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恵 博信 院長の独自取材記事

めぐみクリニック

(武蔵野市/武蔵境駅)

最終更新日:2025/03/27

恵博信院長 めぐみクリニック main

武蔵境駅から徒歩3分。商店街の武蔵境通りに立つビル3階に「めぐみクリニック」はある。同院はうつ病や不安障害、パニック障害などの症状を主に診療する精神科、心療内科である。院長の恵博信先生は、およそ30年にわたって地域の人々の心の健康を支えてきた。恵院長の印象は、温和で穏やか。その印象どおり「患者さんを受け入れることを心がけています」と優しい口調で語る。診療を始めてから最初の1ヵ月は患者との信頼関係の形成や、症状の正しい把握に集中するそうだ。そんな恵院長に同院の特徴や患者層などについて聞いた。

(取材日2025年2月26日)

患者を受け入れ、丁寧に話を聞く真心込めた診療

初診の患者さんが受診したい時や初診時の診療についてお聞かせください。

恵博信院長 めぐみクリニック1

まず電話で予約をしていただき、診察室で診察します。当院は、院長である私自身が患者さんのお話をお聞きします。といっても、お互い初対面ですので、すぐに打ち解けて、患者さんが今抱えている悩みを話してもらえるのはさすがに難しいとは思います。ですので、初めてお会いする時は、私が会話の8割程度、質問をして会話をつなげていくことが多いですかね。もちろん、無理に話してもらおうとはしません。患者さんも、私がどういう医師なのか信頼できるかどうか見極めたいでしょうから、会話の中で、何となく私がどういう医師なのか知っていただき、少しずつ信頼関係を築いていくことを大事にしています。

診察において大事にしていることは何ですか?

患者さんを受け入れること、そして丁寧に相手を見ながら話を聞くこと。この2つを特に心がけています。患者さんはつらい気持ちでいらっしゃるので、優しい言葉をかけて患者さんの話や様子などを、そのまま受け入れます。また、1対1で向き合えるよう、あえて診察室ではパソコンなどは使わず、患者さんの話を聞きながら、紙カルテを使用しています。現在は電子カルテが普及していますが、紙のほうが患者さんと対面でいられるからです。精神科は生身の人間が心の中を打ち明ける場です。言葉以外にも患者さんの表情や様子に注意して見る必要があります。患者さんに「受け入れてもらえた」と思っていただければ、その後の治療もうまくいくことが多いと感じていますので、そのように工夫しています。

どのような患者さんがいらっしゃいますか?

恵博信院長 めぐみクリニック2

昔は統合失調症のような重い症状の方も見受けられましたが、近年はうつ病やパニック障害、不安障害、不眠などを抱えた方が多くいらっしゃいます。ご自分で「つらい」「苦しい」気持ちを抱え、何とかしたくてご自分から来院される方が多いと思います。悩みとしては、対人関係についてが一番多いですね。また、近辺には大学が多いので、学生さんも多くいらっしゃいます。「5月病」という言葉もあるように、5月頃の他、長い休み明けの9月や1月など、こういった時期は特に不安定な方が多く見受けられます。治療期間は症状によってさまざまですが、数ヵ月で治療が終わる方もいれば、開業当初から通院を続けている方もいます。ただ、自分から通院や服薬をやめると再発するケースもあるため、自己判断ではなく必ず医師と相談の上、根気強く治療に臨んでいただきたいと思います。

精神の不調に向き合い、生活を根本から整えていく

日進月歩の医療において、こちらのクリニックが近年特に力を入れていることはありますか?

恵博信院長 めぐみクリニック3

不眠症治療にて、従来から処方されているベンゾジアゼピン系の薬剤の他、オレキシン受容体拮抗薬と呼ばれる新しい薬剤が使えるようになりました。精神疾患はさまざまな種類がありますが、どれも不眠症を伴うケースが非常に多いです。従来の睡眠薬は、睡眠の質の改善につながるけれども寝つきがあまり良くなかったり、朝方に眠気が残ってしまったりしていました。一方で、近年登場した新しい薬剤は、寝つきや睡眠の質の改善も図れ、なおかつ眠気も残りづらいという特長があります。ベンゾジアゼピン系の薬剤は依存性が高いと警鐘を鳴らされている薬でもあるので、なるべく新しい薬剤を処方する方向に切り替えているのですが、薬は合う・合わないもありますし、従来の睡眠薬から別の睡眠薬に移行することによる不調が生じることもあります。薬の処方というものはそれだけ難しく、時間をかけて見極めなければいけません。

どんな病状においても、不眠改善を図るということは生活を整えていくことにつながっていくのでしょうか?

もちろんです。まずは睡眠を取ることが何よりも大事なので、睡眠薬しか処方しない場合もあります。睡眠薬と並行して軽めの抗うつ薬を出すこともありますが、これは抗うつ効果を期待するというより、睡眠の熟睡感や質を高めるためです。その後、ある程度睡眠の改善につながった場合でも、まだ気分が優れないといった状況だったら、そこで改めて抗うつ薬を処方します。一時は「睡眠薬は認知症のリスクを高める」と敬遠されたこともありましたが、これは私の経験上エビデンスがない説だと考えますし、十分な睡眠が取れている方のほうが長生きする可能性は高くなると思います。人間は夜行性ではなく、暗くなったら眠って明るくなったら起きる生き物なので、この真理に基づくと、やはり睡眠はQOL(生活の質)向上に絶対に欠かせない要素です。

長年精神科の医師として診療を続けてきたからこそ感じる変化は何かありますか?

恵博信院長 めぐみクリニック4

ADHD(注意欠陥多動性障害)はここ数年で特によく見られる病状です。以前は診断基準がそこまではっきりしていませんでしたが、これが年々確立されてきています。特に最近はインターネットで簡単なセルフチェックもできるので、「もしかして」と気になった方が自発的に来院するケースが多々あります。うつ病や統合失調症といった昔から広く知られている精神疾患ではなくとも、社会の中で生きづらさを感じることはあるので、それに名前がついたりカテゴライズされたりするだけで、少し霧が晴れるかもしれませんし、対応策も考えやすくなります。精神科・心療内科はつらい気持ちを楽にするためのファーストステップになり得ると思います。

地域に根差し、いつまでも「心」を診ていくために

なぜ精神科の医師になろうと思ったのですか?

恵博信院長 めぐみクリニック5

父が形成外科の医師で開業していましたので、後を継ごうと私も一度は形成外科の医師をめざしました。杏林大学医学部を卒業し、杏林大学医学部付属病院の形成外科で2年働いていました。形成外科は、どちらかというと人の表面を診たり治療したりする仕事です。患者さんの心の内面まで知ることはあまりありません。ただ私は、人の心のほうに興味を持ち始めたのです。もともと本が好きで心の世界や情景にふれることが好きだったこともあり、自分には精神科のほうが向いているのではないかと考え、同大学病院の精神神経科医局へ移り、精神科の医師となりました。それから、さまざまな患者さんを知りたいと思い、東京武蔵野病院などいくつかの病院で勤務をしました。その後、学生の頃からなじみのあるこの地で開業したんです。

患者さんの家族にできることはありますか?

私からお願いするとしたら、患者さんご本人がきちんと眠れているか、処方した薬を飲んでいるかを確認してもらいたい、もし飲み忘れているようだったら飲むよう声をかけてもらいたい、そういった基本的なことですね。むしろ、生活の基本部分がきちんとできると、患者さんに変化が出てくることが多いと思います。もちろん、症状によりますが。本人が診察室で話す内容は、個人情報ですので、家族であろうともこちらから話すことはできません。ただ、本人が健全な生活ができるよう少し手助けをすることはお願いできます。症状が良くなるためには一番大事なことかと思います。

最後に地域の方へメッセージをお願いします。

恵博信院長 めぐみクリニック6

開業して30年近くたち、大勢の患者さんと関わってきました。心を患ってしまう方は、皆さん真面目できちんとしている方が多いですね。きちょうめんで、考えすぎてしまうと、うつ病など心の病気を患いやすくなってしまうと思います。決して一人で抱え込まず、まずは周りにいる誰かに相談していただきたい。周囲に言えないことであれば、今は相談できる機関がいろいろあります。周囲の方や機関からアドバイスされて、私の所にいらっしゃる方も多いですね。そうやって、何かしら助けになる場所や人を探していただきたいと思います。また、この先も地域に根差したクリニックであり続けたいと考えているので、良い医師やスタッフとの縁を大切にし、患者さんを長く温かく支えていきたいです。

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