中島 亮 院長の独自取材記事
大角医院
(練馬区/上石神井駅)
最終更新日:2024/05/22

上石神井駅北口から徒歩約2分の「大角医院」は、長年にわたって地域住民に医療を提供してきた総合クリニックだ。中島亮院長は2006年の院長就任以来「未来にわたって地域から選ばれ続ける医院であること」を目標に掲げ、診療分野の拡充を図り、訪問診療と併せて医療と介護をつなげる取り組みを行ってきた。地域の一次医療を担う施設とは思えないほど幅広い分野に対応しているのが特徴で、内科、外科、麻酔科、整形外科などに加え、近年は発熱の外来も新たに設置した。車いすの患者もスムーズに診察が受けられるよう院内をほぼバリアフリー化するなど、使いやすさや居心地を考えたリニューアルを定期的に行っている。インタビューでは同院のこれまでと、現在力を注ぐ健診部門の拡充や医療と介護の連携などについて話を聞いた。
(取材日2023年5月30日)
幅広い診療科目で地域の健康づくりを60年余り支援
まずは医院の歴史を聞かせてください。

正直なところ開院年はよくわからないのですが、そもそもは祖母が内科・小児科の医院として開院しました。その後、外科の医師の伯父が2代目、その後を受け2006年からは私が3代目の院長になりました。今では患者さんも、親子3~4世代にわたって通院される方もいるほどですよ。私自身は消化器外科の医師だった父の勤務先の関係で小学校から高校までは静岡で育ち、日本大学医学部へ進学して以来、東京で暮らしています。幼少時は祖母のところへよく遊びに来ていましたので、上石神井は慣れ親しんだ街です。この地域で情熱を持って医療面からサポートしようとしていることも、そうした私の来歴に由来するところが大きいですね。
院内づくりにもいろいろな工夫をなさっているそうですね。
患者さんにできるだけ気持ち良く使っていただけるよう、2年から4年に1度のタイミングで改装を重ねてきています。入り口から待合室、診察室へは車いすでスムーズに移動できるよう、またトイレなども含めて手を加え、現在の形になっています。そのほか健診部門や通所リハビリテーションなどにも力を入れていますので、それらのスペースを適宜拡充してきました。また、新型コロナウイルス感染症の流行当初から発熱者専用の外来を設置しました。院内感染のリスクを下げるために院外に専用ブースを作って他の患者さんと動線を分け、完全予約制で診療を行っています。新型コロナウイルス感染症の流行を機に感染症対策をより強化しましたので、風邪やインフルエンザが多い時期でも、健診や定期通院などの患者さんに安心して通っていただけると思います。
単独の医院としてはとても幅広い診療科目を設けておられるのも特徴だと思います。

当院は外来診療・訪問診療・介護部門などを設けて、トータルに地域の患者さんのニーズに可能な限り応えていくことをめざしています。そのため随時、地域に必要と思える診療科を加えていった結果、今のような構成となっているのです。外来の診療科は内科・外科・麻酔科の3つですが、そこに整形外科・脳神経外科・循環器内科・消化器内科・小児科の診療も行い、さらに訪問診療では泌尿器科・耳鼻咽喉科なども診ています。患者層では高齢の方も増えていますので、受診や検査のためにわざわざ遠くの大規模病院まで足を運ばなくてもいい環境にしたいと考えて医院づくりを行ってきました。それぞれ専門性を持つ非常勤の先生方に協力していただけているおかげでもあります。また、現在は約20分で結果がわかるPCR検査も導入しています。高齢者やハイリスクの方などに、できるだけ早く診断して必要な治療をして差し上げたいという思いから導入に至りました。
健診部門にも力を注ぎ、予防・早期発見できる体制に
診療において心がけていらっしゃることは何でしょうか。

患者さんとのコミュニケーションをとても大切にしています。そのため主訴だけでなく、何か不安なことがないかなど、じっくりとお話を伺います。医療として必要とされることと、患者さんの求めていることの間にはしばしばギャップがあり、それをどのように埋めていくべきなのかは、常に悩ましい部分です。例えば、痛みを訴える患者さんに対して、医師としての判断で「こういう検査や治療をしましょう」と勧めるのが標準的な対処ですが、患者さんによってはそれを求めない場合もあります。その理由は「怖い」「苦しそう」なのかもしれませんし、もしかしたら治療は望んでおらず、その訴えを単純に聞いてほしいだけということもあるかもしれません。患者さんとのコミュニケーションを重ねることで、このギャップを埋めることが非常に重要だと考えています。
健診部門の拡充にも注力されてきたそうですね。
健診部門は2018年から拡充しました。胃の経鼻内視鏡、心臓や腹部の超音波エコーを備え、検査によっては専門の臨床検査技師が担当するなど、病院と同レベルの精密検査をめざしています。加えて、肝機能・腎機能検査に用いる生化学検査機器、貧血や感染症などの診断に有用な末梢血液検査装置なども先進のものに入れ替えました。それらの結果は院内で迅速にお伝えできるようになっています。そのほか視力・聴力、胸部エックス線検査、呼吸器検査や睡眠時無呼吸症候群検査など、健康診断の各検査機器をはじめとした地域の一次医療施設として必要な検査機器は一通り備えていると自負していますね。2021年には新たにCTを導入し、当院で訪問診療を受ける患者さんであれば、必要に応じてクリニックに搬送してすぐに検査を行うことができるようになりました。
21時まで診療されているのは地域の人の利便性を考えてのことですか?

そうです。先代の時代から週1日だけ21時まで診療していたのですが、私の代になって「ほかの日もそうしてほしい」と患者さんから要望があったのです。そこで数年前から月・水・木・金曜を21時まで診療する体制としました。この地域は19時くらいまで診療しているクリニックはあるのですが、それを過ぎると開いているクリニックがほとんどないので、19時以降も結構患者さんが来院されていますよ。腹痛などで勤め帰りに受診される方もいますし、クラブ活動で外傷を負った学生さんや、慢性期疾患の高齢の方も来院します。祝日以外は土・日曜も18時まで診療していますので、そちらに利便性を感じてくださる患者さんも多いと思いますね。
日常生活までサポートすべく、医療と介護の連携も図る
訪問診療、介護サポートについても教えてください。

数年前から毎日どこかを訪問できるような体制にしました。また往診も24時間365日体制で対応しています。訪問エリアは練馬区中心ですが、ご要望により杉並区・西東京市・小平市・小金井市まで伺います。訪問についても内科だけでなく、呼吸器内科・消化器内科・整形外科などの専門性のある医師が2週間に1度の頻度で患者さんのご自宅まで診察に出向いています。さらに医療と介護とをしっかりと結びつけるべく、居宅介護支援部門でデイケアも実施しています。この部門に在籍するケアマネジャーが、管理栄養士や理学療法士などと連携しながら、通所リハビリテーションや訪問での食事指導なども行っています。通院が難しくなってしまった患者さんについては訪問診療に切り替え、最終的な看取りまで対応させていただきます。
ところで院長先生は、お休みの日はどのようにお過ごしですか?
大学時代には陸上部で、もともと体を動かすことは苦ではないので、時間ができたら運動したいと思っています。最初にインタビューを受けた当時は3歳と10ヵ月だった子どもたちも今では大きくなりましたので、時がたつのは早いものです。時間があるときは、できるだけ一緒に過ごすようにしています。
最後にクリニックとしての今後の展望や読者へのメッセージをお願いします。

これからもさらなる医療・介護体制の充実をめざし、そして地域の方々に愛され選んでいただけるクリニックでありたいと思っています。幅広い診療が可能な医師をそろえていますし、整形外科や循環器内科など各科の専門の医師による診療も可能です。今後は高齢者に多い膝のお悩みに対して、再生治療にも着目していきたいと思います。注射や内服といった保存療法に新しい選択肢を加えることで、より多くの患者さんをサポートできればうれしいですね。当院には管理栄養士も在籍しており、糖尿病や腎臓疾患などの食事指導なども行っています。検査と治療だけでなく、その後の栄養面など日常生活に至るまで、患者さんをトータルで支えていきたいと思います。
自由診療費用の目安
自由診療とは※PCR検査/自費の場合2万円~(検査の内容や結果連絡スピードによって異なる)、胃の経鼻内視鏡検査/自費の場合1万3000円~