月岡 庸之 院長の独自取材記事
つきおか歯科医院
(練馬区/光が丘駅)
最終更新日:2025/09/19

体の病気が見つかったときは完治をイメージして治療するのに、虫歯や歯周病はそうではないことが多い。再発したり、別の場所に症状が出たりするイメージがあり、目の前の痛みや不具合に対する治療だけで満足してしまいがちだ。「つきおか歯科医院」の月岡庸之院長は、こうした歯科医療の現状に風穴を開けるべく、原因を根本的に断つための「根本的に治す歯科治療」をめざしている。「私たちがやろうとしているのは、患者さん一人を包括的に診て全体最適をめざす、いわば原点の歯科治療。先進の医療機器やデジタル機器を駆使して情報を可視化し、患者さんの理解を深めて一緒に最善の状態をめざしていきたい」と話す月岡院長に、診療方針や治療について聞いた。
(取材日2025年5月16日)
根本的な治療に向け、検査や治療の意味を丁寧に説明
先生のご経歴とクリニックの特徴を教えてください。

日本大学松戸歯学部を卒業後、同大学医学部附属板橋病院の歯科口腔外科で研鑽を積み、1997年に当院を開院しました。「安心・清潔・快適」をモットーに、個々の患者さんに合った治療をご提供できるよう努めています。特に大切にしているのは、「根本的に治す歯科治療」を行うこと。歯科治療は専門分化して進化していますが、患者さん一人を包括的に診る歯科医院は少なくなりました。その結果、根本的な問題解決をしないまま応急的な処置をして再発するケースが多いのではないかと感じています。虫歯や歯周病は再発するもの、治らないものと思っている方が多いですが、根本的な原因を解消すればメンテナンスだけでも健康な口腔の維持が望めます。当院には、インプラント治療が専門の私のほか、歯列矯正、歯科口腔外科、歯周病治療など多様な得意分野を持つ歯科医師4人が在籍していますので、上手に連携して総合的な治療を実践していきたいと思っています。
理想のゴールを実現するためには、必要な検査と治療を患者さんに理解してもらうことも重要ですね。
そのとおりです。私たちは、すべての入り口となる「説明」を重視し、その方にとって最適と思われる治療と、必要な検査について時間をかけてお話しします。歯科医院では、問診を終えると当たり前のように検査に移ることが多いですよね。患者さんも「そういうものだ」と思って、流れに身を任せているのではないでしょうか。しかし、暗黙の了解のもとで検査と治療が進むと、患者さんはいずれ「何のために、いつまでやるんだろう」と疑問を抱きます。そこから信頼関係が崩れて治療が中断するのを避けるためにも、検査の目的をご理解いただいてから検査を行うようにしています。
マイクロスコープや歯科用CTなどの先進機器は、説明の可視化にも役立ちそうです。

当院では、歯科用のマイクロスコープや歯科用CTのほか、コンピューター制御下で補綴物の設計・製作を行うCAD/CAM冠システムなどの先進的なデジタル機器をそろえて説明の補完、および質の高い検査・治療のために役立ててきました。マイクロスコープは、患部を高倍率で観察でき、肉眼では見えないわずかなひびや汚れまで見つけ出せます。また、歯科用CTを使えば、顎の骨の厚みや神経、血管の位置などの詳細なデータをもとに3次元での診断をすることができます。どちらも精密な治療を行う上で重要なものですし、情報を画像としてお見せできるので、治療計画や付随するリスクを具体的にイメージしていただくことができるんですよ。
「全体調和治療」で噛む力の再現を図る
特に力を入れている治療は?

患者さん本来の噛む力の再現を図り、「噛み合わせの再構築」をめざすことによる、「全体調和治療」です。患者さんの噛む力が衰える原因は、虫歯や歯周病、補綴物の不具合や精度、根管の問題、顎関節など多岐にわたり、相互に関連し合っているんですよ。当院の全体調和治療は、噛む力の低下に影響するこうした問題を多角的かつ総合的に捉え、全体の噛み合わせ治療を通じて顎の機能改善をめざします。近年は研究が進み、口腔の健康と全身的な健康との関連性が指摘されるようになりました。また、噛む・飲み込む・話すなどの口腔機能の衰えが全身の老化につながる「オーラルフレイル」という考え方も浸透しつつあります。お口から体全体をより総合的に健康へと導けるようなアプローチをするとともに、患者さんにも口腔の健康状態の維持・改善が健康寿命の延伸につながることを意識していただきたいと思っています。
噛み合わせの治療はどのように行うのでしょう。
患者さんの顎の関節の症状を診るために、歯科用CTや場合によってはMRIも使用してデータを取り、顎の運動の解析をします。それら複数のデジタルデータを全部つなげて一元管理し、どのように患者さんの顎を動かせばよいかの3次元的なシミュレーションをするのです。ただし、すべての患者さんに同様のプロセスが必要なわけではありません。初期検査でリスク分類をして必要性がある方を見極め、パーソナライズした治療計画をご提案します。噛み合わせの良しあしはわかりにくいと思いますが、顎が痛む、開閉すると音が鳴る、といった場合は早めにご相談ください。
噛み合わせの再構築において、デジタル機器を用いるメリットを教えてください。

デジタル機器を用いることによって、立体的に情報を把握できること、精密で再現性のある治療ができることが大きなメリットです。また、エックス線写真を撮ってから型採りをし、模型を咬合器に装着して噛み合わせを診る従来の方法に比べて、患者さんの負担が少ないのも良い点ですね。材料を歯に押しつけて行う型採りが苦しくて苦手、という方でも、口腔内スキャナーでスキャンするだけで3Dデジタル画像を生成し、最適な噛み合わせを考えることができます。また、歯科技工士へのデータ共有も速やかです。
虫歯や歯周病の予防にも注力されているとか。
はい。悪くなってから治療することを繰り返していると、歯にダメージを与え、歯を失うことになりかねません。原因を取り除いたら、定期的なメンテナンスで良い状態を保っていくことが重要です。当院では、歯周ポケットの深さや出血の数、唾液の分泌量や粘稠(ねんちゅう)度、唾液中に含まれる細菌の種類や数などを細かくチェックして、将来的に虫歯や歯周病を発症するリスクを具体的に数値化しています。虫歯も歯周病も初期段階では自覚症状が少ないのですが、リスクを数値化することで患者さんがご自分の口腔状況を理解しやすくなり、メンテナンスに対するモチベーションを維持して適切な予防につなげていくことができると考えています。
科学的データに基づく治療・予防で健康寿命の延伸を
どのような患者さんが多いですか?

近隣にお住まいの方が中心で、虫歯の痛みやうまく噛めない、顎の関節がうまく動かないなどの問題を訴えて受診されるケースが目立ちますね。なじみの患者さんからのご紹介や、当院の診療内容をお調べになって遠方から来院される方も。先ほどお話ししたとおり、当院では原則として痛みの原因を踏まえて再発防止につながる治療をご提案します。痛みがある場合はもちろん応急処置をしますが、「思っていた治療と違う」と感じられる方がいるかもしれません。当院のポリシーや治療の目的を丁寧にお話しし、ご理解いただけるよう努めています。
スタッフ構成やチームでの取り組みについて伺います。
総勢21人で診療にあたっています。歯科医師の専門分野や、職種ごとのミーティングや勉強会を頻繁に実施して技術と知見の継続的な向上を図るほか、経験に応じて3段階に分けた院内統一マニュアルを部門ごとに作成し、経験の深浅に関わらず一定のレベルで仕事ができるようにしているのが特徴です。また、職種間の情報は各部門の代表者が集まるミーティングで共有し、日々の診察や治療に役立てています。患者さんの「なぜ」に応えて丁寧に説明し、根本的に治す歯科治療を提供しようという方針に共感してくれる仲間がそろい、互いにシンパシーを感じながら治療できていることが何よりうれしいですね。
今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

個人的には、PRP(多血小板血漿)の知識を深めていきたいですね。クリニック全体としては、高齢化が進む中、科学的なデータや知見に基づいた治療とメンテナンスで、健康な暮らしを維持してもらいたいと思っています。これからも説明を怠らず、定期的なメンテナンスだけで暮らしていけるような再発のない治療と、免疫力向上・歯質強化・感染予防に重点を置いたメンテナンスをめざしてまいりますので、お困りの方はぜひご相談ください。
自由診療費用の目安
自由診療とはメンテナンスプログラム/6600円~、インプラント治療/44万円~、歯列矯正/17万8700円~、審美歯科:詰め物/4万7800円~、かぶせ物/9万3500円~、歯周組織再生療法/7万8100円~、マウスピース型装置を用いた矯正/52万8000円、唾液検査/9900円
※歯科分野の記事に関しては、歯科技工士法に基づき記事の作成・情報提供をしております。
マウスピース型装置を用いた矯正については、効果・効能に関して個人差があるため、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。