仕事を再確認できるんです。医師としての信頼は、誠実に正しい医療を続けてこそ得られるものです。そういう医療をお届けできたのかなと思えたとき、大きなやりがいを感じますね。

最後に、地域の方へのメッセージや今後の展望がありましたらお願いします。

内田寛院長 内田こどもクリニック6

子育てをしていて、普段の生活の中でちょっとでも困ったことがあれば、いつでも来院していだければと思います。すべて即座に解決できるかどうかはわかりませんが、困った時に思い浮かべる場所の一つに、僕のクリニックがなればうれしいですね。それから、練馬区医師会の会長としても、引き続き、練馬区のより良い医療のために尽力していきたいです。会員や区の皆さんが一生懸命に取り組んでくださっているので、若い医師の方々に、この地域医療をつないでいきたいと思っています。

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