菊池 友太 先生の独自取材記事
仙川町クリニック
(調布市/仙川駅)
最終更新日:2025/07/15

京王線仙川駅から徒歩4分。閑静な住宅街にある「仙川町クリニック」は、菊池純江院長が約四半世紀にわたって地域の人の健康を見守ってきた内科や消化器の診療を行うクリニック。2021年からは息子である菊池友太先生が週1回、毎週金曜日に消化器外科の医師として内視鏡検査やポリープ切除などの治療を担当するようになり、さらに診療の幅を広げている。そして、来年をめどに友太先生がクリニックを引き継ぐことになるという。新たな院長のもとでクリニックはどのような形になっていくのか。母親の菊池純江院長から受け継ぐもの、めざすクリニックの在り方について友太先生から詳しく話を聞いた。
(取材日2025年5月9日)
消化器外科の医師から内科クリニックの院長へ
これまでの経歴を教えてください。

2007年に日本医科大学を卒業後、研修医を経て日本医科大学消化器外科に入局しました。その後は町田胃腸病院、日本医大千葉北総病院に派遣され、そこで内視鏡の達人と思える先生方に出会いました。そこで内視鏡の診断や治療について技術的なことを含めいろいろと教わったことで、内視鏡診療にたいへん興味を持ちました。本来、内視鏡の診断や治療は内科で行いますので、消化器外科の私が外科手術だけでなく検査から関わることができるようになったのは強みになったと思います。他にも日本医科大学多摩永山病院などでも内視鏡の診断、治療、指導を行っていました。現在は6年ほど前から東京都葛飾区にある平成立石病院で勤務しており、消化器外科の副部長、内視鏡診療室の室長を兼任しています。
来年、院長に就任されるそうですね。
はい。この町で生まれ育ちましたし、長男として親の様子を見がてら仕事ができればいいなと思いました。まだ明確な日にちは決まっていませんが、来年の春頃を予定しています。現在は母親が院長を務めているのですが、私も4年前の2021年から週1回、毎週金曜日に非常勤として勤務するようになりました。担当しているのは内視鏡の診断や治療などが中心です。院長就任後は常勤するつもりですが、母にも元気な限り勤務してもらうことになっています。やはり長年続いてきたクリニックですので、母に会いに来る患者さんもいると思いますし、私も母がやってきた医療や患者さんとの信頼関係を大切にしながら引き継ぐことができればいいなと思っています。
消化器外科を選んだ理由はなんだったのでしょうか。

私の父は消化器外科、母は消化器内科がそれぞれ専門です。その影響もあるとは思いますが、一番は私が食べることが大好きだったからですね。普段からおいしいお店やお気に入りの店を探すことも多いですし、洋服や時計、車などよりも、おいしい物を食べることに時間を費やしてしまうぐらいで、自分で料理をすることも多いです。ですので、消化器に疾患を抱えて満足に食べられない、調子良く食べられないという方を自分の手で診断して治療してあげたいと思うようになりました。食べられない方を食べられるように……そこにやりがいを感じています。
内視鏡検査を充実させ、受ける機会をもっと増やしたい
クリニックを継ぐと決めたことで変化はありましたか?

当クリニックではこれまで胃腸の検査について、バリウム検査などはできたのですが、内視鏡検査は近隣の病院をご紹介するという形でした。しかし、4年前に私が週1回勤務することになったことをきっかけに改装して、新たに内視鏡のための検査室を設けました。通常の検査だけではなく、大腸のポリープを取る治療なども行っています。内視鏡検査で異変、病変を早期に発見することで患者さんのお役に立てたらと思っています。
内視鏡検査は、どういった方に必要なのか教えてください。
多くは50~70代の方が検査を受けられます。悪性腫瘍を患うリスクが上がったり、がん検診を受けて異常を指摘される方が増えるからです。一方、消化器外科という職業柄、30代や40代で胃がんや大腸がんになる患者さんと頻度は高くないものの遭遇することもありました。若くても人生を左右する消化器疾患は起こり得ます。大腸がんの主な原因の一つであるポリープは、40歳を超えるとリスクが上がるといわれます。近年では、若年の方でもストレスや生活習慣の乱れが原因で胃に不快感がある「機能性ディスペプシア」や腹痛とともに下痢や便秘を繰り返す「過敏性腸症候群」といった病態が見られます。それらは内視鏡検査でがんや粘膜に炎症性所見がないことを確認し、診断につながります。医師から勧められて受ける検査のイメージが強いと思いますが、年齢問わず内視鏡検査を受ける機会をもっと増やし、まずは40歳を超えたら検査を受けていただきたいです。
内視鏡検査でより充実させたいことはありますか?

現在、先進の機器で内視鏡を行っていますが、来年からAI技術で画像解析を支援するシステムも導入したいと考えています。これは人間の目だけでなく、AIがリアルタイムで画像を解析して、モニターに映る内視鏡映像に病変の疑いがある場所を強調してくれるというものです。AIだと人間の目では見逃しそうな小さな病変に気がつける場合もありますし、私1人の目だけではなく、AIのサポートがあることで患者さんの安心感にもつながる可能性があります。エックス線撮影機器(レントゲン検査機器)にも同様のシステムがあって、そちらも導入していきたいですね。もちろん私自身もAIに負けないぐらい、細かい病変を見つけていくつもりです。その他、病院で切除するようなやや大きめのポリープも当院で対応できるようにするべく、必要な機材は今後もそろえていきたいと思っています。
後悔させない“遅れない治療”をめざす
院長を継がれた暁には、どのようなクリニックをめざされますか。

約25年間母が大切にしてきた患者さんや診療を引き継ぎながら、私がメインでやってきた消化器関連をより充実させたいです。ちょっとしたおなかの悩みでも気軽に来てもらえるような、患者さんが何でも話せるようなクリニックをめざしたいです。そのためにはコミュニケーションが重要と常々感じていて、学生時代はコミュニケーション能力や社会性を磨くために、飲食店で接客業のアルバイトをしていました。その経験は、今も患者さんとのやりとりに少なからず生かされている気がします。他にも、ポリープの切除やがんの予防など、私ができることはすべてやっていきたいです。どうしても大きな病院で治療しなければいけない、急がなければいけないといった疾患についても、私が以前勤務していた日本医大多摩永山病院を含め、適切な医療機関と連携できる体制を築いています。とにかく、患者さんにとって一番良い形で“遅れない治療”を実現していきたいです。
プライベートについても伺いたいのですが、休日はどのように過ごされていますか?
今は中学生~未就学児と3人の子どもがいますので、休日は子どもの部活や勉強、遊びなどで一緒に過ごすことが多いです。朝ご飯はしっかり食べたい派なので、早起きして朝ご飯をつくることもありますね。他には、中学生の頃からバスケットボールをしていて、体を動かすことが好きなので、これも早起きして筋力トレーニングやランニングをしています。家族内でバスケ部の割合が多いので、バスケの試合観戦に行くこともあります。夢は、庭にバスケットゴールがある家に住むことです(笑)。
最後に読者へのメッセージをお願いします。

先ほど“遅れない治療”と言いましたが、言い換えるとそれは患者さんに後悔をさせない治療ということです。もっと早く内視鏡検査をやっておけば良かったとか、もっと早く病院に行っていれば良かったと思わせたくないです。そういう意味で胃カメラや大腸カメラなどの内視鏡検査を縁遠いものにせず、とにかく受けやすい環境を整えていきたいです。早期に見つかれば治療を進めやすいですし、そこで例えばある程度進んだがんが見つかったとしても、そこから私が急ぐことで、その患者さんの時間を取り戻せるかもしれない、そういう気持ちでとにかく迅速な診断や治療、他院との連携というのは重視していきたいです。ちょっとでも胃やおなかに関して気になる症状があれば、早めに来院してもらいたいです。当院は2世代、3世代にわたって通ってくださる患者さんもいます。できるだけ長く健康でいられる時間が続くように健康管理をさせていただけたらと思います。